痩せてる人が太れない理由:膵臓との関係

 

痩せ過の人が増えています


現代社会は飽食の時代といわれています。その影響で肥満の人が増え、世間では肥満の人を痩せらせるためのダイエット方法の情報が溢れています。

 

それに反するように、2015年の厚労省の発表によると8人に1人が痩せ過ぎであると報じられています。

 

痩せ過ぎの人は、太ることができないばかりではなく、慢性疲労症候群になりやすかったりホルモンに異常がでたりなど多くの症状を抱えて生活しています。

 

しかし、世間一般では痩せ過ぎの人は病気ととらえてもらえません。したがって、痩せ過ぎを太らせる情報や、元気にするための情報はほとんどありません。

 

私は長年、この問題に取り組んできとことで、痩せ過ぎの患者さんから「何を食べればよいのか」、また「どうしたら太って元気になるのか」という質問が多く寄せられます。

 

その際に私は、患者さんに対し「痩せ過ぎは消化力や呼吸力、そしてホルモンの合成力など多くのことが関係している」とお答えしています。

 

ここでは痩せ型の人の特徴や食事法をまとめてみます。

 

 ・痩せ型の人の特徴:
痩せ型タイプは消化力が弱い人が多くいです。痩せ型タイプの特徴をまとめます。

 

 @消化力が弱く1回に多くの食事が食べれない

 

 A肉類や油物の消化が苦手である

 

上記したことで、痩せ型のタイプは一度に多くの食物を摂取できないことですぐに空腹感にみまわれます。また肉類や油物の摂取も苦手であるために、食事は炭水化物が中心になります。

 

しかし、ここで困った問題が発生します。痩せ型は炭水化物が中心の食事になるケースが多いです。その結果、糖質を摂取しすぎることで「機能性低血糖症」になる人が多くいます。

 

機能性低血糖症では、空腹時に炭水化物やお菓子類を食べた際に血糖が急上昇します。そうなると膵臓からインスリンホルモンが大量に放出され、その作用により血糖値が急激に下がることで発症します。

 

急激に上昇した血糖が、インスリンの作用で急激に降下する時におこる「血糖値の落差」が原因で手が震えたり、思考力がなくなったりする症状がでます

 

特に痩せ型の人は上述したように、肉などのタンパク質の分解が弱く、かつ油物の分解も弱いことで麺類やパンなどの炭水化物を多く摂取してしまいます。

 

そのために、毎食後に血中の糖度は急上昇します。つまり、その糖を処理するためのインスリンの作用で血糖は急降下し低血糖症状になりやすい条件が揃っています。

 

本来なら人が低血糖に陥った際には、アドレナリンやグルカゴンなどのホルモンの作用で血糖を正常に戻します。

 

しかし、痩せ型で炭水化物を多く摂取する人は、毎食後低血糖症に見舞われるために、それらのホルモンを多く必要とします。

 

その結果ホルモンを合成する器官は疲弊し、血糖値を上げるホルモンの質が低下してしまいます。そうして血糖を戻すことができず、低血糖状態は継続してしまいます

 

したがって、低血糖症状である疲労感や手の震えや思考力の低下を回避するために、再度、甘いものを食べることで血糖を上げようとします。

 

 

痩せ型タイプの食事パターン

 

私の所に来院される痩せ型体質の方の食事パターンは、下記のような方が多いです。

 

 @朝食にパンなどの炭水化物を食べ、野菜や果物、ヨーグルトを食べる傾向が強い

 

 A「@」で摂取した糖質のために10時ごろに低血糖になり、そのことを回避するために糖質を摂る

 

 B「A」で摂った糖質のために11時半ごろに低血糖になり、昼食にパスタやパンなどの炭水化物を摂る

 

 C昼食で摂った炭水化物の影響で16時ごろから猛烈な疲労感や手の震えにみまわれる

 

 Dそれを回避するため、夕方にパンやバームクーヘンなどを食べ低血糖を回避する

 

 E夕食にも白米を多く食べ、食後にデザートやお菓子を食べる

 

 F「E」の影響で寝る前に低血糖になり、煎餅類やチョコレートなどを食べる

 

 G「F」の影響で寝ている間にも低血糖症状が起こり、その影響で朝が起きれない人が多い

 

上記したように痩せ型で低血糖になる人は、糖によって血糖を上げようとするために一日に6回も糖質を摂取します。そして、そのつど膵臓からはインスリンホルモンが放出されます。そのことで膵臓は疲弊します。

 

 

痩せ型タイプで消化力が弱い理由


痩せ型タイプの人は消化力が弱いと私は感じています。一般的に「消化力=胃」と思われがちですが、消化力が強いか弱いかに大きく関与している臓器は膵臓(すい臓)です。

 

食事をした際に、膵臓は消化酵素を出します。その消化酵素の働きは、胃が出す消化酵素よりも強力に食物を分解します。

 

例えば、タンパク質や脂質を食べ、炭水化物を食べない場合には膵臓は消化酵素を出すだけで仕事を終えることができます。

 

しかし、糖質を含む食事を食べると膵臓は消化酵素以外に血糖値を下げるインスリンホルモンを放出します。さらに食後の低血糖時にはグルカゴンというホルモンを放出し、血糖値を上げます。

 

上記したように、糖質を含む食事をした場合膵臓は消化酵素の他に2種のホルモンを造らねばなりません。ようするに、1回の食事で3回仕事をすることになります。

 

一方、タンパク質や脂質を食べ、炭水化物を摂取しなかった場合は、1回の食事で1回(消化酵素を出す)働くだけです。

 

痩せ型タイプは、炭水化物や菓子類を1日に6回摂るということはお伝えしました。そのことで膵臓は毎食後、消化酵素と血糖を調節するために2種のホルモンを造らねばなりません。

 

ようするに、1日に糖質を6回摂るということは、膵臓は18回もの仕事をしているということになります。

 

そうなると膵臓は疲弊してしまい、消化酵素の質・量が低下します。そのことで肉や油物の食事を敬遠してしまい、炭水化物に手が伸びさらに膵臓は疲弊します。

 

痩せ型の人は、米類や麺類を「あっさりしていて消化がしやすい物」ととらえている人が多くいます。しかし、実際はそうではなく膵臓を疲弊させています。

 

いわゆる「消化力が弱い状態」とは膵臓が弱っているということです。その背景には糖質の過剰摂取が関係しています。

 

さらに、糖には「エネルギーを生産しやすい糖」と「エネルギーを生産しにくい糖」があります。炭水化物は、細胞内でエネルギーに変換しにくい糖なのです。

 

そのことは、痩せ型タイプが元気が出ない理由:「糖には種類がある」を参考にしてください。

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