遺伝の影響により細胞の復元能力に差ができる

 

病気は遺伝するのか


生命の誕生とは、父親の精子と母親の卵子が結びつくことからはじまります。受精後、30時間に、受精卵は2つに分裂し、まったく同じ遺伝情報をもつ2つの細胞が誕生します。そこから約10時間ごとに1回の割合で「2つから4つ」「4つから8つ」へと増えていきます。

 

そして、8つになったとき、8つの細胞が融合するかのように集まります。将来の神経や器官に変化する「体の部分になる細胞」と胎盤をつくるための「栄養を作る細胞」に分かれるのです。

 

受精卵はその後も分裂を繰り返していき、100個以上に分割されます。そのうちの9割が「栄養を作る細胞」であり、残り1割の細胞が「体の部分になる細胞」で構成されています。つまり、受精卵が育っていくためには、それだけ多くの栄養が必要ということになります。

 

残りの1割の体を作る細胞は、多くの栄養をもらいながら胚葉(はいよう)に分裂し、胞胚(ほうはい)へとなります。胞胚となっておよそ1週間が経過して子宮内膜にたどり着きます。そして、いよいよ着床となります。

 

無事に着床した場合には、子宮内でおよそ10ヶ月を過ごして出産となります。

 

上記したことから考えると、我々が生まれてくる間の過程は全て受精卵の細胞分裂によるものです。よって、子供には両親の遺伝情報が大きく反映されます。

 

現に、背の高い両親からは背の高い子供が生まれる確率は高いです。またその逆もあり、背の低い両親から生まれてくる子供の背は低い場合が多いです。また、遺伝は外見だけではなく、体の強い所や弱い所も似ている傾向が強いです。

 

 

両親や祖父母の体質に似ている


例えば、親が蓄膿症である場合には、子供も蓄膿症になる場合が多いです。また、親が近視の場合には子供も近視になりやすいです。他にも、親の胃が弱くやせ形体形の場合にも、子供がその体質を引き継ぐことは多いです。

 

つまり、生活習慣で悪いことをしていない状態にも関わらず、幼少期から起こる病気の原因は遺伝子が関与している可能性が高いと思われます。

 

夫婦が長期間同じ食事をしても、罹る病気が違う
良い食事は健康の源です。このことに異論はありません。しかし、自宅などを使い夫婦で商売をしている方は、何十年も同じ食事を食べています。晩酌にお酒を飲む飲まないの差などはありますが、何十年も、同じ食事をすれば罹る病気も似てきそうなものです。

 

しかし、旦那さんが痩せているのに、奥さんが肥満であったり、旦那さんが糖尿病を患っているのに、奥さんは糖尿病でなかったりします。ほぼ同じ食事を、何十年も食べているのになぜ、このような差がでてくるのでしょうか?

 

この理由は、消化器や呼吸器などの内臓の強さ、弱さが関係しています。たとえ、夫婦が同じ食事をしても、食物を分解する力(胃)や吸収する力(腸)、または必要な物質へと代謝する力(肝臓)が弱いと、体内で必要な栄養素がつくり出せません。

 

遺伝により、細胞の復元能力が違う


人の細胞は1年ですべて入れ替わります。そこから考えると、病気が慢性的に続くことに不思議さを感じます。なぜ、そのようなことがおこるのでしょうか?

 

それは、遺伝的に体の強い箇所や、弱い箇所があるからです。ようするに、傷んだ細胞を正常な細胞に「復元できるか」、「復元できないか」に、細胞の強さ・弱さの原因があります。

 

遺伝的に弱い臓器・器官には、血液や酸素が行きにくくなります。その状態では、細胞が弱くなります。細胞が弱った状態が続くと病気になります。体は通常、弱った細胞をDNA・RNAの働きにより1度壊します。そして再度、健康な細胞へと造り変えていきます。

 

 遺伝情報に加え、細胞復元には栄養素が必要である
DNA・RNAの作用で細胞を再構築する際には、そのための材料が必要になります。ここで、家を建てることを例に挙げてみます。

 

DNAは設計図、RNAは大工さん、その他に建築資材が必要となります。

 

その建築資材は栄養素になります。弱い細胞は、強い細胞に比べ軟弱にやすいので、DNA・RNAは、本来の新陳代謝のサイクルよりも速いサイクルで細胞を再構築しなければなりません。

