痩せてる人が太れない理由:血管と血球との関係
痩せ過ぎの人が増えている
2015年の厚労省の発表によると8人に1人は痩せ過ぎであると発表されました。飽食の時代に痩せ過ぎの方が意外に多いことに驚かされます。
一般的には肥満の方は病気になりやすいと思われているため、肥満解消のための情報が多くあります。
一方、痩せている人は病気ととらえられないために、体調不良を訴えたとしても、それを病気と受け止めてくれる病院は少ないです。
痩せ過ぎの人は、胃やすい臓などの消化器官が弱かったり、呼吸が浅かったりします。また性格的には自分に厳しく、他人にも厳しいところがあります。
上記したように、痩せ過ぎの人は多くの症状を訴えます。その症状の1つに低血圧や冷え症状があります。
痩せ過ぎの人は日常生活が辛い
ここで痩せ過ぎの人が発症する、血液や血管が関係する症状をまとめます。
@体が常に冷えており、特に手足の冷えは深刻である
A立ち眩みや貧血が頻繁に起こる
B頭痛が頻繁に起こる
C低血圧・低体温である
痩せ過ぎの人は、上記したような症状の他に慢性的な疲労感や常にイライラしたりします。
痩せ過ぎは栄養を末端まで運べない
痩せ過ぎの人に冷え症が多い理由を知るためには、「血液とその中を通過する血球の関係」を理解してもらうことで、後述することが理解しやすくなります。
・なぜ、血管より血球の方が大きいのか:
人の血管直径に対し、血球の直径はやや大きくなっています。そのことから推測すると、血球は血管に入っていけないと思われますが血球は弾力性があることと、血圧の作用で血球は血管内に入り流れることができます。
もう1つの理由として、血管の構造があります。血管はホース状になっていますが、その構造は「散水用のホース」です。ようするに、ホースの胴体からも液体が外に流れ出る構造になっています。
その散水ホース(血管)内を、栄養素を保持する血球が通過する際に血管の内壁と擦れ合うことで、血管から栄養素が滲み出て各細胞に栄養素が届く仕組みです。
・血管より大きい血球を全身に流すために血圧が必要になる:
血圧が低いと血球を押しこむ力が弱くなり、血管内を血球が通過するスピードが低下します。血管と血球の摩擦力が弱いことで細胞に栄養素が届きにくくなります。
一方、血圧が高過ぎる場合は血管と血球の摩擦が高く、血管に負担がかかり重篤な病気を発症する場合があります。
・血管に柔軟性があり、血球に弾力性があることが理想である:
上述してきたように血管と血球の関係は重要です。例えば、大人がケンカなどで興奮すると血圧が上昇します。しかし、子供はケンカなどで興奮しても血圧はひどく上昇しません。
この違いはどこからくるのかというと、子供の血管は柔軟性があり血球が弾力性に富んでいることが推測されます。
血管の柔軟性は、コレステロールやコラーゲンなどの血管の材料が必要です。一方、過剰な糖質の摂取で血管は硬くなり柔軟性を損ないます。
また、血球もタンパク質や脂質、またはビタミンB12などの栄養が必要です。一方、糖質や酸化した油の過剰摂取は、血球と血球がくっついてしまい血流低下を招きます。
また、ストレスが多くなると細胞から大量の活性酸素がつくられ、このことで血管・血球とも柔軟性が損なわれます。
上述したように、血管と血球との摩擦がないと血管から栄養が滲みでません。そのためには血圧が必要です。
痩せ型タイプは低血圧症や冷え症の人が多い
痩せ型タイプの特徴の1つに、血圧の上の値が100mmHgに達しない人が多くいます。さらに、血管が硬く柔軟性に乏しい傾向にあります。
ここで、庭に水を散水するシーンを思い浮かべてください。低血圧とは散水の際の水の圧力が弱い状態です。さらにホース(血管)の胴体に空いた穴から水が滲みでて散水する構造ですが、水圧(血圧)が低いために、ホース(血管)胴体から水が流れでません。当然ながらホースの末端には水が流れにくい状態です。
まさに痩せ型冷え症タイプは、上記したように「血管と血球との間での摩擦は少ない」ことで末端まで栄養素を運ぶことができません。
なぜ、痩せ型に低血圧や冷え症が多いのか
ここで痩せ型タイプは、なぜ低血圧や冷え症が多いのかをまとめてみます。
・酸素と血液の関係:
