糖尿病で腎臓が侵される:腎臓にとって悪いのは塩か?

 糖尿病とは、血液中に糖質が余った状態をいう
食物から得た糖質や筋肉などから合成された糖質は、血管により細胞に運ばれます。糖質が細胞に効率よく運ばれるためには、膵臓で造られたインスリンホルモンが必要です。

 

しかし、毎日の食事で多くの糖質を食べたり、ストレスにより血糖値が上昇したりする機会が増えると、膵臓で合成するインスリンが多く必要となります。そうなると膵臓が疲弊し、インスリンの質・量が低下します。

 

質・量が低下したインスリンでは、血液中の糖質を細胞にまで運ぶことができずに血液中に余ってしまいます。この状態の時に血液検査をすると高血糖症(糖尿病)と診断されます。

 

 予備軍を入れると10人に3人は高血糖症(糖尿病)である
糖尿病患者は増える一途です。それによって、糖尿病による合併症も多く発症します。その代表的なものが糖尿病性腎症です。この症状は、高血糖により、腎臓の毛細血管が傷つくことで起こります。そうなると、体内の毒素を尿として排出できなくなります。

 

その糖尿病性腎症が進むと、排尿困難になります。排尿困難では、脳細胞に体毒が回り尿毒症になります。病院ではそれを避けるために、人工透析という「血液を浄化する機械」を使い、血液に残った毒素を除去して体内に戻します。

 

今まで人工透析を必要とする代表的な病気といえば、ネフローゼ(腎臓病)でした。ネフローゼは感染症が起因で起こる腎臓病で、それが進行すると体内の毒素を排出できなくなり、人工透析が必要になります。

 

しかし近年、人工透析の治療を受ける患者の勢力地図に変化がでてきました。ネフローゼなどにより人工透析が必要な患者数よりも、糖尿病の合併症で人工透析を必要とする患者の数の方が多くなっています。

 

 世間では腎臓病だと「塩」を控えなさいという
腎臓病を患うと、世間では「塩を控えなさい」といいます。戦前・戦後の医学がまた発展途上の時、高血圧の原因は「塩分である」という教えを医学界が広めました。

 

その理屈を説明しますと、腎性から塩分が排出されないと、血液中に塩分が残ります。脳は、その塩分濃度を薄めようと血液中に体液(水)を増やす指示を出します。そうなると塩分濃度は薄まりますが、血液量全体は増えてしまいます。

 

増えた血液が血管内を流れる際に「抵抗力が増して」高血圧傾向になるというものです。当時は、東北地方などの寒い地域は、体温を上げるために塩分量の多い食事でした。その地域に高血圧患者が多いことも、腎臓病と塩の関係を後押ししました。

 

そこで政府は、全国民に「減塩運動」を呼び掛け、塩分の取り過ぎに注意を促しました。その減塩運動を推奨し、既に40年以上が過ぎましたが高血圧患者は増加しています。私のところに来院される高血圧患者さんの多くも減塩しているにもかかわらず、高血圧症状が改善しません。

 

 高血糖(糖尿病)患者に腎臓病が多い
世間では「高血圧(腎臓)=塩分」と思っています。しかし、糖尿病性高血圧という合併症があります。高血糖症の患者は血液中に糖が余っている状態です。

 

その糖が血液中のヘモグロビンと結合し、いわゆる「ドロドロ」の血液になります。その結果、粘性の高まった血液を全身に送り出すために高血圧になります。

 

また、そのような血液が腎臓の血管壁を傷つけることで、体に必要な栄養素が尿に出てしまったり、必要のない毒素が体外に排出できなくなったりします。

 

そのことが原因で、腎臓本来の働きができずに糖尿病性腎炎に移行し、「網膜症」や「足の壊疽」など血管が傷つくことで起こる合併症を発症します。

 

また、高血糖症をと診断されていない人でも、食事や間食から多くの糖(炭水化物を含む)を取り、ストレスで血糖値が上がる機会も多くあります。

 

そのような時、血液中の血糖値は一時的に急上昇しており、短時間ですが高血糖症になっています。1日に何度もそのような状態を繰り返すと、腎臓などの血管に傷をつけることになります。

 

 インスリンが血管に傷をつける
高血糖症になる原因の1つに、インスリンというホルモンの質・量の低下があります。インスリンの作用は、血液中の糖を細胞に誘導していくことです。しかし、質・量の低下したインスリンは、糖を細胞内に誘導できません。したがって、糖が血液中に余ってくることで高血糖症になります。

 

その状態では、細胞内に糖が足りていないことになります。脳はその状態を回避しようと、体内で糖を合成したり食事から糖を取るように命令したりします。それと同時に、膵臓にインスリンホルモンを放出するように命令します。

 

脳から命令を受けた膵臓はインスリンを放出します。しかし、質・量が低下しているインスリンでは、血液中の糖を細胞まで誘導できません。したがって、脳は再度、上記した命令を出してきます。

 

そのことで血液中には、質・量の低下したインスリンが余ってしまいます。この余ったインスリンと糖質が結合すると、血液の状態は、さらに「ドロドロ」になります。そして、それらの影響で血管の壁に傷をつけてしまうことで、腎臓病や高血圧を発症します。

 

一般的には、腎臓病や高血圧の原因は「塩分」であるとの認識があります。しかし、上述してきたように、高血糖状態により腎臓病や高血圧が発症することもあります。

 

人の体について、「言い伝え」や「俗説」、「広告」などの情報により、何を信じて良いのか分からなくなることが多くあります。上述してきたこともその1つです。

 

ある情報に基づき、ある一定期間努力してみて症状の改善がなかった場合には、その情報を見直し、他の方法を取り入れてみることが大切ではないでしょうか。

 

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