5000種ある体内酵素が、細胞復元と病気の発症に影響を及ぼす
人は生命活動の全分野に、酵素を必要とする
人体は、「酵素で動いている」といっても過言ではありません。すべての生命の根幹は、「DNA」と「酵素」の働きによるものです。
「DNA」は、その種の遺伝に関与します。また、「酵素」は体内での代謝(化学変化によって新しい物質を造る)のすべてに関与します。その具体的な働きを下記にまとめます。
@消化・吸収、または排出に酵素は不可欠である
A呼吸や筋肉の動きまたは神経伝達に酵素は不可欠である
Bホルモンの命令を受け、触媒(新たに物質を造り出す)の役目に酵素は不可欠である
C体内で行われている代謝の全てに酵素は不可欠である
上記した酵素の働きは代表的なものであり、体内で「生産」された酵素は、約5000種存在し、5000種の仕事を受け持っています。
アルコールが飲めない人は、アルコール分解酵素が少ないのは有名な話です。その他にも、活性酸素を除去するのはSODという酵素があり、また唾液・涙・鼻水にはリゾチームトいう酵素が含まれていて細菌の侵入を防いでいます。
その酵素は、体の中で作られます。酵素がどのようにして造られるかというと、食物が消化、吸収され、肝臓で「固有のたんぱく質」ができます。そこに微量元素(ビタミン・ミネラル)が結びついて酵素が完成します。その5000種ある酵素ですが、それぞれの酵素は体内では1つの仕事しか受け持つことができません。
酵素の作業スピードは驚異的である
ここで、酵素の大きさはどれくらいなのかというと、直径5〜20ナノメートル(1ナノメートルは1ミリの100万分の1)ほどの球状です。この大きさはとても小さく、一般的な顕微鏡では見ることはできません。
大きさを他のものと比較すると、酵素の直径5〜20ナノメートルに対し、細胞内にあるミトコンドリアや大腸菌は直径2000ナノメートル、肝臓を組織している細胞の直径は2万ナノメートルです。酵素がいかに小さいかがわかります。
さて、その酵素は、自分でエネルギーをつくることはしません。酵素は他の物質を変化させ、新たな物質をつくる(触媒)作業をしています。そのスピードは驚異的で、10の7乗倍(1000万倍)の速さで触媒作業をします。
このスピードは、1000万時間かかる作業を1時間で済ますほどです。そのような機械は人工的に作ることはがきません。
実際の酵素反応を例に挙げてみますと、カタラーゼという酵素は、過酸化水素(H2O2)を水と酸素に変化させます。その反応スピードは、カタラーゼ1個が1秒間に約10万個の過酸化水素を分解します。また、カルボニックヒトラーゼという酵素は、体内でできた60万個の二酸化炭素(CO2)を1秒間で水に変えるほどです。
体内で起こっている酵素反応のシステムに驚きを隠せません。また、いかに酵素が大切かを理解して頂いたと思います。医学界も、この酵素を注視しています。なぜなら、病院でおこなわれる血液検査で、何を検査しているのかというと、その多くは「血液中に増減している酵素量」を調べているからです。
また、薬がなぜ効くのかというと、多くの薬は、この酵素の反応を「鈍らす」ように、酵素をターゲットにつくられているからです。
5000種ある酵素の働き次第で細胞の復元能力が決まる
人は、消化酵素、分解酵素、代謝酵素、呼吸酵素、血液凝固酵素、筋肉を動かす酵素など生命維持には何千種類もの酵素を必要としています。
この酵素は、自分でエネルギーを作ったりせずに、ホルモンなどの作用を受けて新たな物質を作り出す触媒の役割を担っています。
残念なことに、全ての生命メカニズムに関与している酵素約5000種の働きは、遺伝子によって決定されています。したがって、個人の酵素反応の強い箇所、または弱い箇所が存在します。その酵素反応が弱い箇所の細胞が侵されたと仮定したら、その箇所の細胞の復元はスムーズにはいきません。
体内で約5000種あるということは、5000種類の仕事を、酵素がしているということです。「その酵素を増やすためにはどうしたら良いのか?」 と、酵素食品を取る人がいます。しかし、酵素を口から入れても、唾液や胃酸で分解されて酵素では無くなって吸収されます。
口から入れて効果のある酵素食品は、ジアスターゼなどの消化酵素だけです。最近、酵素のサプリメントを服用する方が増えています。しかし、5000種ある体内の酵素を増やすサプリメントは存在しません。
現に、アルコールが飲めない人を、対象にした、アルコール分解酵素を増やすサプリメントは存在しません。アルコール分解酵素という、たった1種類の酵素すら増やすことができないわけですから、5000種の酵素をサプリメントで増やすことができない理由は、ご理解できたかと思います。
5000種の酵素の働く能力は、残念ながら遺伝子によって決められています。したがって、現在、働いている酵素の質を保つことが大切になります。
酵素の働きを維持するには、精神的な安定と、食事を咀嚼(そしゃく)・消化・吸収・代謝・排出ができること、また質の良い呼吸と睡眠が基本です。しかし、最も大切なことは、肝臓を元気に保つことであると、私は考えています。
なぜなら、約5000種ある酵素の半数の2500種に肝臓がかかわっているからです。
酵素を働かせる食材
酵素反応を活性化させるにはビタミン・ミネラルの摂取が不可欠です。なぜなら、酵素反応は酵素単独では起こらず、補酵素であるビタミン・ミネラルが酵素に結合することで触媒(化学反応)が起こるからです。
酵素反応を高めるにはビタミン・ミネラルの摂取が不可欠です。特に現代では土壌汚染や海洋汚染の影響でミネラルの摂取が困難な状況です。
人の機能を正常に働かせるためには約70種のミネラルが必要といわれています。そのような上質のミネラルを摂取する方法を模索しなければなりません。
また、酵素反応を活性させるといわれている食材に発酵食品があります。それらを取ることで、数種類の酵素が活性化することは確認されていますが、その作用は一部にすぎません。
病気とは、「細胞が修復されていない状態」ということです。本来、人はDNA・RNAの情報をもとに、細胞の材料である「固有タンパク質」を傷んだ細胞に送り込み修復していきます。しかし、そこに「酵素反応」という作業が加味されないと、細胞の復元は難しくなるのです。
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