@胸板が薄いことで肺活量は少ない傾向にあり,多くの酸素を取り込めない
Aヘモグロビン(酸素と血球を結びつける)の質が悪く,量が少ない傾向にある
B腎臓が弱く、赤血球を増やすホルモン(エリスロポエチン)の合成能力が弱い
上記したことに加え、性格的に過緊張な人が多く呼吸が浅いことで、さらに酸素と血球は結びつくことができずに低血圧や冷え症を発症します。
・自律神経と血管の関係:
@性格が過緊張タイプのため、自律神経の支配を受ける血管は細く、硬くなる
A低血圧のために、硬くなった血管に対し血球を押しこむことができない
・血管・血球と栄養との関係:
@胃などの消化器官が弱いために、血管や血球を構成する材料であるタンパク質や脂質を食べない傾向にある
A血管や血球の材料を食べても、体内にある代謝酵素(食べ物から栄養素を作り出す)の働きが弱い傾向にある
B胃などの消化器官が弱いと思っているので炭水化物(糖質)に手が伸び、その影響で血球と血球が連結して血液が粘る
上記したことで、痩せ型タイプは血管が硬くなり、さらにその中を通過する血球も「ドロドロ」としています。そのことで、血液が末端にまで行きにくく冷え性になります。
上記した「@」の補足ですが、血管や血球を構成する栄養素にビタミンB12があります。このビタミンは動物性タンパク質にしか含まれていません。したがって豆腐などの植物性タンパク質ではその栄養素を獲得できません。
そのことを知っていたのか、我々の祖先は「豆腐にカツオ節」、「納豆にはウズラの卵」、「味噌汁の出汁に煮干し」というように植物性タンパクに必ず動物性タンパクを加えていた知恵に驚かされます。
痩せ型タイプは「しもやけ」を発症する
血管と血流の関係はとても精妙です。その関係が乱れることで起こる症状に「しもやけ」があります。
一般的に「しもやけ」とは、血流が悪いことで起こると思われています。しかし、血流が悪くなると指先は青白くなるはずです。
しかし、「しもやけ」を起こしている患部は赤く痒くなります。
例えば、寒い日にお風呂に入ると足が赤くなりいたる所が痒くなります。また、雪などで遊んだ後、手を水で洗うと手は真っ赤になりジンジンしてきます。
このように普段に血液が乏しい箇所に急激に血液が流れることで、血管と血液との間に摩擦が生じ、その摩擦の影響で活性酸素が発生します。その活性酸素の作用で患部に炎症が起き赤く痒くなります。
痩せ型タイプの人の血管は硬く柔軟性に乏しい傾向があります。また、低血圧傾向のために血液の流れも勢いは強くはありません。
その痩せ型タイプの人は、温度の低い環境下では血流が低下し冷えています。そこで急に暖かい環境になることで、血流が不足している箇所に大量に血液が流れ込みます。
その結果、血液と血管に摩擦が生じ、いわゆる「しもやけ」を発症します。
痩せ型タイプの人は、頭痛で悩んでいる人が多くいます。この頭痛の発症原因にも血管と血流が関係している場合があります。
ようするに、脳血管に対し大量の血液が流れ込むことで血管と血液との間に摩擦が生じ活性酸素が発生します。その影響で炎症が起き、痛みを伴います。
そのことは頭痛薬をみても分かります。偏頭痛薬の作用は血管を過剰収縮させることで血流を低下させることにあります。ようするに、血液が脳血管に対し流れ込み過ぎないようにしているのです。
血管に柔軟性を持たせ、弾力性のある血球を保持することが大切である
私は患者さんに対し、血管の柔軟性を持たせることと、血球に弾力性を持たせることの重要性を説明しています。
そのために、栄養や酵素のことを理解して頂き、場合によってはサプリメントの服用を勧める場合もあります。
痩せ型を元気にする大きなポイントに「血管と血流を良い関係に保つこと」が不可欠です。
なぜなら、血球が血管内の壁に擦れることで栄養は細胞に運ばれるからです。逆にいえば、血流が悪く血管が硬いと摩擦力は小さく細胞に栄養は届きにくくなります。
痩せ型タイプを元気にするには多くのことを複合的にしていかねばなりません。その一つに血管と血液の関係が重要であることを認識してください。
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