ヘルペスウイルスは、人類の最大の敵である

 人は、感染症に罹り強くなる
人が進化する過程の中で、多くの感染症に罹っています。そして人は、一度罹った感染症に対しては罹りにくくなります。それは、体の中に侵入してきた細菌・ウイルス(抗原)に対して抗体を作るからです。

 

昔の人は、「子供は病気になりながら成長する」と経験から言っていました。幼稚園などで色々な感染症に罹るということは、多くの細菌・ウイルスに対し抗体を獲得しているのです。

 

しかし、感染症に罹った際に、人の抗体が細菌・ウイルス(抗原)の全てを殺しつくしているわけではありません。人の免疫から逃れ、生き延びた細菌・ウイルスは、その人の細胞に宿ることで死ぬまで住み続けます。

 

その病気の1つに水疱瘡(みずぼうそう)があります。その水疱瘡を発症さすウイルスがヘルペスウイルスです。

 

ウイルスは単独では生きれない
ウイルスは、遺伝子(設計図)しか持っていません。したがって、自分自身が増殖していき続けるためには、遺伝子(設計図)以外に材料が必要になります。その材料を持っているのが細胞です。そのためにウイルスは、細胞内に侵入しないと増殖・複製ができません。

 

人間の細胞は60兆個あるといわれていて、それが更に210〜220種の大きなコロニーに分けられています。体内のウイルスは、我先にとその細胞群のなかに入り込み、自分の住みか(細胞)を獲得していきます。

 

ここで私は、ヘルペスウイルスについて、ある仮説を立てて述べていきます。ヘルペスウイルスは、他のウイルスに比べて増殖力は弱く、住む場所(細胞)の獲得争いに負けてしまいました。「ウサギとカメ」に例えるならヘルペスウイルスは、「カメ」のように動きは鈍かったと思われます。

 

他のウイルスに宿られ、体の中の細胞で残っていた細胞は神経細胞だけです。脊椎動物にとって、一番大切で重要な器官は神経細胞であるために、ウイルスの侵入が安易にできないよう神経細胞の周りは何重にも保護しています。

 

したがって、ウイルスは神経細胞に侵入することができないために、神経細胞だけがウイルスに宿られないで残っていました。しかし、ヘルペスウイルスは偶然か、または地道な努力をしたかはわかりませんが、難敵の神経細胞への侵入に成功したのです。

 

 神経細胞は、ウイルスはにとって「安住の地」である
本来、人の細胞にウイルスが侵入してきた場合は、免疫が容赦なく攻撃します。したがってウイルスの多くは、細胞内で増殖することはできません。しかし、神経細胞だけは、勝手が違ってきます。なぜなら、人が生きていく上で、最も大切な場所が神経細胞だからです。

 

神経細胞を例えるなら、アメリカの軍事基地のペンタゴン(アメリカの国防省)になります。ペンタゴン(アメリカ国防省)は、国の安全を守るための情報基地です。テロ行為など、何かあれば大統領や軍隊に対し瞬時に情報を流し、戦闘態勢に入るように指示を出します。

 

そのペンタゴン(アメリカ国防省)のコンピューターにウイルスが侵入してきたら、どうなるでしょうか? 当然、ウイルスを発見し即、攻撃して退治します。

 

しかし、ウイルスはペンタゴン(アメリカ国防省)のコンピューターの根幹部分にはびこっているために、そのウイルスを攻撃した場合にはウイルスは死滅しますが、コンピューターの機能も停止してしまいます。

 

そのために、安易にウイルスを攻撃することができないのです。

 

上記したことは、ヘルペスウイルスに宿られた神経細胞が、ヘルペスウイルスを安易に攻撃できない構図と似ています。人にとってのペンタゴンは、神経細胞にあたります。その神経細胞に、ヘルペスウイルスが増殖します。

 

しかし、免疫は神経細胞に宿ったヘルペスウイルスに対し、総攻撃を仕掛けることができません。その理由は、ヘルペスウイルスを攻撃する際に、宿主である神経細胞も一緒に免疫の攻撃を受けてしまい、神経細胞が機能不全になるからです。

 

そのメカニズムは「突発性難聴はヘルペスウイルスに侵されて生じる」を参考にして下さい。

 

 ステロイドや抗炎症剤を飲むとヘルペスが喜ぶ
人が感染症に罹ったときに、病院を受診すると、必ずといっていいほど抗炎症剤が処方されます。症状が酷い場合はステロイド系の薬が処方されます。

 

これらの薬の作用は、細菌・ウイルスを攻撃しているのではなく、攻撃する側の白血球やリンパ球の働きを抑制します。免疫が細菌・ウイルスを攻撃しなくなるので、「炎症」がおきません。炎症が出ないということは、症状が治まったと患者は喜び、医師の評価も高くなります。

 

ただ、この間にもっと喜んでいるのがヘルペスウイルスです。

 

薬により、白血球やリンパ球の働きを抑えると、体全体の免疫力が一時的に低下します。その時、体内ではヘルペスウイルスが増殖を開始しはじめます。通常、ヘルペスウイルスは、白血球に睨みをきかされていて、簡単に増殖できません。

 

しかし、免疫が低下した、このときとばかりとヘルペスウイルスが喜び、増殖します。ようするに、抗炎症剤やステロイド系の薬で、免疫を抑える治療をするほど、ヘルペスウイルスをはじめ他の細菌・ウイルスも増殖してしまいます。

 

症状だけを止めるために薬を使うと、薬を止めた際には必ず、症状は再発していきます。そのメカニズムは次のようになります。

 

抗炎症剤やステロイド系の薬の使用を中止すると、約4〜7日で抑制されていた免疫の働きが回復してきます。その際に、神経細胞の増殖したヘルペスウイルスの存在に白血球が気づき、今度は一転してヘルペスウイルスを総攻撃しにいきます。

 

 原因不明の痛みにはヘルペスが関与している
最近、私の所に来院される患者さんで急増しているのは、原因不明の神経痛です。その症状は多岐にわたります、その一例をまとめてみます。

 

 @打っても、ひねってもいないのに股関節が傷む

 

 A風邪薬を飲んだ4〜7日後に四十肩を発症した

 

 B顔面や頭部の表面がピリピリするような違和感がある

 

 C耳の内部が急に痛くなった

 

 D腹部に、下痢でもないのに強烈に痛みが出る

 

など、レントゲンやエコーで調べてもらっても原因がわからない痛みの場合、ヘルペスウイルスが関与している可能性があります。

 

最近では入院するような激痛の頭痛である群発性頭痛や、全身の神経や筋肉が痛くなる線維筋痛症(せんいきんつうしょう)、または突発性難聴などヘルペスウイルスが「ゾンビ化(強くなった)」ことにより起こる、きつい症状も増えています。

 

 免疫力が回復すると病気になる
免疫力が回復すると病気になります。以外に思われるでしょうが、実際に膀胱炎やヘルペスなどの症状は、風邪を引いて薬を服用した4〜7日後に発症することが多くあります。ようするに、最初に罹った軽い症状を、安易に薬で止めると免疫が低下してしまいまう。

 

しかし、薬の服用をやめれば、今度は逆に白血球のj働きが活発になり、体内の細菌・ウイルスを攻撃します。そのことにより、先に挙げたような症状を発症します。

 

昔は、鼻水や咳、または軽い風邪症状などで病院に行くことはありませんでした。しかし、最近は少しでも鼻や咳などが表れると病院に行き、症状を止めてもらおうとします。このときの安易に処方される薬が、後に病院では対処できない重症な炎症症状を招きます。

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