「糖鎖」の働きが健康維持には重要である
免役システムの鍵を握る糖鎖について
病気になる人、病気になりにくい人の違いはどこにあるのでしょう? 遺伝子の違い、思考の違い、食生活の違い、ストレス値の違いなどさまざまな原因が考えられます。
多種の原因の中に、近年の研究から重要な物質が浮上してきました。その物質は「糖鎖」です。そのことについて下記に纏めます。
人の体は60兆個の細胞で構成されています。その1つ1つの細胞の表面に猫のヒゲや昆虫の触覚のような物質が存在しています。その物質が「糖鎖(とうさ)」といいます。
「糖鎖」とは字のごとく、糖が鎖のようにつながって構成されています。糖鎖を、一言で説明すると「細胞のセンサー」となります。
その働きをまとめます。
@「細胞に付着した物質を敵か味方か 必要か不要か」などを細胞のセンサー(糖鎖)が感じとる
A「@」の作用で細胞のセンサーは隣の細胞に情報を伝える
B細胞のセンサーが過剰になったり、鈍感になったりすると「敵か味方か 必要か不要か」の認識に狂いが生じる
C細胞のセンサー(糖鎖)が感じた情報は、免疫細胞など「各細胞」に情報を伝える
例えば、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入してくると、体の免疫細胞が異物の侵入を知らせます。
このときに「ウイルスが侵入してきた!このウイルスは手ごわい!」「どれくらいの白血球が必要か」「リンパ球か好酸球かNK細胞が必要か?」という情報を糖鎖が感知し、免疫細胞に知らせる働きをしています。
糖鎖の働きを実際の症例からひも解く
ここで、なじみのない「糖鎖」について、一般的な疾患と糖鎖の関係を知ることで、「糖鎖」への理解が深まると思います。
・花粉症と糖鎖の関係:
花粉症とは花粉に過剰反応して起こるアレルギー症状です。もし、糖鎖が正常なら花粉に過剰反応するようなことはありません。
病気やストレスが長期化すると、自分力が低下してきます。そのことで弱った自分を守ろうと糖鎖センサーは過敏になります。
皮膚に存在する糖鎖が過敏になると、花粉を「怖い敵だ!」と認識してしまい、その情報を免疫細胞に伝えます。
「敵が来た」と誤報を受けた免疫細胞は、本来悪さをしない花粉を排除しようと体液を集めます。そのことで涙や鼻水が大量にでます。
仮に花粉が体内に侵入してくると、体内の糖鎖センサーが「怖い敵が侵入してきた!」と免疫細胞に伝え、白血球の1種をが攻撃をしかけ微熱や炎症などが引き起こされます。
上記した花粉に対する過剰反応(花粉症)も細胞膜の表面に存在する糖鎖センサーが関係しています。
・糖尿病(インスリン抵抗性):
糖尿病とは血液中に糖が多くなっている状態をいいます。その原因の1つに、インスリンホルモンと糖鎖の関係があります。
インスリンホルモンは血液中の糖を細胞内に運ぶ働きをしますが、細胞膜に存在する糖鎖がインスリンホルモンを「受け入れるか、受け入れないか」を決めているのです。
インスリンホルモンを感知する糖鎖センサーに異常があると、細胞はインスリンホルモンを敵とみなし受け入れを拒否してしまいます。
細胞膜に受け入れを拒否されたインスリンホルモンと糖は行き場がなく、血液中に糖が戻ることで血液中の糖の値が高い状態になります。この状態を糖尿病といいます。
上記したように、急増する糖尿病の発症理由の1つに糖鎖が関係しています。
・自己免疫疾患や線維筋痛症:
糖鎖は細胞のセンサーとして、さまざまな情報を識別することは上述しました。
糖鎖が正常だと、この物質は「自己か非自己」か「有害か無害」かどうかを認識・識別することもお伝えしました。
つまり、抗原が化学物質か、ウイルスか、 または癌細胞かと種類や特徴を瞬時に正しく分析し免疫細胞に情報を伝える役目を糖鎖が担っています。
何度も繰り返しますが、糖鎖からの正常な情報が免疫細胞に伝わることで、「自己か非自己」か「有害か無害」かを識別し、「正常な判断」が決定されます。
一方、糖鎖に異常があると、抗原を正しく認識できなくなり、各細胞に「誤った情報」が伝わってしまいます。
そのために、悪さをしない相手にまで「敵」と認識してしまい過剰に攻撃してしまいます。そのことで、現代人が多く罹患する膠原病・自閉症・甲状腺疾患・喘息・糖尿病・腎臓病・副腎機能異常などの自己免疫異常を引き起こします。
また、糖鎖センサーが過敏になり過ぎることで、「実際の痛みよりも痛いという情報が過剰に伝わりすぎる疾患」の1つに、線維筋痛症があります。
線維筋痛症の発症理由は不明といわれています。そのような疾患にも「糖鎖の感受性の過剰や低下」が関係していることが近年の研究で解明されてきました。
糖鎖の働きと能力をひも解く
