副腎疲労症候群とアレルギー疾患の関係
自分にとって嫌なものは拒否する
副腎という臓器を知っていますか? 副腎は体にストレスがかかったときに、脳からの命令を受けてストレスに対応するためのホルモンを造ってくれる器官です。
しかし、現代社会のようにストレスが多いと、その対応のために副腎が多くのホルモンを造り続ければなりません。そのような状況が長期間続くと、やがて副腎が疲弊してしまいます。そして、副腎疲労症候群になります。
副腎が疲弊すると、ある症状がでてきます。その症状とは、色々なことに対して臆病になります。例えば、人に対して必要以上に警戒したり、食品や薬品に対しても過敏になったりします。そのように、自分にとって嫌なことに対して拒否反応が強くなります。
アレルギー症状がある人は副腎が弱い
上記のことをもう少し詳しく述べていきます。アレルギー症状がおこるメカニズムは、脳が大きく関与しています。体に異物が侵入してきたと判断した際に、脳は、「ヒスタミンなど異物に攻撃を仕掛ける物質」を放出するように命令します。
特に、過去に病気になったり、過度のストレスを受けたりした人は、副腎が弱り体内が臆病になっているため、体を異物から守るためにヒスタミンなどの物質が過剰に放出されます。ヒスタミンなどが放出されると、異物を処理する際に炎症反応がでます。このことを一般的にアレルギー症状といいます。
ここでヒスタミンについて簡単に説明します。
@動物の細胞内に広く存在する化学物質である
A普段は細胞内でおとなしくしているが、アレルゲンや長期にわたる薬の服用により活性化する
B血管を拡張させ、アレルゲンに対応する白血球などを患部に集めやすくする
Cヒスタミンの作用により、白血球はアレルゲンを攻撃することで炎症症状がでる
このように、異物が体内に入ってきた際に、脳の命令により放出される物質がヒスタミンです。ただヒスタミンが過剰に活性化されるとアレルギー症状の原因となります。
副腎疲労がさらに副腎を疲弊さす
アレルギー症状がでる原因の1つに、ヒスタミンが関係することはお伝えしました。そのヒスタミンの放出量は、副腎の疲弊の度合いと関係します。副腎が疲弊していると体は臆病になるため、必要以上のヒスタミンを放出し、アレルゲンから体を守ろうとします。
しかし、ヒスタミンが多く放出されると炎症反応が強くでます。そこで、ヒスタミンの放出量を調整しているのが、副腎が造るコルチゾールです。皮肉にも副腎が弱るとヒスタミンが多く放出され、またそのヒスタミンの量を調節するために副腎がコルチゾールを造らねばならず、副腎は更に疲弊してしまいます。
そして、このような状態が続くと副腎が造るコルチゾールの濃度・質が低下してしまい、ヒスタミンの分泌量をコントロールできなくなります。そして、ヒスタミンが過剰に放出されてしまい、アレルギー症状を抑えられなくなります。
アレルゲンが侵入するルートは4つある
現代に生きる我々は、多くの化学物質を知らないうちに取り込んでいます。それらは食品にはいっており、何気につかっている歯磨き粉や化粧品にいたるまで化学物質が多く使用されています。また、それとは別に細菌やウイルスなども体内に侵入してきます。
これらのアレルゲンが体内に侵入するルートは4つあると私は考えています。そのルートをまとめてみます。
口や鼻を通り、気管支から肺に到達するルート:
このルートから侵入してくるアレルゲンは主に、細菌・ウイルス、または埃などです。このルートからアレルギー症状を発症する人は、過去に肺炎になったり、たび重なる風邪ひきを患ったりしたのが原因です。その人の脳は、気管支や肺をアレルゲンから過剰に守ろうとします。
本来、肺が強い人は、異物から身を守るマクロファージが強いために、体外から細菌・ウイルス、または埃などの侵入があったとしても、口、鼻または気管支ルートは過剰に反応しません。
