貧血の原因は鉄分不足だけではなく、腎臓も関与している
検査で異常がないと病気とは診断されない
人が生きていく上で、体には多くの症状を発症します。症状によっては病院で検査をして原因を調べますが、検査では発症原因が判らない場合があります。
そのような症状の1つに慢性の「貧血」があります。慢性の貧血が続いた時は、血液検査で鉄分(ヘモグロビン)が不足していないかを調べます。その結果、鉄分が不足していたなら、鉄分を補う薬や食事指導が提案されます。
その理由は、呼吸により得た酸素は血液中の鉄(ヘモグロビン)と結合することで、酸素が全身の細胞に運ばれるからです。
しかし、慢性貧血を患う人が血液検査を受けても、原因が判らないことがあります。そのような場合、医師からの治療方法は提案されません。なぜなら、現代医療は、検査結果から病気の原因を紐解くからです。
したがって、患者の体に著名な症状が出ていたとしても、貧血に対しての治療方針は提示されません。患者側からすると「こんなに症状が出ているのに、治療法がない」ことに不満がつのります。
検査では鉄不足ではないのに貧血を発症する理由
旅行などでバスや船に乗った際に、気分が悪くなり「おう吐」する人がいます。また、寝ている状態から立ち上った場合に、「めまい」のような症状により気分が悪くなる人がいます。
そのような症状を繰り返すと、体のどこかに異常があるのではないかと心配になり、病院で検査をします。しかし、多くの場合は原因不明と診断されます。
先ほど上述したように、酸素が血液中の鉄(ヘモグロビン)と結合し、全身の細胞に酸素が供給されることで貧血症状は起きにくくなります。ようするに、貧血とは酸素と鉄が結合出来ないことで発症します。
では、このような症状が発症する原因は何処にあるのでしょうか? 私は、そのような症状が続く場合は、腎臓の機能低下を疑います。
腎臓の主な働きの1つに、体内にある不要物質を排出する排尿作用があります。その他に腎臓の重要な働きに「エリスロポエチン」というホルモンを造っています。
腎臓でホルモンが造られていることはあまり知られていませんが、このホルモンは人が生きていく上でとても重要な働きをしています。
エリスロポエチンの作用
腎臓で作られるエリスロ・ポエチンは、赤血球の働きを活性する作用があります。その作用により、呼吸により得た酸素と赤血球中の鉄(ヘモグロビン)とが効率よく結合することで、酸素に富んだ血液が全身に運ばれます。
このエリスロポエチンの質や量は、一般的な血液検査で測ることはできません。したがって、血液検査では異常がないがないのに慢性の貧血を発症する人が多くいます。
このような場合は、赤血球の総数や鉄分の量だけではなく、赤血球の働きを活性させるエリスロポエチンというホルモンの質や量を疑ってみることが重要です。
自転車競技で有名なツールド・フランスの選手はドーピングにエリスロポイエチンを使っています。
長距離を走り、スピードを競う自転車競技がツールド・フランスです。そのコースには山などもあり、とても過酷な競技の1つです。
そのように多くの酸素を使う運動は、呼吸から得た酸素を効率よく全身の細胞に運べるかが、勝敗を決めるポイントになります。なぜなら、有酸素運動により発生する乳酸(疲労の原因物質)の分解には酸素が不可欠だからです。
呼吸が乱れだすと、酸素を吸う量が減り乳酸の分解が遅れます。そうなると、体内の疲労物質(乳酸)が蓄積し競技者は優勝争いから脱落していきます。
どうしても勝ちたい競技者は、禁止薬物である「合成のエリスロポエチン(通称、エポ)」を使用します。
なぜなら、厳しい競技の影響で赤血球の働きは低下し、赤血球中の鉄(ヘモグロビン)と酸素が結びつ能力も低下してしまいます。その結果、血液中は酸素不足の状態になります。
競技者はそのような状態では、よい結果が出せないために、禁止薬物であるエポを使用したくなります。なぜなら、エポの作用は赤血球の活性を強力に促進します。その結果、酸素と鉄(ヘモグロビン)を効率よく結びつけることができます。
その結果、血液中の酸素濃度は増え、全身の細胞に酸素が運ばれます。そのことで、体内で発生する疲労物質(乳酸)を分解することができるため、競技者のパフォーマンスは維持されるのです。
腎臓の強さが、エリスロポエチンの合成量に関係する
エリスロポエチンを造るのが腎臓です。この腎臓機能が強いか弱いかで、エリスロポエチンの合成能力が違ってきます。
ここで、腎臓が弱くなる理由をまとめます。
@幼少期に扁桃腺が何度も腫れた経験がある
A幼少期に中耳炎などの耳の病気に何度も罹ったことがある
B風邪をよく引く体質である
Cタンパク尿や潜血があると診断されたことがある
上記したように、炎症がおこる病気を繰り返し発症した場合は、体内の免疫(白血球)は、細菌・ウイルスから体を守ろうと攻撃します。その際に、細菌・ウイルスの残骸を処理するのが腎臓です。
ようするに、腎臓には多くの細菌・ウイルスが集まる構造になっています。過剰になった免疫は、腎臓に存在する細菌・ウイルスの残骸を「敵がいる」と思い込み攻撃することで、腎臓に炎症症状がでます。
この症状が腎盂炎(じんうえん)です。腎盂炎は、慢性の扁桃腺炎や中耳炎などを繰り返す人に多く発症します。その理由を理解して頂けたかと思います。
そうなると、幼少期からバスや車に乗ると酔ってしまったり、大人になっても遊園地の回転系の遊具や船に乗るのが苦手であったりします。
その背景には、腎臓が自身の免疫の攻撃により弱ってしまい、その結果、エリスロポエチンの合成力が低下したと推測されます。
上述してきたように、人の体に表れる症状からその原因を紐解くことができます。一般的にいわれている「常識」とは違う原因で、病気を発症していることがいかに多いかをご理解下さい。
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