過酸化脂質・糖質・タバコが血管の細胞を傷つける
細胞に傷がつき、それを復元できない状況が病気である
人の細胞は約60兆個あり、その細胞は、1日に3000億個が新たに造りかえられています。これを新陳代謝といいます。細胞を新たに造り変える際に作用するのが「核(DNA・RNA)」です。核(DNA・RNA)が持つ遺伝情報により、細胞は元の状態に復元されます。
しかし、現代人はストレスに対応するために、細胞分裂の回数が増えています。壊れた細胞を何度も復元していくと、核が保有する遺伝情報にも「ミス」がおき、正常な細胞が復元できなくなります。
細胞が正常に復元できないと、脳は、その細胞を「異物」と認定し攻撃します。攻撃を受けた細胞は再び壊されます。そのような状態が続くと、その患部の細胞が復元できなくなり、いわゆる病気になったと人は感じます。
過酸化脂質は血管細胞を傷つける
人が生活する上で必ず必要な物質があります。その1つに、コレステロールや中性脂肪などの「脂質」があります。一般的には毛嫌いされがちな「脂質」ですが、本来は脳の栄養であり、ホルモンの材料、または細胞や血管の「膜組織」の材料として必須の栄養素です。
ここで、誤解を解いておきたいことがあります。血液中のコレステロールなどは重要な栄養素であり、コレステロールという「単独」な状態では、体に対して何の悪影響を及ぼしません。しかし、そのコレステロールなどに他の物質が結合することにより、体の細胞を破壊するとても危険な物質へと変化します。
その代表的な物が過酸化脂質です。
ここで、過酸化脂質の発生を助長してしまう原因をまとめてみます。
@植物油を高温で加工した食材(揚げ物・菓子類・ドレシングなど)は、加工段階で酸化しています。酸化した植物油が血液中のコレステロールなどと結合すると、コレステロールが過酸化脂質に変化します。
A過酸化脂質に変化した脂質は、いわゆる「ドロドロの血液」になり、それらが血管内を流れると、血管とドロドロした血液との間に抵抗(摩擦)が高まり活性酸素が発生します。その影響で血管の壁(内皮細胞)は傷つきます。
B傷がついた箇所を、白血球に属するマクロファージが修復にくることで「瘡蓋(かさぶた)」ができ、その影響で血管の内部は狭くなり、また硬くなります。
C「B」の作用で狭くなった血管内をドロドロの血液が流れることにより、再度、活性酸素が発生し血管の内皮細胞は傷つきやすくなります。
上記の状態を繰り返すと、やがて血管は柔軟性をうしない動脈硬化になっていきます。
糖質の過剰摂取は細胞を痛める
糖尿病患者の合併症の代表的な症状に、脳梗塞や足の壊疽(えそ)などの血管障害があります。その発生メカニズムをまとめます。
@糖尿病とは血液中に「糖質」が余っている状態を示します。その余った糖質が血漿(けっしょう)と結びついてしまい血液が「ドロドロ」の状態になります。
その状態で血液が循環すると、先ほど上述した過酸化脂質による動脈硬化の発生メカニズムと同じことが起こります。そうして糖尿病の患者は、動脈硬化を発症しやすくなります。
A糖尿病を発症しているかの識別に血液検査で「ヘモグロビンA1C(エーワン・シー)」を調べます。これは、血液中のヘモグロビンと糖質が結合した量を調べることで、糖尿病であるか判断します。ようするに、糖質はヘモグロビンと結合する性質を利用した検査法です。
赤血球内にあるヘモグロビンは、酸素運搬や細胞の修復物質の中心的存在です。糖はそのヘモグロビンと結合し、赤血球の酸素濃度を低下させます。酸素の少ない赤血球は、細胞に必要な栄養素を運べず、細胞は弱ります。
そうなると、脳は不足がちの栄養素を細胞に届けるために、血管を細くして血管内を流れる血液との抵抗力(摩擦)を上げ、血管壁から栄養素が「滲み出しやすい」ようにします。
しかし、糖尿病を患っている人の血液は既に「ドロドロ状態」です。したがって、摩擦により血圧は上昇し、血管内では大量の活性酸素が発生しその影響で多くの細胞が損傷します。
タバコの成分は細胞を損傷させる
タバコに含まれる成分の1つに、一酸化炭素があります。この成分は、糖質同様に赤血球中のヘモグロビンと結合し、赤血球中の酸素濃度を下げてしまいます。その結果、細胞への栄養供給が低下し、糖質のところで上述したことと同じ症状になります。
