痩せている人が太れない理由:胃との関係

 

痩せ過ぎは病気である


2015年の厚労省の発表によると8人に1人は痩せ過ぎであると発表されました。飽食の時代に痩せ過ぎの方が意外に多いことに驚かされます。

 

一般的には肥満の方は病気になりやすいと思われているため、肥満解消のための情報が多くあります。

 

一方、痩せている人は病気ととらえられないために、体調不良を訴えたとしてもそれを真摯に受け止めてくれる病院は少なく、また痩せ過ぎを改善させるための情報もとても少ないです。

 

私の治療所では痩せ過ぎで虚弱なタイプの人を病気ととらえ、健康指導にあたっています。そこから痩せ過ぎの人にはいくつかの共通点があります。それをまとめます。

 

 @胃の消化力が弱く、タンパク質や油物が苦手である

 

 A膵臓や胆のうの働きが弱く、お腹にいつまでも食べた物が残った感覚がある

 

 B過緊張のために呼吸が浅く末端が冷える

 

 C甲状腺や卵巣で造られるホルモンの合成力が弱い

 

上記したことが原因で痩せている人は太ることができない傾向にあります。また、性格的には完璧主義者が多く、仕事を人に任せることができない人が多いです。

 

ここでは痩せ過ぎと胃の消化力について述べていきます。

 

 

痩せ型の人は「酸っぱい物」が好きである


胃酸の分泌量が多いか少ないかを調べる1つの方法に、梅干しやお酢のような酸っぱいものが好きかどうかがあります。

 

太っているタイプの人は胃酸の分泌量が多いために酸っぱいものを嫌う傾向にあります。その理由は、酸っぱい物をたべると元来多い胃酸がさらに分泌されることで胃付近が気持ち悪くなります。いわゆる胃酸過多になるからです。

 

一方、痩せ過ぎの人は胃酸の分泌量が少ないために酸っぱい物が好きな傾向にあります。その理由は、酸っぱい物の刺激で元来少ない胃酸の分泌を促進してくれるからです。したがって、痩せ過ぎの人は食べ過ぎた時には梅干しや酢の物を欲します。

 

また、痩せ過ぎは「苦い物」も好きです。その理由は苦み成分は脳を刺激し、胃や膵臓から消化酵素の分泌量が増えるからです。

 

 

肉は消化に悪いのか


一般的に肉は消化に悪いといわれています。しかし実際はステーキや鶏肉、またはブタシャブを食べても「胃もたれ」や「胸やけ」を起こす人は少ないです。それは、胃はタンパク質を分解するための消化酵素を多く保有しているからです。

 

その消化酵素はプロテアーゼです。酢豚にパイナップルが入っていますが、その理由はパイナップルはプロテアーゼを含むために肉を軟らかくしてくれるからです。

 

プロテアーゼは摂取したタンパク質を分解し、体内で使いやすい形にまで分解し吸収しやすくします。私たちが普段取り入れているタンパク質は、人間のタンパク質とは構造が違うので、そのまま摂取しても体内で利用することはできません。

 

そこで、プロテアーゼが異種のタンパク質である肉や魚をいったん分解し、吸収し体内で使えるタンパク質に変化させてくれるのです。この酵素が少ないと、たんぱく質を食べても体内に取り入れる量も減り、いわゆる痩せ型の虚弱体質になります。

 

ここでプロテアーゼを簡単に分類します。

 

 @胃液に含まれるペプシン、レンネット

 

 A膵液に含まれるトリプシンやエラスターゼ、カルボキシペプシターゼ

 

 B腸液に含まれるアミノペプチターゼ

 

上記したように胃や膵臓には多くのプロテアーゼを含む消化酵素が存在します。

 

 

痩せ過ぎの人がタンパク質を敬遠する理由


太ることができないのは、遺伝の影響が大きく関与しています。その遺伝とは歯並びや髪質などの外見が似るだけではなく、各内臓で造られる消化酵素の質や分泌量まで遺伝の影響を受けます。

 

ようするに痩せ過ぎの人は、遺伝の影響で胃や膵臓から分泌する消化酵素の質や量が弱いと推測できます。

 

タンパク質を消化する酵素(プロテアーゼ)の質・量が弱いと、タンパク質の分解がうまくいかず「胃もたれ」や「膨満感」にみまわれます。そのことで痩せ型タイプは、肉は消化に悪いと思い込んでしまい炭水化物に手が伸びます。

