コレステロールは悪物か?
コレステロールはホルモンの材料です
人が生活をしていくうえで、ストレスを避けることはできません。このストレスを感じるのは「脳」です。ストレスを感じとった脳は、それを乗り切るため、副腎にホルモンを要求します。副腎は脳の命令を受けてストレスを回避するためのホルモンを造ります。このホルモンを造る「元」になるのがコレステロールです。
コレステロールとは
それではコレステロールとはどのような物質なのでしょうか。コレステロール(cholesterol)の名前の由来は1784年に研究者が胆石からコレステロールの成分を発見した時代までさかのぼります。
このとき、ギリシャ語の「胆汁」という意味のchole(コレ)ともうひとつは胆石という個体から発見したので「個体」という意味のstereosu(ステレオス)から名付けられました。
コレステロールはどこで作られるのか
コレステロールは「脂肪」の一種です。コレステロールといえば、そのほとんどは食物から摂取していると思われがちです。しかし私たちの体内で利用されるコレステロールのうち、その約75%は肝臓で造られています。食品から作られるコレステロールは残りの25%程度です。
主に肝臓で合成されるコレステロールですが、私たちの体にはどれくらいの量のコレステロールがあるのでしょうか? その答えは、約100〜150グラムのコレステロールです。このコレステロールはホルモンの材料などに使われる以外にも利用されています。
次にコレステロールが体内でどのように利用されているかをまとめてみました。
・コレステロールは脳に一番多い
@体内にある全コレステロール(約100〜150グラム)の3分の1が脳内にある
A脳内のコレステロールは、神経の伝達を正常かつ活発にするために欠かせない材料である
このため、人に存在する脳の総重量の約3%はコレステロールで占められています。(脳の総重量は体重の約2%)
・コレステロールは血管の弾力性を維持するための材料
@人の血管(動脈、静脈、毛細血管)の全長は約10万キロ=地球の赤道を2周半分である
A血液が、その10万キロを一巡りする時間は、およそ1分である
つまり、コレステロールは、10万キロの血管の弾力性を維持するための材料になります。
・コレステロールは細胞膜60兆個の「膜」の材料
@細胞膜は栄養素の取り込みや老廃物の排出という生命維持に欠かせないものである
A膜組織が密集している細胞である「肝臓」「脳」「脊髄」に高濃度で存在する
日頃意識していない膜組織はとても大切です。その材料がコレステロールなのです。
・コレステロールは胆汁の材料
@胆汁は脂肪を体に取り込みやすく分解します
A胆汁はビタミンのA、D、EおよびKなどの脂溶性ビタミンの代謝に不可欠です
1日で合成されるコレステロールの半分は「胆汁の生成」に使われます。これにより食品から体に必要な必須脂肪酸の吸収が高まります。
必須脂肪酸とは、人が自身では合成できない脂肪酸のことです。つまり、食べ物から摂取していかないといけない栄養素であります。代表的なものとしては、リノール酸やDHA・EPAの元となるαーリノレン酸があります。
また、生成された大切な胆汁酸の90%は小腸で吸収されて肝臓へ戻り、再度利用されます。この一連の流れのことを腸肝循環といいます。
また、胆汁酸は強力な殺菌作用があり、小腸内での細菌群の増殖を妨げる働きがあります。この胆汁酸が小腸で再吸収される腸管循環が正常に行われないと、大腸に胆汁酸が流れ込んでしまいます。殺菌作用の強い胆汁酸が大腸に移行すると、大腸に存在する腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
このように、コレステロールは人が生きていくためには欠かせない物質です。しかし日本の医学では、コレステロールを多く含む食品を食べないように指導しています。また、コレステロールを下げる薬を飲むように指導されます。
上記したように、食事がコレステロールの数値に関係するのは約25%です。コレステロールの大半は肝臓で生成されますので、食事でコレステロールを多く含む食品を減らしても、思ったようには血中コレステロールの数値は改善しません。
それよりも、「なぜ、血液中のコレステロール値が高くなるのか?」 というメカニズムを知ることが一番大切なことではないでしょうか。
よって、私は安易に薬でコレステロールを下げる事は反対です。なぜなら、これまで説明してきたように、コレステロールは脳の栄養でありホルモンの材料だからです。
また、コレステロールは生活を営む上でとても大切な物質です。コレステロールを下げる薬を短絡的に飲むことにより「脳への栄養不足」や「ホルモンの質の低下」が懸念されるからです。まずは、コレステロールは人が生きていくうえで必須の物質ということをご理解ください。
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