非ステロイド性抗炎症薬の機能を紐解く

 

皮膚・粘膜→脳→プロスタグランジンの関係


人が弱くなると、皮膚や粘膜をはじめとする感覚器官の感受性が高まります。そのことで、本来、悪さをしない物質や気配を感じ過ぎ、その情報が脳に伝わります。

 

ストレス情報が脳に届くと、脳はプロスタグランジン(以下PGとする)という物質を生産します。PGの中でも炎症に関係が強いのはPGE2(プロスタグランジン・イーツー)という物質です。

 

PGE2は発熱作用や発痛増強作用に関係しています。また、患部に必要な物質を即座に運ぶために、血管の透過性亢進し、患部は腫脹・赤く酷く腫れる・熱感などの症状が出ます。

 

 

非ステロイド性抗炎症薬の作用


非ステロイド性の抗炎症薬は、一般的には「解熱鎮痛剤」と呼ばれています。

 

それでは、この非ステロイド性抗炎症薬が効く理由を解説していきます。

 

 @PG(プロスタグランジン)生産に、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素が関与している

 

 A非ステロイド性抗炎症薬は、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の働きを阻害する

 

 B「A」の結果、PGが生産されなくなることで、炎症や痛みが緩和される

 

上記のように、非ステロイド性抗炎症薬はPGに直接働きかけるのではなく、PG生産に関係している酵素反応を阻害し炎症を抑制しているのです。

 

 

薬は酵素に作用する


薬はなぜ、効くのか? その理由の1つに「酵素に働きかけている」からです。

 

生体内のほとんどの化学変化は「酵素」の作用でおこっています。酵素の作用は「ある物質を別の物質へと変換する働きです。

 

酵素によって「痛み」や「痒み」または、「血圧の情報」に関わる物質が造られ、それらの物質が脳に「痛み」や「痒み」を知らせます。そこで酵素を阻害すれば、これらの物質が作られなくなります。

 

例えば、コレステロールを下げる薬として有名なスタチンは、コレステロールを作る酵素の反応を阻害することにより、血液中のコレステロールの値を下げる作用をします。

 

ようするに、薬とは特定の酵素を阻害しているということです。

 

上述してきた、炎症や発痛などを抑える非ステロイド性抗炎症薬も酵素に働きかけています。

 

薬が即効性を持ちまた、再現性がある理由の1つに「酵素にアプローチ」しているからです。

 

薬は数多くの研究から緻密に計算されて作られていることがわかります。またこのような作用を持つ薬を安定して出すことのできる知識や技術に驚きを隠せません。

 

 

川本療法でプロスタグランジン(PG)の生産を抑制する


PGは、脳がストレスを感じた際に生産される物質です。そうなると、「脳でストレスを感じにくくすれば良いのでは?」という考えが浮かびます。しかし、そのことは薬を使わない限り難しいと私は思っています。

 

川本療法を継続し、自宅ケアを実践していくと「痛みや腫れ」が軽減してきます。その理由をまとめます。

 

 @脳に到達する情報を元に、脳はあらゆる選択をしている

 

 A「@」のことで脳が一番偉いと思われるが、脳に情報を与えている箇所が大切である

 

 B脳に情報を与えているのは、皮膚や粘膜、視覚、臭覚、聴覚などの感覚器官である

 

 C「B」述べた感覚器官が過敏だと、脳に負の情報が届き過ぎる

 

 D「C」のことで脳はPG(プロスタグランジン)の生産を促す

 

 E負の情報が長期に届くと、脳はさらに強い炎症物質の生産を促す

 

 F川本療法は、皮膚(神経)を刺激することで感覚器官の過剰感覚を安定させる

 

 G「F」を継続することで、脳に負の情報が届きにくくなり、脳からPGの生産命令は減る

 

脳が生産するPGは痛みを出し「ここを治しにきてください」という目印といえます。そのことで、患部に素早く、免疫(白血球やリンパ球)が運ばれます。

 

しかし、脳に負の情報が届き過ぎると、PGが生産され過ぎて免疫(白血球やリンパ球)の過剰行動を誘発します。そうなると、薬じでしか止めることができなくなります。

 

したがって、皮膚を刺激することを日常化し、感覚器官の「感覚を手なづける」ことが必要です。

 

なぜなら、感覚器官の感受性が安定することで、脳へ負の情報が届きにくくなり、PGの生産過剰が安定するからです。

 

先人は「乾布摩擦をすると喘息が治る」と説いたことは間違っていません。皆様の自宅での皮膚刺激を取り入れみてはいかがでしょうか。

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