また、他の成分にニコチンがあります。ニコチンは血中の脂質と結合し、脂質の質を低下させます。
また、窒素酸化物という成分も含まれており、この成分は白血球の働きを過剰にしています。ストレス下で生活する現代人は副腎機能が弱り、免疫が過剰傾向になっています。それは、アレルギー患者の増加数をみても分かります。
ただでさえ免疫が過剰傾向にある現代人が、タバコに含まれる窒素酸化物の作用で、免疫が更に過剰になります。その結果、自己の細胞までを攻撃してしまう「免疫疾患」になる可能性が高くなります。
血管は高速道路と同じ働きをしている
細胞に栄養素が不足すると、脳は血管を細くして血管内を流れる血液との抵抗(摩擦)を上げることにより、栄養素を細胞まで届けようとします。
しかし、その時に血管の柔軟性が乏しかったり、血液に溶け込んでいる栄養が不足していたり、また血液がドロドロしていたりする状況では、血管と血液の抵抗(摩擦)が発生し過ぎて、大量の活性酸素が発生します。
その活性酸素が増え過ぎると、正常な細胞まで損傷させます。人体にとって不足している栄養素を運ぶ作用と、その作用が行き過ぎて活性酸素が発生してまうことは、まさに「両刃の剣」です。
全身に張り巡らされている血管網は、大都市に張り巡らされている高速道路と同じ役目をしています。地震などで高速道路が寸断されると、都市機能はマヒします。
体も同様に、血管網が傷むと細胞に栄養が届かずに健康維持が出来ません。
血管の細胞が傷つく原因は上述してきました。その原因である過酸化脂質や糖質、またはニコチン類などを減らし、野菜や青背の魚の油の摂取などを増やし、柔軟性に富んだ血管網の構築、また血管内を流れる質の良い血液への改善のための努力をしてみてはいかがでしょうか。
川本療法の神髄を伝授:無料メルマガ登録
過酸化脂質・糖質・タバコが血管の細胞を傷つける 関連ページ
- 体について勉強していくと、病気は治せないことが分かる
- 健康な人は、異物に対する免疫反応が正常である
- 生まれてすぐに病気になる子どものメカニズム
- 「育てにくい子」が病気になるメカニズム
- 幼少期の抗生物質の服用と病気の関係
- 小胞体ストレスとB級品タンパク質の関係
- うたた寝したら、なぜ風邪を引くのか
- 老人ホームの入居者は、花粉症になる人は少ないが肺炎患者は多い
- 蜂に刺されて腫れる人、腫れない人
- 子宮頸がんワクチンの副作用から免疫を紐解く
- 細胞は復元されるなずが、、:リウマチが治らない理由
- 非ステロイド性抗炎症薬の機能を紐解く
- 「咳ぜんそく」は薬の副作用で発症する
- 自律神経の乱れが細胞修復を妨げ、病気を引き起こす
- 「食べれる」「呼吸できる」「出せる」「寝れる」ができると病気にならない
- ミトコンドリアが作るATPが、自然治癒力の源である
- 細胞を修復してくれる物質に「ヘモグロビン」がある
- 脳を正常に動かすには栄養が必要である
- 遺伝の影響により細胞の復元能力に差ができる
- 5000種ある体内酵素が、細胞復元と病気の発症に影響を及ぼす
- 糖鎖の働きが健康維持には重要である
- 後天的な要因が細胞の遺伝情報に影響を与える
- 体内で発生する毒素が病気の原因になる
- 体内毒素の処理能力に個人差がある
- アトピー性皮膚炎・膠原病・癌になる人の違いはどこにあるのか
- 生体水(体内に存在している水)が弱いと体内は酸化する
- 活性酸素の発生メカニズムと、その働きを紐解く
- 血管内を流れる血液が血管の細胞に傷をつける
- 合成界面活性剤は細胞にとって大敵である
- 小麦グルテンは、小腸壁の細胞を壊す
- 女性ホルモンや尿酸は、活性酸素を強力に除去する
- なぜ、男性は腸が弱いのか
- 食事から摂取する抗酸化物質の働き
- 骨折により変形した関節は、なぜ元に戻らないのか
- DNA・RNAが傷ついたとき、細胞復元を助ける核酸の役割とは
- 肝機能によるタンパク質合成能力が、細胞の復元に影響を及ぼす
- 背骨の配列のズレが、細胞復元に影響を及ぼす
- 体液(血液・リンパ液)が汚れると病気になる
- 体に必要な栄養素が不足すると病気になる