なぜ、男性は腸が弱いのか
昔から男の子は、女の子より弱いといわれている
日本の平均寿命をみても女性は男性よりも約10歳は長く生きます。また、幼児期をみても男の子ほうが、女の子よりも多くの病気に罹ります。
そのような事実がありながら、「なぜ、男の子は弱いのか」という原因は語られていません。ここで、そのい原因を推測していきます。
子供でも大人でも男性は「腸」が弱い傾向があります。食あたりをしたり、風邪を引いた訳でもないの軟便のなる人が多くいます。
成人した時に、母親から「あなたは腸が弱かったから、苦労させられたのよ」などと告げられたりします。また、私のところに通う患者さんも同じような話をします。
軟便になる原因
男性は腸が弱いといわれていますが、軟便になる原因はいくつかあります。それをまとめてみます。
@遺伝的要因や幼少期に罹った病気の影響で弱る
A風邪など体が弱った際に、腸内に細菌・ウイルスが増殖することでおこる
B唐揚げや生クリーム類などの酸化した油やアルコールを多飲したことでおこる
C強いストレスの影響でおこる
上記のことが主な原因になりますが「C」が原因でおこる軟便が増えています。ストレス時になぜ、軟便になるのかの真意は後述します。
活性酸素を消す物質は男女で違う
人が生きていく上で、酸素は必要です。酸素を使いエネルギーを生産する際には、必ず活性酸素が発生します。ここで、活性酸素が大量に発生する原因をまとめてみます。
@ストレスが溜まったとき、または開放されたとき
A炎症がおこった際に、白血球が感染源に対し攻撃したとき
B激しい運動をしたとき
C農薬・除草剤または薬物が体内に入ったとき
D紫外線を長時間浴びた時
E手術で、止血していた場所に血液が流れ込んだとき(再還流)
Fレントゲン・CT・MRIなどの検査をしたとき
G抗ガン剤を投与されたとき
H電磁波・超音波にさらされたとき(長時間のパソコンの作業など)
I煙草の吸い過ぎやお酒の飲み過ぎたとき
J糖質の取り過ぎや過酸化脂質の食品(冷凍食品・油で揚げたスナック菓子・インスタントラーメン・串カツなどの揚げ物)を多く食べたとき
上記したような時に活性酸素が発生します。体内の異物を攻撃して殺してくれる意味では、活性酸素は体にとっては必須な物質です。しかし、それが増え過ぎると正常な細胞まで攻撃してしまい、自己免疫疾患などを発症する場合があります。
この増えすぎた活性酸素を正常な量にしてくれる物質が体内には備わっています。
その物質は、男女を問わず代表的なものは肝臓で造る酵素(SODなど)があります。男性は尿酸がそうであり、女性は女性ホルモンがその役目をします。
男性で尿酸値が上がる人、上がらない人
ここで男性を例にあげてみます。男性の体内で活性酸素が増えすぎた場合、まず第1番目に働くのが肝臓が造る酵素(SODなど)です。しかし、この酵素(SODなど)の合成力が弱い人は、活性酸素がの調整能力は低いです。その場合には「尿酸」が働き、活性酸素を調節します。
しかし、人によっては活性酸素が増えるような生き方をしていても、尿酸値が上昇しない人も多くいます。
このような人は、体内で発生した活性酸素の調節をどのようにしておこなっているのでしょうか。
胆汁は抗酸化物質である
上述したように、ストレスで軟便になる男性が増えています。その真意は、ストレス時は体内で大量の活性酸素が発生します。通常ならSODなどの酵素や、尿酸の作用で活性酸素を調節します。
しかし、遺伝的要因や成長過程で罹った病気の影響で、肝臓が造る酵素(SODなど)や尿酸を造る能力が低い人がいます。
このような人は、体内で発生した活性酸素の処理ができず病気になりやすくなります。それを防ぐための「第三の物質である胆汁」を体は備えています。
妊娠中、胎児の呼吸は胎盤呼吸ですが、産まれてきた瞬間から肺呼吸に変わります。胎盤呼吸から肺呼吸に移行するにあたり、胎児は多くの酸素を獲得できるように赤血球の数を増やします。その数は大人の赤血球の数より多くなります。
肺呼吸に上手く移行できた胎児の体には、多くの酸素が体内に入ってきます。今度は、肺呼吸に備え増え過ぎた赤血球が不必要になり、どんどん壊されていきます。
その際に、赤血球の中にあるビリルビンが血中に出てきます。大人はビリルビンを肝臓処理しますが、胎児の肝臓機能は成熟しておらずビリルビンを処理することはできません。処理できなかったビリルビンは血液によって、全身をめぐり毛細血管から皮膚の表面に運ばれます。
皮膚の表面に出てきたビリルビンは、紫外線の作用で分解されていきます。それにより発生する症状が新生児黄疸です。
ビリルビンをの作用は上記したメカニズムの他に活性酸素を無毒化する作用があります。新生児の体内は、肺呼吸により獲得した酸素と赤血球が結びつくことで、体内には大量の活性酸素が発生します。
新生児の体は、肺呼吸がはじまることで増えすぎた赤血球が不必要になることはお伝えしました。その赤血球が壊される際に発生するビリルビン(胆汁の材料)が活性酸素の調節をします。
その方法と同様に、大人になっても「ビリルビン(胆汁)」を使い活性酸素のを調節しています。
胆汁には下剤作用があります
肝臓で造られる胆汁は、胆のうに貯蔵され油物やアルコールの処理の際に、消化酵素といて働きます。それとは別に、上述したように活性酸素の調整物質としても働きます。
しかし、活性酸素が大量に発生する環境で生活したなら、胆汁も多く製造しなければなりません。
通常、胆汁の90%は小腸で再吸収され大腸にはいきません。しかし、活性酸素の処理のために、大量に造られた胆汁は、小腸で回収しきれずに大腸に流れ込んでいきます。
胆汁が大腸に達すると、大腸に棲息している腸内細菌と結合します。腸内細菌と胆汁が結合すると、「ニトロソアミン」という凶悪な物質ができます。体はそれらを速く体外に出そうと下痢を起させます。
現代に生きる人は多くのストレスを抱えています。そのストレスにより発生する活性酸素の処理に胆汁が使われるのです。男性の場合、胆汁はSODなどの酵素や尿酸の次に造られる第三の抗酸化物質です。
したがって、ストレス下で生活しているのに、尿酸値が上昇しない方で軟便傾向の方は、体が病気にならないように多くの胆汁を生産してくれているのです。
その為に起こる「軟便」を薬で止めようとする人が多くいます。しかし、上述した本文を読んで頂けたなら軟便の真意は理解頂けたかと思います。
軟便を薬などで止めることに主眼を置くのではなく、肝臓で酵素(SOD)を造らせる方法や生活習慣などの見直しが必要ではないでしょうか。
尚、生理のある女性は尿酸値が上昇することは稀です。また、女性で軟便になる人男性より圧倒的に少ないです。その理由は、女性ホルモンが尿酸や胆汁より強い抗酸化作用があるからです。
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