 

例えば、皮膚細胞が弱いとします。皮膚の細胞は約28日で新しく造り変えらます。しかし、皮膚の弱い人は、掻きむしったりして細胞を痛めてしまいます。そうすると28日に達していない時期に、細胞を再構築する必要が出てきます。

 

その際に、皮膚を再構築するための材料(建築資材)が足らないという状態がおこります。DNA・RNAの命令が正常でも、材料が不足すると、遺伝情報通りの皮膚を再構築することができません。

 

したがって、その皮膚は、体からすれば「異物」と認定されて再度壊されます。したがって健康な皮膚細胞ができにくい状態が続きます。

 

 

遺伝の影響は多岐にわたる


その内臓や器官に強い、弱いの差がある原因は遺伝が関係していることはお伝えしてきました。ここで、遺伝とは具体的に、どこが遺伝するのかをまとめてみます。

 

 @タンパク質の合成能力が遺伝する:
人の体は、タンパク質でできています。髪の毛や血管、内臓、またはDNAに至るまでその材料はタンパク質です。したがってこのタンパク質の合成能力が体の強さ・弱さに関係します。体内で利用可能なタンパクを合成するためには、食べ物を消化する力や吸収する力が必要です。

 

それらの材料を利用してタンパクを合成する、1番のキーマンは肝臓です。

 

肝臓は、運ばれてきた材料を利用して人間固有のたんぱく質に再合成します。この肝臓の働きの強さは遺伝的な影響が強いですが、生活習慣による影響も加味されてきます。

 

 A酵素の働きが遺伝する:
人の体内には、約5000種の酵素があります。その酵素は、消化や呼吸、または神経伝達やホルモンの作用の亢進など、体内でおこなわれている代謝の全てに酵素は不可欠です。

 

例えば、アルコール分解酵素がある、ないでお酒が飲めるかが遺伝により決まっています。そのように体内にある5000種類の酵素の働きの強い、弱いが遺伝によって決まっているのです。

 

 B背骨の配列が遺伝により決まっている:
脳から伸びた脊椎神経は、背骨を経由して各臓器・器官へと分布しています。その神経を全て足すと全長は130万キロにも及び脳からの命令を全身に届けています。この神経は、必ず背骨を経由します。しかし、その背骨が「ズレ」ると、神経を圧迫してしまい、圧迫を受けた神経は神経伝達を阻害されてしまいます。

 

背骨の「ズレ」により、神経命令が阻害されると、その神経が分布している臓器・器官に命令が届かなくなり、働きが弱ります。この背骨のズレが遺伝します。

 

 Cホルモンの合成力が遺伝する:
体内で働くホルモンは約100種類あります。このホルモンの材料もアミノ酸(タンパク質)が必要です。したがって、上記した「@」の影響を大きく受けます。また、ホルモンは脳や内分泌器官で造られています。

 

遺伝的な背骨の「ズレ」により、内分泌器官に分布する神経命令が阻害されると、その内分泌器官で造られるホルモン量は低下します。これは「B」の影響を受けます。

 

また、ホルモンは、酵素と反応することにより化学変化をおこします。したがって、ホルモンの作用は「A」の影響を強く受けます。

 

このことから考えると、ホルモンの合成能力は、「内分泌器官が正常である」、「たんぱく質の合成能力が強い」、また「酵素がしっかり造られている」などの複合的な遺伝要素が関係します。

 

 D体内の傷んだ細胞を修復する能力が遺伝する:
人の体には60兆個の細胞があります。そのうち、毎日3000億個が壊れ、新たに造りかえられています。また、1日に100万個ほどの細胞がガン細胞になっていきます。そのように日々、傷ついている細胞を修復できないと病気になります。

 

そのことから考えれば、人は病気やガンに侵され生存できないはずです。しかし実際は、多くの人が健康で生活しています。なぜなら、人の体には傷ついた細胞を復元する能力(物質)が備わっているからです。

 

それでは、壊れた個所を修復する物質とはどのような物かというと、「アミノ酸とヘモグロビン」です。この修復物質を造る能力が遺伝します。

 

上記した以外に、遺伝は体の健康に大きく関与してきます。体内では遺伝情報を中心に、神がかり的な作業がおこなわれていますが、その作用の目的は1つです。その目的とは、細胞を健康な状態に復元し続けているということです。

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