ストレスと副腎の関係

 

古代人と副腎ホルモン


人類が誕生したのは約100〜200万年前といわれています。その時代の人の生活は、生きるために物を食べ、また子孫を残すために生殖行動をしていたと思われます。

 

その時代の人は雨が降れば寝て、お腹がすくと食べ、また、トイレに行きたいときに行くなど本能のままに生活していたと推測されます。また、物々交換もなく商売もありませんので、金欲などもなかったでしょう。

 

その時代の人のストレスといえば、「メス争い」や時々あったであろう「部族同士の争い」などと予想されます。しかし、これらの出来事は毎日おこることではありませんので、ストレスを感じる機会は少ないと考えられます。

 

ストレスを感じたとき、脳は副腎に対して副腎ホルモンを造るように指示を出します。これは、副腎ホルモンがストレスに対応しているからです。そのため、この時代は脳が副腎に対して「ストレスに対応する副腎ホルモンを造るように要求する機会」も少なかったのではないかと思われます。

 

あまりにも刺激が少ないと、逆に副腎に命令がこなくなります。そうすると副腎がホルモンを造る回数はへり、副腎の機能が操業停止の状態になります。それでは「いざ」という時に、副腎は必要なホルモンを造ることができません。

 

そのため、その時代の人は本能的に副腎の機能が低下しないように、酋長(しゅうちょう:部族の長)の誕生日や結婚式、またはお葬式などがあるたびに大声をあげて踊ります。この行動は脳を刺激し、副腎でホルモンを造る練習をかねていたのではないかと推測できます。

 

現代でもハワイやブラジル、またはスペインなどの人はよく踊ります。日本でも沖縄の人はよく踊ります。しかし、寒さなどの環境が厳しいロシアや北欧の人は、南国の方と比べてあまり踊ることをしません。

 

このことから環境面に絞って推測してみると、温かい地方の人達はストレスが少なく、副腎を「鼓舞」するために踊るのではないかと考えられます。またそれとは逆に、寒い地域の人達は「寒さというストレス」に耐えるために、毎日ホルモンを使うので踊る必要はないのではないかと予想できます。

 

 

現代人と副腎ホルモン


古代に生きた人と比べ、現代に生きる人は毎日をストレスと戦っています。例えば、住宅ローンの返済や子供の教育費どののお金銭問題、または仕事や対人関係に至るまで多くのストレスがあります。このようなストレスに負けないで生活ができるのは副腎の存在があるからです。

 

ストレスを感じた脳は、副腎にホルモンを造るように命令します。命令を受けた副腎は、真摯にホルモンを造って脳に届けます。その作用で人はストレスに打ち勝っていけます。

 

しかし、ストレスの多い現代人は、このシステムを朝早くから寝る瞬間まで使っています。そのため、脳が副腎にホルモンを要求する命令回数は多くなっています。

 

ようするに現代人の副腎はフル稼働している状態といえます。

 

その状態が続くと副腎が疲弊してしまい、ストレスに対応できなくなって日常の生活が困難になります。このような状態を副腎疲労症候群といいます。

 

 

現代人はなぜ、踊り、走るのか


平和な環境では副腎が「操業停止」になることを防ぐために踊り、厳しい環境ではその環境がストレスであるため踊らないということをお伝えしました。それでは、毎日がストレスでその対応に追い回されている現代人がなぜ、マラソンをしたり踊ったりするのでしょうか?

 

「マラソンなど過酷なスポーツをすると、脳は副腎にホルモンを要求するのでは?」 と思われる方が多いと思います。確かに、現代人はストレスが多く、副腎が造るホルモンの量は低下傾向にあります。副腎がホルモンを造れないと、仕事なども「頑張れなく」なります。

 

そのような時に人は、本能的に脳へのエネルギーを副腎ホルモン以外に求めだします。そのために現代人は走るのです。では走ることによって、体内でどのような事がおこっているのかを説明します

 

マラソンなど過激な運動は体にとって大きなストレスになります。体(脳)がストレスに直面すると、ストレスに対応するホルモンが副腎で造られます。しかし、前述の通り、この副腎ホルモンの使い過ぎによって、副腎はホルモンを造ることができません。

 

その場合に脳は、副腎ホルモン以外のストレス対応ホルモンを造るように下垂体に命令を出し、成長ホルモンを造らせます。

 

成長ホルモンとは、文字通り子供を成長させていくホルモンです。分泌のピークは思春期で、30歳を過ぎると10年ごとに約15%ずつ減っていくといわれています。

 

年をとって成長ホルモンが低下すると、筋肉の衰え、心臓や血管の病気、または体脂肪の増加などが起こるよく知られています。ただ運動をすることによって成長ホルモンが分泌され、ストレスに対応していることはあまり知られていません。

 

運動により成長ホルモンを造らせるわけですが、年齢・体力に応じた運動を続けていけば、このホルモンの働きでストレスへ対応ができます。しかし、運動は中毒性があり、過度な負荷をかけたくなります。この中毒をおこさせるのも成長ホルモンなのです。

 

要するに、ストレスに対応するための成長ホルモンですが、過度な運動を導くホルモンでもあります。成長ホルモンが分泌され過ぎると、癌に罹りやすくなったり、リンパ球のコントロールができずに突然死したりするなど「諸刃の剣」となります。

 

実際にトライアスロンの競技をされている人は、癌になる確率が高く、また突然死も多いといわれています。

 

「なぜ、現代人のストレスが多い環境で、また運動というストレスをかけ続けるのか?」という理由はご理解できたたと思います。

 

ただ、ここで考えて頂きたいことがあります。それは、副腎が造るホルモン量が減ったために、新たにストレスに対応してくれる成長ホルモンが「走る」ことで分泌されるということです。しかし、それよりも副腎を回復させ、副腎ホルモンを造れるようにしていく方法を考えるべきと私は思います。

 

また、休みの日でも現代人はホルモンを造り、使用し続けています。例えば、マラソンや自転車で長距離を走り自分を追い込んでいきます。その際にも多くのホルモンが必要になります。

 

このように、毎日襲ってくるストレスに対抗せねばなりません。このストレスに打ち勝つためのキーマンは、副腎が造るホルモンであるということを認識して下さい。

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