女性ホルモンや尿酸は、活性酸素を強力に除去する

 

増えすぎた活性酸素を分解する物質


人がストレスを受けたり、大量の放射腺を浴びたりした際に、体内では活性酸素が発生します。その活性酸素は細菌などを攻撃するため、人の生命維持には欠かせません。しかし、増えすぎた活性酸素の攻撃は、正常な細胞まで傷をつけてしまいます。

 

人類が今まで生き延びてこれたのは、体内で発生した活性酸素を、無毒化する作用が体に備わっているからです。

 

 

まれた瞬間から活性酸素の影響を受ける


赤ちゃんは母体内では、母親の胎盤とつながっていて酸素や栄養をもらっています。しかし、産まれてきた瞬間から、今までとは全く違う「肺呼吸」により酸素を得ます。この呼吸システムの変化により、新生児の体内では多くの酸素が急激に増えます。

 

急激に増えた酸素により、新生児の体内には多くの活性酸素が発生します。ただ、その活性酸素を無毒化するための物質が体内には備わっています。それが、ビリルビン(胆汁の主成分)です。

 

ビリルビン(胆汁の主成分)は、急激に増えた活性酸素を無毒化するために大量に造られ、血液中に流れ込みます。その結果、新生児黄疸(しんせいじおうだん)という症状がでます。その症状を見た親は焦り、医師に急変した我が子の症状を訴えます。しかし、医師は「これは大丈夫ですよ」と冷静に対応します。

 

そのような対応をとる理由は、新生児黄疸は病気ではなく、一時的に増えすぎた活性酸素を消す作用の1つと認識しているからです。

 

体内では常に活性酸素が発生しています。しかし、体内で増えすぎた活性酸素を無毒化する物質も多く生産します。その中心的な臓器が肝臓です。上記したビリルビンも肝臓で造られます。

 

肝臓は体内のビタミン・ミネラルを利用し酵素作用を活性化して、多くの抗酸化物質を造ります。その1つに、SOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)という、活性酸素をうち消す酵素があります

 

この抗酸化力は強力で、スーパーオキシドを「水」と「過酸化水素」に分解します。

 

その作用に続いて、「カタラーゼ」や「グルタチオンペル・オキシターゼ」という抗酸化酵素が追い打ちをかけて働き、過酸化水素を水に分解します。

 

体内では約5000種の酵素が働いています。人によって抗酸化作用を持つ酵素を「作り出す作用が強い人や、弱い人」がいます。その作用が弱い人は、増えすぎた活性酸素の処理ができず、病気になりやすくなります。

 

しかし、SODやカタラーゼなどの働きも完全ではありません。これらの酵素はスーパーオキシドに対する作用であり、酸化した油が原因で発生する過酸化脂質や、紫外線や放射腺を浴びた際に発生する一重項酸素、また過酸化水素が体内の鉄などと結合して発生するヒドロキシラジカルには対抗できないといわれています。

 

体内で発生するすべての活性酸素にSODだけでは対応できないため体内では、様々な抗酸化作用のある物質を合成します。

 

 

尿酸値が高い人は、病気になりにくい

 
男性は尿酸値が高くなる人が多く、痛風を発症しやすいです。医学界では、尿酸値が高いと病気と診断し尿酸値を下げる薬が処方されます。

 

しかし、この尿酸が活性酸素を処理する働きがあることは、あまり知られていません。

 

ここで尿酸が血中に増える原因をまとめます。

 

 @急激な運動の際に、血管内を流れる血流が急激に増え、その摩擦により活性酸素が発生するのを消すため

 

 A室内で多くの時間を過ごす人が、太陽(紫外線)にあたり過ぎた際に、発生する活性酸素を処理するため

 

 Bストレス下におかれると、白血球に属する顆粒球が増え、その顆粒球が放出する活性酸素の処理をするため

 

 C病院でのレントゲン・CT検査などで大量の放射線を処理するため

 

上記のように、尿酸はあらゆる原因で増えた活性酸素を、除去する働きがあることがわかります。

 

そのことから考えると、ストレス下で生活している人で尿酸値の上昇しない人は、活性酸素を除去する能力が低く、病気を発症しやすいともいえます。

 

しかし、ストレス下で生活している女性は、尿酸値が高くなることはほとんどありません。したがって、痛風は発症しません(閉経後には、痛風の発症率が高くなります)。その理由を下記に記述します。

 

 

女性ホルモンは、SODに匹敵する抗酸化力がある


女性の平均寿命は、男性よりも10歳ほど長いです。また、妊娠中の母親は風邪などを引くことは稀であり、子供も女の子は男の子に比べて病気の発症率は低いといわれています。その理由の1つに、女性ホルモンの存在があります。

 

女性ホルモンは排卵・生理をもたらしたり、体の丸みや乳房の膨らみといった女性らしさを保ったりするなどの働きがあります。ただ、それ以外にあまり知られていない重要な働きがあります。

 

その働きとは、優れた抗酸化物質であるということです。

 

人が生きていく上で必須の物質にコレステロールがあります。コレステロールは、脳の栄養や細胞膜の材料、血管の弾力性の保持、ホルモン・胆汁の材料などで、このコレステロールの質が低下すると健康状態を保つことができません。

 

しかし、日常では「酸化した油」や「糖質」の過剰摂取の影響、ストレスによる活性酸素の影響でコレステロールが「過酸化脂質」に変化してしまう状況が多くあります。

 

女性は男性に比べ、体内に脂肪を多く溜めこむようにシステム化されています。その理由は妊娠・出産時に赤ちゃんの栄養の確保や妊娠中に外部からの衝撃から胎児を守るためです。したがって女性は脂肪が多い分、「酸化」してしまう脂肪(過酸化脂質)も多く発生します。

 

そのようなことが起こると子孫が残せなくなるからでしょうか、女性ホルモンには脂肪を酸化させない強力な抗酸化力を兼ね備えています。

 

また、もう1つ重要な働きが白血球への作用です。ストレス下で生活すると白血球の働きが過剰になり、自分自身の細胞まで攻撃してしまうことで起こる、自己免疫疾患を発症します。女性ホルモンは、白血球をコントロールする働きがあります。

 

例えば、妊娠中の女性にとって、胎児は「異物」です。しかし、異物である胎児を攻撃してしまうと流産の原因になります。したがって、母体内では精妙な女性ホルモンのシステムで、胎児を攻撃しないように白血球をコントロールしています。

 

しかし、産後や長期化するストレス下では、女性ホルモンのバランスや合成力が低下してきます。そのホルモンのバランスや合成力が低下した際に、女性は「産後うつ」や「リウマチ、乳がん、卵巣がん」などの病気が発症しやすくなります。

 

そのことから考えると、女性ホルモンのバランス・合成能力を低下させないことで、病気を予防できるともいえます。

 

1つ参考までに、閉経とは、卵巣機能が低下してきたことでおこります。しかし、閉経しても女性が男性になることはありません。閉経すると、女性ホルモンの合成は副腎へと「バトンタッチ」されます。したがって、副腎の働きが正常であれば、女性ホルモンは継続して造られ、自己免疫疾患の発症を抑えられます。

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