コレステロールを下げるな
余ったコレステロールの下げ方
現在、日本でおこなわれているコレステロールを下げる方法は大きく2つに分かれています。
@ 薬を使うことで、コレステロールを下げようとする
A 健康食品などを使いコレステロールを下げようとする
上記の「1、薬を使うことでコレステロールを下げる方法」は、前頁の「コレステロール値が高い場合の対処法」で詳しく述べていますので参考にしてください。
薬を使わずにコレステロールを下げる方法
ここでは、薬を使わずにコレステロールを下げる方法の一例を紹介します。
@ カキや貝類を多く摂取して、肝臓での胆汁酸の分泌を促す
A 野菜の作用で、小腸での胆汁の吸収を妨げる
上記の方法を組み合わせることでコレステロールを下がる場合があります。次にそのメカニズムを説明します。
まず、「@に記載されている方法」を説明します。カキなどの貝類には、「タウリン」という物質が多く含まれています。タウリンは、肝臓の働きを活性する作用があります。その作用で肝臓は、胆汁の合成を促進します。
タウリンの作用により、肝臓での合成が促進された胆汁は、胆嚢(たんのう)から十二指腸に排出されます。その排出された胆汁は十二指腸から小腸に流れ込みます。小腸に流れてきた胆汁の90%は小腸で再吸収されます。
つまり、胆汁が小腸と肝臓をグルグルと回るのです。この再吸収のメカニズムを「腸管循環」といいます。
次に「Aの野菜の作用」を説明します。野菜を食べることで、植物に多く含まれている植物性ステロールを取ることが出来ます。
ここで、植物性ステロールの説明をします。
@ 植物性ステロールは、コレステロールとともに「脂質の一種」である
A 植物性ステロールは「植物の細胞膜の構成成分」である
B 植物性ステロールは、ほとんど体内に吸収されない
上記のように、食物性ステロールは、コレステロールと同じ脂質です。しかし体内へはあまり吸収されません。一方コレステロールは「動物の細胞膜の構成成分」であり、また体内に再吸収されます。
次に植物性ステロールの作用を紹介します。
@ 植物性ステロールは、コレステロールが小腸で吸収されないように作用する
A 体内に吸収されなかったコレステロールを体外へ排出される
上記の作用を利用して、血液中のコレステロールを下げていきます。
また野菜には、この植物性ステロール以外にも、食物繊維が多く含まれています。小腸で吸収を妨げられたコレステロールは「大腸」に流れ込みます。植物繊維は、大腸に到達したコレステロールを吸収して「便」と一緒に排出します。
ここで、前述したことをまとめます。
@ カキのどに含まれる「タウリン」などの作用で、肝臓の胆汁の合成が促進される
A コレステロールを材料に胆汁が合成されるため、その結果血液中のコレステロールが減る
B 食物性ステロールの作用で、コレステロールの吸収を妨げる
C 小腸で吸収されなかったコレステロールは、大腸に流れていく
D 大腸に到達したコレステロールを植物繊維が吸着して、「便」と一緒に排出する
このような作用を利用して血液中のコレステロールを下げると考えられています。
植物性ステロールでコレステロールの吸収を妨げてはだめ
確かにこの方法は、一時的には血液中のコレステロールの数値は減ります。しかし、私はこの方法にも疑問を感じます。本来はコレステロールから合成された胆汁は、小腸で90%が吸収されます。これを腸肝循環ということは先に述べました。
それでは、なぜ胆汁が90%も小腸で吸収されるのでしょうか。
私はその理由をこのように考えています。肝臓がコレステロールを合成するのには、とても労力がかかると推測されます。そのために、肝臓に負担をかけないようにコレステロールの90%を小腸で再吸収し、リサイクルしていると思われます。
上記での方法では、カキなどに含まれるタウリンの作用で「胆汁の合成を促進」させ、多くのコレステロールを合成させます。そのため、タウリンのような肝臓にとって必要な栄養素を食べることは賛成です。しかし、コレステロールの合成を促進し過ぎると肝臓は疲弊します。
しかも、タウリンの作用で強制的に造らせたコレステロールは、「植物性ステロールの作用」によって再吸収されにくくなります。コレステロールが再吸収されないと、肝臓は最初からコレステロールを合成しなくてはなりません。そうなるとまた、肝臓が疲弊します。
コレステロールは人が生きていくうえで必須の物質です。なぜなら、コレステロールは脳の栄養であり、10万キロにも及ぶ血管の弾力性に不可欠な材料だからです。また、ホルモンや60兆個もある細胞の膜の材料でもあります。
そのコレステロールは、75%は肝臓で合成され、残り25%はコレステロールを多く含む食品から肝臓で合成されます。
現代社会は、多くのストレスがかかります。ストレスに対応するためにはホルモンの働きが重要です。そこで肝臓で合成されたコレステロールを利用して、たくさんのホルモンが合成されます。ホルモンが多量に必要な現代は、コレステロールが沢山消費されます。
たび重なるストレスに対応するために、肝臓はコレステロールを造りすぎてしまいます。コレステロールを造りすぎた肝臓は疲弊していき、やがて「質」の悪いコレステロールを生成します。
肝臓が造る上質のコレステロールは細胞が必要とします。上質のコレステロールは細胞が積極的に取込みます。それとは逆に、粗悪なコレステロールは細胞が不必要と判断し、コレステロールの受け入れを拒否すると考えています。
細胞に受け入れを拒否されたコレステロールは、行き場がなく血液中に余っていきます。行き場のないB級品のコレステロールの割合が多くなると、血液中にコレステロールが増えてしまうと予測しています。
血液中のコレステロールの値が高くのは、肝臓の疲弊が原因
肝臓が疲弊して、質の悪いコレステロールが生成することにより「細胞に利用できないコレステロール」が多く造られます。
コレステロールを下げるのに、タウリンなどの物質の作用で強制的にコレステロールの合成を促すと、肝臓はさらに疲弊してしまいます。そして、折角苦労して合成したコレステロールは「植物性ステロール」の作用で再吸収を妨げられます。
本来であれば、小腸でのコレステロールは再吸収されます。しかし、植物性ステロールの作用で再吸収が阻害され、「便」としてコレステロールが捨てられると、、肝臓は再び最初から合成せなばなりません。そのことでまた肝臓は疲弊し、質の悪いコレステロールを合成してしまいます。
一時的に、結果を出す方法には疑問をもつ
植物性ステロールの作用を利用したサプリメントが横行しています。確かに、その作用で一時的に血液中のコレステロールの値は下がります。しかしその作用は、肝臓が造るコレステロールの質を改善していわけではありません。
逆に、植物性ステロールの作用で、腸肝循環を妨げられた肝臓は、コレステロールを再合成するために疲弊していきます。その結果肝臓はまた、質の悪いB級品のコレステロールを造る割合が多くなるという悪循環を繰り返します。
私は、肝臓機能を回復する方法が一番大切と考えています。一方、肝臓を強制的に「鼓舞」するような作用をする物質の過剰摂取には反対です。
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