糖鎖は体内でさまざまな働きをすることはお伝えしました。ここで、糖鎖の意外な働きを紹介させて頂きます。
皆さまがご存知のABO式の血液型の判定は、実は糖鎖の形をみてO型なのかA型なのかを決定しているのです。
ここで、糖鎖の働きと能力についてまとめます。
・外部ストレスから体を防御する自己制御機能:
病気やストレスなどが原因で、神経系やホルモン系のバランスが崩れてたとしても、糖鎖センサーが正常に働いているとすぐにバランスを取り戻して、正常な精神および健康体を維持します。
・「自己と非自己」とを見分ける自己認識能力:
このことは上述しましたので省略させて頂きます
・傷口を修復する自己修正・自己修復機能の促進:
切り傷や口内炎、痔瘻(じろう)などを発症した際、細胞は糖鎖からの命令を受け、弱った細胞を正常な細胞に作り直します。
つまり、糖鎖からの情報が正常に伝わることで、RNAの情報が正常化され傷ついた細胞をもとに復元していきます。
RNAとはいわゆるメッセンジャーであり、RNAがDNA(遺伝子)に性格な情報を出すことで、DNAが正常に働きます。しかし、ここで驚かされるのは、メッセンジャーのRNAに情報を伝える役目をしているのが糖鎖なのです。
・痛みや匂い、感覚器官の異常の正常化:
病気やストレスが長期化している人は、自分力が低下していきます。そのことで弱った自分を守ろうと感覚器官に存在する糖鎖センサーは過敏になります。
感覚器官が過剰に感じ過ぎることで、本来悪さをしない刺激に対しても「怖いという情報」が全身に伝わってしまいます。
糖鎖は上記で列記したように、人が有している精妙な感覚や細胞間同士のコミュニケーションの中心的存在です。
糖鎖は栄養のバランスも整える:
健康維持には、どのような栄養学を学ぶかはも重要なことです。しかし、理想的と思われる栄養学を実践しようとも健康になれない人が多くいます。
つまり、たくさんの栄養素を摂取してもそれが細胞に届き、有効に利用されるかどうかが重要ということになります。
細胞は運ばれてきた栄養素が自分に必要なをかどうかを「糖鎖を通して情報を獲得」し、必要な栄養素だけを取り込んでいきます。
糖鎖が異常をきたすと、必要な栄養素を摂取してもその情報が得られず取り込みに失敗してしまいます。また、不必要なな物質を取り込み過ぎたりします。
糖鎖反応を正常化させるには皮膚刺激が一番である
先人は、寒風摩擦をすると喘息(ぜんそく)が治ると説きました。寒風摩擦とは寒い中、硬いタオルで皮膚を刺激することで皮膚を「手名づける(刺激に耐えるようにする)」意図があったのです。
つまり、寒風摩擦をすることで、皮膚に存在している「糖鎖センサー」の反応を安定させていたのです。先人の知恵には驚かされます。
人が長期間、病気やストレスに晒されると、自分力が低下してきます。自分力が低下してきた際に、一番に敏感になるのが皮膚に存在する糖鎖センサーです。
その証拠に現代人は、多種なアレルギー症状を発症したり、音や匂い、または気配などに過剰に反応してしまいます。そのようになる背景に、皮膚に存在している糖鎖センサーが関係しています。
私の治療所では、来院頂いた患者さんに自宅でおこなう皮膚刺激法をお伝えしています。なぜなら、月に数回の施術では皮膚の糖鎖反応が安定しにくいからです。
そのことから、自宅でおこなう皮膚刺激が病気を改善させるためには欠かせないといえます。
糖鎖栄養素とは:
上述してきた糖鎖とは、何を主成分としてできているのでしょうか?
〇グルコース:ほとんどの穀類
〇ガラクトース:乳製品・燕の巣
〇マンノース:サボテン類(アロエに多い)・燕の巣
〇フコース:藻類(モズクやひじき)・燕の巣
〇キシロース:穀物や食物の皮
〇N−アセチルグルコサミン:カニなどの甲殻類・燕の巣
〇N−アセチルガラクトサミン:牛乳・燕の巣
〇N−アセチルノイラミン酸:母乳・燕の巣
上記のうちグルコースやガラクトースは食材から摂取できますが、他の6種は食事からの摂取は難しいのです。
食事から摂取できない6種は、様々な栄養素を利用して肝臓で合成しています。
現代人は大量の化学物質・食品添加物などの処理や副腎ホルモンの材料の生産に追われ肝臓は疲弊しています。
そのことで、糖鎖の主要な栄養素が合成できにくくなっています。そこで、燕の巣を主原料とした糖鎖サプリメントが注目されています。
健康な人には必要はないですが、原因不明の疾患で長年お悩みの方は、一度ご検討頂くのも良いでしょう。
一説には原始人の糖鎖の働きに比べ現代人の糖鎖の働きは100分の1程度であるともいわれています。
参考文献:「糖鎖栄養素の秘密」
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