体内で「糖を生産する」ことが下手な人がいる
寝ている間の血糖値はどうなっているのか
現代人は多くの糖(グルコース)を摂取しているのに、数時間後にはまた糖(グルコース)が欲しくなるという理由は理解頂けたかと思います。
次に、「人が数十時間の間、糖質を摂取しなかったらどうなるのか」という疑問について述べていきます。例えば、夕食を夜の19時に食べて朝食が7時であると、夕食後に何も口にしなかったとしたら約12時間の間、何も食べていないことになります。
当然のことながら、糖質も摂取していません。普通に考えると、夕食から朝食までの12時間、何も食べていない人は低血糖になっていると思われます。
しかし、健康な人を使い、実験的に早朝の血糖値を測定しても血糖値は低下していません。なぜ、このようなことになるのか疑問に感じることと思います。
川で遭難した人が数日間、水だけで生き延びれるのか
上記以外にも、川で遭難した人が数日間水だけで過ごし、生き延び保護されたというニュースを耳にしたことがあると思います。このような場合、数日間水だけで過ごしたわけですから、体は低血糖症になり、生命の危険にみまわれそうなものです。
しかし、保護された人に話を聞いた記者はコメントで「体は衰弱していますが意識ははっきりしています」と報告しています。
脳は糖のみをエネルギー源として使います。その脳のエネルギー源を数日間も摂取していないのに意識が正常であるということに疑問がわきます。
糖は体内で合成される
仕事中に数時間で糖が体内からなくなり低血糖症になる人がいれば、数十時間、また何日も糖を摂取しなくても大丈夫な人の違いはどこにあるのでしょうか?
上記のような違いに大きく関与している物質が副腎で造られるコルチゾールというホルモンです。
ここでは、その作用の1つである低血糖症とコルチゾールの関係について説明します。
正常なコルチゾールの作用:
@低血糖が下がった場合には、筋肉に貯めていたグリコーゲンを糖(グルコース)に変換し血糖値を正常に保つ
A濃度・質が良質なコルチゾールは、タンパク質・脂肪・炭水化物を糖(グルコース)に変換する働きがある
濃度・質の低下したコルチゾールの働き:
@コルチゾール濃度・質が低下すると、筋肉内のグリコーゲンから糖(グルコース)を造れなくなって、低血糖状態になる
Aタンパク質・脂肪・炭水化物から糖に変換ができなくなり、低血糖状態になる
上記したように、人は低血糖状態になった場合でも、副腎が造るコルチゾールの濃度・質が正常であれば、体の中で糖(グルコース)を造ることができます。よって、数十時間、または数日間の間、糖質(炭水化物や甘いお菓子)を摂取しなくても低血糖症になりにくいことがわかります。
コルチゾール以外に血糖値を上昇させてくれるホルモン
低血糖状態が続くと生死に関わる危険性があります。そのため、体は低血糖状態から一刻も早く脱出するために、コルチゾール以外にも予備のホルモンを用意しています。
ここで、低血糖状態になった際、コルチゾール以外に働くホルモンをまとめてみます。
@グルカゴン:膵臓から造られるホルモンで、低血糖時に血糖値を上昇させる
A成長ホルモン:脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで、肝臓の糖(グルコース)を造る働きを強め、インスリンの働きを抑えて血糖値を正常に保つ
B甲状腺ホルモン:甲状腺で造られ、エネルギーの消費を一定に保つ働きがあるため急速なエネルギー低下(低血糖)を防ぐ
上記したように、人は低血糖にはなりにくいようなシステムが組まれています。そのシステムが正常に作動するために欠かせない物質がホルモンです。そして、このホルモンの材料の多くは肝臓で造られるコレステロールであることを理解してください。
また、副腎疲労症候群が関係する低血糖症の改善法の詳細は別のページにまとめています。
日本の病院ではホルモンについての知識が乏しく、ホルモンの異常と診断された場合には、そのホルモンを正常にする薬が処方されます。薬でホルモン値を正常にしたとしても、体に備わっている本来のシステムが改善するわけではありません。
ホルモンは本来、脳の命令を受けて、副腎や甲状腺などの各内分泌器官で合成されます。正常なホルモンを造るために必要な条件をまとめてみます。
@ホルモンを造る命令を出すためには、脳が正常でなければならない
A脳の命令を受ける内分泌器官の働きが正常でなければならない
B肝臓はホルモンの材料であるコレステロールを合成するため、肝臓が元気でなければならない
Cホルモンを体で使えるように変換させる酵素がなければならない
上記した以外にも、体内ではホルモンの合成のために神経系、血管系などが緻密にからみあって働いています。それらの働きを無視して短絡的に足らないホルモンのみに働きかける薬の処方に私は疑問を感じます。
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