体内で発生する毒素が病気の原因になる
ガソリンの種類と排気ガスの関係
車を運転するためにはガソリンが必要です。そのガソリンは、ハイオクのガソリンを入れるか、軽油のガソリンを入れるかによって排気ガスの種類は変わってきます。最近では、電気で走る車があります。電気自動車からは排気ガスは出てきません。
人も動くためには、エネルギーが必要です。そのエネルギーは、食物や酸素などを利用して、細胞内のミトコンドリアで生産されています。そのエネルギーをつくる際にも、車の排ガスと同じように「毒素」が発生します。この発生する毒素の種類によって、発症する病気が変わってきます。
毒素の種類と病気の関係
人が勉強したり、運動したり、働いたりするにはエネルギーが必要になります。多くのエネルギーを使った際に、人は「疲れた」という感覚を覚えます。この疲れの原因の1つが、体を使った際に発生する毒素です。疲れに関係する毒素には、乳酸やアンモニアなどがあります。
体内で生成される毒素は何種類もあります。その毒素の処理ができないと、いわゆる病気を発症します。例えば、体内で発生する毒素が、うまく処理ができず、皮膚から出てきた状態がアトピー性皮膚炎であったり、発生した毒素が目に達すると白内障のような目の疾患があらわれます。
多くの患者さんを診てきて、この体内で発生する毒素に個人差があると私は考えています。ここで、実際に患者さんが問診時に訴える内容を列記してみるとその理由が分かります。
不眠を訴える患者さんのあれこれ:
Aさん 最近、不眠が続いたせいか、お腹が張って苦しく便秘ぎみなんです
Bさん 最近、不眠が続いたせいか、皮膚炎が出てきてしまいました
Cさん 最近、不眠が続いたせいか、指の関節が腫れてきました
強いストレスを受けたとき訴える患者さんのあれこれ:
Aさん ストレスの影響で、髪の毛がよく抜けてしまいます
Bさん ストレスの影響で、ゼンソクのような咳が出てくるようになりました
Cさん 先生、ストレスの影響って、五十肩になりますか?
上記したように、同じ原因があっても、個人に発症する病気に違いがあります。前述の通り、この病気の発症理由の一つに「体内で発生する毒素の違い」が関係していると私は考えています。
体内から発生する毒素は、その人の弱い箇所に集まります。弱い箇所に集まった毒素は、体(免疫)からみると、異物と認知されます。その結果、異物(毒素)を白血球が攻撃することにより、炎症症状がでます。
お坊さんの生き方を考える
人が頑張って生活をしようとすると、多くのエネルギーが必要になります。それに比例して、体内毒素の発生量も多くなります。また、その毒素の処理が上手くいかない場合は、その場所に炎症症状がでます。
動物の「ナマケモノ」や「コアラ」の生き方は、体内毒素の発生を極限まで抑えた生き方をしています。体内毒素は、エネルギーをつくる際に多く発生します。そこで、ナマケモノやコアラは、頑張ること(エネルギーを必要とすること)を放棄した生き方をしています。
その方法は、「動かないからエネルギーが要らない、エネルギーが要らないから食べない、食べないから糞便や排尿も少ない」という生き方です。コアラも同じように、ユーカリを少量食べて1日のほとんどを寝て過ごします。
人間では、お坊さんがそのような生き方をしています。五欲煩悩(食欲・睡眠欲・性欲・金欲・物欲)を捨てる訓練をします。お坊さんは、お布施で生活し、結婚もせず、お金儲けもしません。食事も寄付された物を少量食べるだけです。
ようするに、欲を捨てて生活することで、最低限のエネルギーでの生き方を選択しているのです。そのため、体内から発生する毒素量も少なくなります。毒素量が少ないと病気になる可能性は低くなります。
逆に、トライアスロンやマラソンなどの選手は、最大限のエネルギーを使って競技に挑みます。その結果、大量の体内毒素が発生します。大量に発生した毒素の処理ができなくなると、体に不調があらわれてきます。
そのような過激な運動の影響で、トライアスロンの選手は一般人に比べ、白血病を発症する確率が約3倍高いという報告があります。他にも、朝早くから夜遅くまで働く企業戦士も同じようなことがいえます。体内毒素は、運動をしていなくても仕事でも発生します。
生き方を変えられるか
栄養指導者は、お坊さんの生き方を例に出して、「少食療法」を唱えます。その理屈は、食べ過ぎてはいけないということでは間違っていません。しかし、現代人の多くは、欲を捨てる生き方を選択できない人が多いことに問題があります。エネルギーを必要とする現代人が、食事だけをお坊さんの真似をするのは無理があると思います。
ここで、皆様に問いたいのは、「あなたは、今の生き方を変えれますか?」ということです。
エネルギーを獲得するかりに、体内毒素は必ず発生します。その結果、病気のリスクは高まります。それを踏まえ、皆さんはどのような生き方を選択するのか考えてみてはいかがでしょうか。
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