変形関節の原因を探る:女性ホルモンとの関係
関節炎は女性に多い
先天性股関節脱臼・リウマチ・外反母趾・手根管症候群・ヘバーデン結節・腱鞘炎などを発症するのは圧倒的に女性がほうが多いです。
なぜ、女性が関節の疾患を引き起こすのかの原因は分からないとされていましたが、近年、その原因が徐々に明らかになってきました。
特に40〜60歳ぐらいまでの間に発症する関節炎は女性ホルモンが関係しているということです。
また、更年期ではない産後授乳期にも腱鞘炎やひじ痛を発症します。多くの方は赤ちゃんを抱っこすることで腱鞘炎やひじ痛が起きると考えていますが、実はここでも女性ホルモンが関係しています。
エストロゲンの生産時期や量について
卵巣で生産されるエストロゲンは女性の健康に大きく関与しています。エストロゲンの分泌量は初潮を迎えるころから増え始め20〜30代に生産量はピークになります。
また年齢とは別に、エストロゲンの血中濃度は生理周期とも関係しており、生理前には急激に低下します。
エストロゲンが低下する生理前では年齢が若くとも関節炎や子宮内の不調を感じる人がいます。
上記した、産後授乳期や生理前に発症する関節炎などは、その時期が終わると回復することからもエストロゲンが関節炎と深く関係していることが分かります。
エストロゲンはどのようにして働くのか
このエストロゲンは、単独で仕事をしているのではありません。
エストロゲンが仕事をするには、相棒である「エストロゲン受容体」と結合することで様々な働きができるようになります。
エストロゲン受容体は、関節包(かんせつほう)・腱鞘(けんしょう)・靭帯に存在します。また、子宮内膜・乳腺などにも存在します。
エストロゲンの働きの1つに、関節に多く存在する受容体と結合することで関節炎や腱鞘炎などの発症を防いでくれています。
しかし、エストロゲンの分泌量が減る更年期には、関節に多く存在する「受容体」とエストロゲンが結合できなくなることで、関節炎や腱鞘炎を抑制できなくなります。
その結果、関節が徐々に変形していきます。
早めに対策はできないかと、関節の違和感を感じはじめた時に一般的な整形外科を受診しても「原因はわかりません」「年齢からくる症状です」などの説明を受け「酷くなったらステロイド注射を試してみるのも1つです」と言われることがほとんどです。
家族で変形関節症を発症している人は注意が必要である
更年期時期や生理前、または産後授乳期に関節炎の症状が出る人、出ない人がいます。その違いはどこからくるのでしょう。
その一つに、腸内細菌で生産される「エクオール」という物質の生産力が関係しています。
ここで、「エクオール」についてまとめます。
@大豆イソブラボンに含まれる、「ダイゼイン」がエクオールの材料になる
A「ダイゼイン」が腸内細菌で代謝されることによってエクオールが生産される
B「A」で代謝され生産されたエクオールはエストロゲンによく似た働きをする
上記したように、エクオールは腸内細菌によって生産されますが、エクオールを生産できる細菌を保有している人、していない人がいて、そのことが関節炎などの発症に大きく関係しています。
また、その腸内細菌は遺伝子と関係しているとの説もあります。現に、変形性関節症ヘバーデン結節などを親が発症している場合、子どもも発症する確率が高いからです。
さらに、人種でもエクオールの生産能力は差があり、日本人は約半数の人が生産能力がありますが欧米人は約3割ほどの人しかエクオールを生産できないといわれています。
大豆イソブラボンとエクオールの関係
女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることがよく知られている食材に大豆に含まれる大豆イソフラボンがあります。
最近の研究(2018年)では、大豆イソブラボン自体がエストロゲンに似た働きをするのではなく、腸内細菌がイソフラボンに含まれる「ダイゼイン」を代謝して生産される「エクオール」がエストロゲンに似た作用があることが注目されているのです。
しかし、上述したように、全ての人がこの「エクオール」を産生できる訳ではありません。つまり、大豆イソフラボン(ダイゼイン))を摂っても、腸内細菌の違いによってエクオールが産生されず、女性ホルモン様の働きがあまり期待できない人がいるということなのです。
そのため、現在では、サプリメントとしてエクオールそのものを摂れるような製品も作られています。乳酸菌発酵で作られたエクオール含有食品において更年期の症状の改善に効果を発揮したというデータもあり、更年期の悩みがある女性の一つの選択肢と考えられます。
参考文献:手の外科専門医 平瀬 雄一
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