その理由は、異物が侵入してきても肺内のマクロファージが異物をしっかり処理できる自信があるためです。
逆に、肺が弱い人は、過去に細菌・ウイルスなどに侵された経験があります。そのことがトラウマとなり、細菌・ウイルス、または埃などの侵入をゆるすまいと、口、鼻または気管支ルートが過剰に反応します。その結果、ヒスタミンを過剰に分泌して異物の侵入に過剰反応を示します。
その異物を必要以上に体外に追いやる手段が、咳やくしゃみ、または鼻水です。一般的にそのような反応をアレルギー症状といいます。その反応が過ぎるとアナフェラキシーショック症状がおこります。
口、食道ルート:
人が生きていく上で食事は欠かせません。しかし、現代に生きる人は不思議にも生きていくのに必須な食品にアレルギー反応を示します。この症状は、遺伝や過去に患った病気、または生活環境などが複雑に絡み合い、体内が弱ったことにより発症します。
その結果、本来は体に必要な物質も敵と感じてしまいます。アレルゲンの侵入ルートである口、食道の感覚器官が敏感になることにより、侵入を阻止しようとします。そのことにより、唇がひりひりして腫れたり、食道付近が締め付けられるような感じがしたりします。
小腸の壁からのルート:
人が食べた食物は、胃や十二指腸で消化された後に小腸から吸収されます。胃や十二指腸はあくまで食品を細かくする臓器であって栄養を吸収するのは小腸です。
人が食べた食物が体に必要か害になるのかを判断するのは、小腸の壁に組み込まれたセンサーです。その小腸の壁が健康なら、食べた食物が「異物か異物でないか」を適格に判断します。
しかし、現代に生きる人の小腸の壁には異変が起きています。その理由は、小腸に多く常在しているカンジタ菌が関係しています。カンジタ菌が増え過ぎると、カンジタ菌が分泌する毒素で小腸壁に傷がついてしまいます。
カンジタ菌が増え過ぎてしまう原因の1つに、お菓子やケーキ、またはパンなど、小麦商品に含まれるグルテンという物質があります。カンジタ菌はこのグルテンが大好物であるため、それを食べて爆発的に増殖します。
その結果、小腸の壁に傷を付けてしまいます。医学的には、そのような状態をリーキガット症候群(腸壁漏えい症候群)といいます。
傷がついた小腸の壁からは、本来は体に入らないはずの物質が侵入してきます。そうなれば、体内では「招かざる客が侵入してきた」と判断し、侵入してきたものに対して過剰な反応をしてしまい、アレルギー症状がでます。
この「小腸の壁が傷むことにより発症するアレルギー」は食物を食べた直後ではなく、数時間から長い時には1〜2日後にアレルギー反応がでる場合があります。そのことから、遅延型アレルギーと呼びます。
食事を食べた直後にでるアレルギー反応は、アレルゲンを断定しやすいです。しかし、遅延型アレルギーの場合は、アレルゲンが断定できにくいです。そのため、どの食品がアレルゲンになっているのか判断しくいです。しかし、最近は遅延型アレルギーの原因「物質を調べることができる医療機関が増えつつあります。
皮膚からの侵入ルート:
人にとって一番外敵と接している場所は皮膚です。皮膚の総面積は、大人の男性では約1.8平方メートルで、たたみ一枚分に相当します。皮下組織を含めた皮膚の総重量は約9キロになります。これは体重の14〜16%にあたります。
また皮膚内を流れる血液量は、体全体を循環する血液の三分の一を占めるほどの量になります。
面積も重量も人体の組織として大きい皮膚は、外部と接する機会が多いです。そのため、皮膚が損傷しやすく、絶えず新陳代謝を繰り返し、生命保持に不可欠な器官としての役割を果たしています。
その中でも、皮膚のバリア機能をやすやすと通過してくるのが界面活性剤です。界面活性剤は皮膚から入って細胞膜まで到達してしまいます。細胞膜に土足で踏み込まれた体は、その物質に抵抗しようと過敏になります。