 

 

肉を避けると、さらにプロテアーゼが造れなくなる


痩せ過ぎの方はタンパク質分解酵素であるプロテアーゼの質・量が弱いということはお伝えしました。また、その影響が遺伝によるものであるともお伝えしました。

 

したがって、痩せ過ぎの人は親も痩せ過ぎていることが多いです。このことで問題が生じてきます。

 

子供の食事は、一般的には親が作りります。親が痩せ型でプロテアーゼの製造が弱いタイプの場合、食卓に並ぶメニューにはタンパク質が少なくなります。

 

なぜなら、自分自身が苦手な食物は消化しにくく体に悪いと思い込んでしまっているからです。ようするに、親の嫌いなものは食卓には並ばないということです。

 

そうなると、ますますタンパク質を摂取する機会が減ります。そうなると胃や膵臓はプロテアーゼを造る機会が減ってしまうことで、さらにプロテアーゼの製造能力が低下します。

 

私は多くの食事法を経験して上記したことを実感しました。その一例を紹介します。

 

約10年前に玄米菜食を2年間ほど厳格におこなっているときのことです。知り合いの医師にステーキを食べに連れて行って頂きました。

 

約2年ほど、動物性たんぱく質を食べていなかったので、食後に猛烈な腹痛と膨満感にみまわれました。その際に、やはり肉は体には害であると私は思い込み、さらに厳格に玄米菜食を進めました。

 

一緒に玄米菜食を中心に食事を行っている人も、口を揃えて「肉を食べると消化がしない」と嘆いていました。

 

一般の人が肉を平気で食べているのに、肉を長期間食べない玄米菜食主義者たちは肉を食べた際になぜ消化不良を起こし下痢をするのでしょうか? この疑問に対し玄米菜食主義たちは「肉が悪い」と思い込んでいます。

 

しかし実際は、肉を長期間食べないことでプロテアーゼを多く造る機会が減ることが原因と考えられます。

 

ようするに胃や膵臓はプロテアーゼを造る作業は休止状態になっています。そこに急に動物性のタンパク質が入ってきても、それらを消化できないことで腹痛や膨満感になります。

 

上記したことと同じように痩せ過ぎ体質の家族は、タンパク質を控えます。その結果、胃や膵臓はプロテアーゼの合成量を減らします。ようするに、タンパク質を減らせば減らすほど、プロテアーゼの質・量は低下し、さらに肉が苦手になります。

 

 

痩せ過ぎの人の錯覚


痩せ過ぎの人は、胃や膵臓、胆のうの働きが弱いために、タンパク質や脂質の分解が苦手な傾向が強いです。その感覚が身に染みついており、タンパク質や脂質を避けようとします。

 

そこで痩せ過ぎの人の食事の中心は炭水化物になります。炭水化物はいわゆるデンプンを多く含みます。中学生の時に習いましたが、デンプンを分解するのは唾液に含まれるアミラーゼです。ようするに、デンプンは唾液の作用で分解されます。

 

痩せ過ぎの人は消化力が落ちた際は、お粥や麺類を選択します。それらが消化に良いと思い込んでいるからです。しかし、お粥や麺類を食べる時は噛まずに流し込むように食べます。

 

したがって、お粥や麺類は唾液のデンプン分解の作用を受けることなく胃に到達します。しかし、胃にはデンプンを消化する酵素は少ないため、消化不良を招きます。

 

例えばお餅は消化に良いといわれていますが、お餅を多く食べると胸やけを起こす経験を痩せ過ぎの人はしています。それはお餅は消化が悪いからです。

 

また、素麺を多く食べた際でもお腹が張る経験を痩せ過ぎの人はしています。

 

そのようにデンプンを噛まずにたべると消化不良が起きることは体験しているのですが、痩せ型の人の多くは、不思議なことに消化が悪いのは肉であると思い込んでいます

 

肉が苦手と思い込み、炭水化物を多く摂取する痩せ型タイプは毎食後に血糖値が急上昇します。その糖を膵臓が分泌するインスリンホルモンで調節します。そのことで今度は膵臓の仕事が増えすぎて疲弊してきます。

 

その結果、痩せ型タイプはさらに消化不良を体感するようになります。このことは「痩せている人が太れない理由:膵臓との関係」に詳しく述べていますので参考にしてください。

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