副腎疲労症候群と糖尿病との関係

 急増している糖尿病
現代人の食事は偏っているとよく言われています。そのように聞くと、欧米の影響で肉食が増えて、食事バランスが崩れたと思う人が多いです。しかし、現代の人が食べている食材で、圧倒的に多いのは炭水化物です。

 

街を見渡せば、うどんに丼ぶり、ラーメン、またはパンにピザ。まさに炭水化物のオンパレードです。それに加え、現代人はお菓子類や飲み物からも、多くの糖質を摂取します。

 

炭水化物から食物繊維を抜くと、糖質になります。例えば、100グラムのパンから、植物繊維を省いて糖質量を計算すると、パン100グラムの中に48グラムの糖質が含まれています。

 

これを角砂糖(1つで4gの糖質)に換算すると、100グラムのパンには、角砂糖が12個分入っていることになります。

 

炭水化物中心の食事をして、糖質の摂取量が増えています。しかし、それに反比例して、肉体労働が減ったり、歩かないで車を使ったり、またクーラーなどを使用することで、カロリーを消費する機会が少なくなっています。

 

よって、糖尿病患者さんは増加の一途です。

 

 糖尿病とはどのような病気なのか?
人が食事を摂取して消化分解された糖質は、膵臓が分泌するインスリンホルモンの作用で細胞に届けられます。

 

しかし、遺伝的な要素によって膵臓でインスリンホルモンが造れなかったり、また糖質を過剰に摂取したりすると、糖を細胞に運ぶためのホルモンである、インスリンホルモンの質・濃度が低下してしまいます。その結果、糖質を細胞にまで運べなくなります。

 

そうなると血液中に糖が余った状態になります。本来、糖質は人が活動する際のエネルギー源です。これが細胞に届かなくなると、高血圧や高脂血症などを発症し、慢性的な疲労感がます。

 

また、血液中に糖質が余るとその影響で、血管が傷つき失明したり、腎臓の血管が侵され人工透析をうけないといけなくなったりします。                 

 

では、人の血液中にはどれくらいの糖質があるのでしょう? 血液検査では、血液、1デシリットルの中に、100ミリグラム以上の糖質があれば糖尿病と診断されます。

 

この数字を分かりやすく換算します。血液、1デシリットルを1リットルに換算すると、100ミリグラムは1グラムになります。ようするに、血液1リットルの中に、糖質は1グラム入っていることになります。

 

人の血液量は約4.5リットルといわれています。したがって、人の血液の中には、約4.5グラムの糖質しか含まれていないことになります。

 

この4.5グラムを超えると糖尿病と診断されます。この糖を調節してくれているのが、膵臓で造られているインスリンホルモンです。

 

上述したように、100グラムのパンには48グラム(角砂糖12個分)の糖質が含まれています。このような炭水化物中心の食事を食べていると、糖を調整するインスリンホルモンの質・濃度が低下してきます。

 

質・濃度が低下したインシュリンホルモンは、体内の血液中の糖を細胞に運べなくなり、やがて糖は血液中に余ってきます。このような状態を糖尿病といいます。 

 

 ストレスと闘うと血糖値が高くなる
遺伝による糖尿病以外では、一般的には、甘い物を多く食べ過ぎると糖尿病になると思われています。しかし、世界各国でストレスが糖尿病と関係しているという実験結果が多く発表されています。それをまとめてみます。

 

 @17世紀に英国医師トーマス・ウィリスは長期の悲しみや悲嘆が糖尿病を引き起こすと記している

 

 A東日本大震災の後に、血液検査で高血糖の方が増えることを筑波大や東北大のグループが発表

 

 B阪神・淡路大震災などの後に、高血糖状態になる人が多くなることを神戸大が統計を取り発表

 

 C米国の軍事関係者で、兵士4万5000人を調べ、実際に戦闘地域にいった兵士は一般兵士より糖尿病が2倍多いことを発表

 

 Dテルアレブの病院の調査では、湾岸戦争時には、糖尿病患者の血糖値がさらに上昇することを発表

 

 E米看護師6万3000人の調査で、夫からの暴力や精神的虐待が原因で糖尿病になるリスクが増えたことを発表

 

 F日本で、残業時間が50時間を超えると、残業時間25時間以下に比べて糖尿病発症率が3.7倍になることを発表

 

上記以外でも、三交代勤務や不眠症の方にも高血糖になる傾向が強いと国内外から発表されています。

 

 なぜ、ストレス時に血糖値が上がるのか?
食事とは関係がなくても血糖値が上がることは上述しました。それでは、ストレス時に血糖値が上がる理由をまとめてみます。

 

 @ストレス時には副腎皮質ホルモンが過剰に造られる。その作用の1つに血糖値を上昇させる働きがある

 

 Aストレスを克服するために、神経を張り詰め、筋肉を最大限働かせるためのブドウ糖が大量に必要になる

 

上記したように、ストレス時には、大量のブドウ糖をエネルギー源として使うために、体内で多くの「糖」が合成されます。

 

 たび重なるストレスでホルモンの質・濃度が低下する
このように、ストレスが長期化すると血糖値が高い状態が続きます。そのような状態になると、血糖値を調節するためのインスリンホルモンが必要になります。そのインスリンホルモンを合成する臓器は膵臓です

 

しかし、血糖値を調節するインスリンホルモンを多く造ると膵臓は疲れてきます。

 

膵臓が多くのインスリンホルモンを造り続けていくと、合成されるホルモンの質・濃度が低下してきます。質・濃度が低下したホルモンでは血糖値を調節することが難しくなります。

 

その結果、継続したストレスを受けると糖尿病を発症します。

 

 急増している男の糖尿病
パンやパスタ、またはケーキなどは圧倒的に女性の方が食べます。そのことから考えると、糖尿病になる人数は女性の方が多いはずです。

 

しかし、仕事をしている年齢層で、男女の糖尿病患者数を調べると、男性が女性より多く糖尿病を患っています。

 

上述してきたように、仕事をしているとストレスを継続して受けます。その結果、高血糖になります。その高血糖を正常に戻そうと膵臓からインスリンホルモンが合成されます。

 

しかし、たび重なるホルモンの合成に膵臓が疲弊してしまい、インスリンホルモンの質・濃度が低下していきます。そして、糖質を調整できなくなり、やがて糖尿病を発症します。

 

お伝えしてきたように、過酷なストレス時に、血糖値を急上昇させるホルモンに、副腎皮質ホルモンがあります。また、それを調節するホルモンは膵臓で造られるインスリンホルモンです。このように、人が生活していくうえではホルモンは欠かせません。

 

それらのホルモンは、体のどこでで造られるのでしょうか? そのことは、ホルモンの材料は何かに詳しく述べていますので参考にして下さい。

 

糖尿病の発症理由は、一般的には食べ物の過食があげられます。しかし、ストレスが原因で糖尿病になることをご理解下さい。

 

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