しかし、界面活性剤は人が後天的に作りだした化学物質であり、その物質を体にいれないようにするシステムは人にはありません。
他にも、モルヒネや気管支拡張剤、またはニトログリセリンなど、以前は内服薬であった薬が、現在では皮膚に張り付けるタイプになっています。このように、皮膚のバリア機能をやすやすと通過してくる薬も増えています。昔は、皮膚に傷があるときなどを除けば、皮膚から異物が入ってくることはありませんでした。
皮膚のバリア機能は、とても信頼性の高いシステムです。しかし、そこから異物が侵入してくるので、体内の免疫からすればとても不安になります。その結果、過剰防衛になってアレルギー症状が強くでます。
薬で抑えると更に症状が酷くなる
上述したように、多くの異物が体外から侵入してきます。また、体内でも細菌・ウイルスが増殖してきます。それらに対し人は、ヒスタミンンや白血球を駆使して異物を抑え込んでいきます。
しかし、体内が弱ると侵入してくる物質や体内で発生する物質を全て敵とみなしてしまい、ヒスタミンは過剰になり白血球も過剰攻撃をします。
この症状を抑えるために、病院へいけば必ず薬が処方されます。その多くは抗ヒスタミン剤であり、ステロイド剤です。ただ、これらの薬は、異物に対して働きかけるものではありません。
異物が侵入してきた際に、ヒスタミンを過剰に出さないように、また、白血球に過剰に攻撃しないように攻撃側の働きを抑えるための薬です。ですから、薬を飲むとその作用で、アレルギー症状は治まります。
しかし、ヒスタミンや白血球は、薬の作用で働きを無理やり制御されています。ですから、薬を止めると、無理やり抑制されていた反発で、異物を今までよりも過剰に攻撃していきます。これがよく言われているリバウンド作用です。
そのことを繰り返すと慢性の炎症体質や自己免疫疾患へと移行していきます。
多くの患者さんが、症状を止めてほしいと願い、症状を止めた医者が名医といわれます。確かに、薬がないと生死に関わる重いアレルギー症状もありますので、薬を全て否定するものではありません。しかし、現代医学は、あまりにも簡単に薬を処方して症状のみを止めます。
生死に関わるようなきついアレルギー症状でなければ、安易に薬に頼るべきではないと思います。薬を使用していても、これだけ多くの人がアレルギー症状に苦しんでいるのにも関わらず、何十年も同じ手法で治療されていることに私は疑問を感じます。
考え方をかえないと終結はない
上述したように、現在は多くのアレルゲンになりうる物質が存在します。しかし、同じ家や職場にいても、同じアレルギー症状を発症するわけではありません。ここに体の複雑さがあります。「体内に侵入してくる」または「体内で発生する」物質の全てがアレルゲンではないのです。
体内に侵入しても悪さをしない物質は多くあります。それらを敵とみなして、すぐに攻撃するのか、また体内に取込んで、処理して無毒化する方法をとるのかの判断に分かれます。この判断には個人差があります。
上記の判断の基準に関係するのが副腎になります。副腎が弱る原因は遺伝や生活環境などで病気になり、体内が弱った結果です。そのことから体内を守ろうと、外部からの侵入物を拒否するようになります。
ようするに、アレルギー反応が強くでる人のタイプは、「副腎が疲弊してしまい自分に自信がなくなったことから、自分にとって嫌なものを必要以上に拒否してしまう」ことがあります。
アレルギー症状を抑えるために抗ヒスタミン剤やステロイド剤だけに頼るのではなく、副腎を回復方向にもっていくことにより、異物が敵か味方かを適格に判断させることができます。それができてくると、ヒスタミンの過剰放出や白血球の過剰攻撃を安定方向にもっていくことが可能になります。
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