川本式指圧法は神経を狙って指圧する
川本指圧法の起源
川本指圧法の起源は、大正時代にさかのぼります。元院長の故・重雄は翻訳家の友人がら、アメリカで生まれたカイロプラクティックの理論を学んだ所から始まります。
その理論とは、脳から伸びた神経が背骨を経由して内臓に分布しているというものです。
当時の日本の手技療法家の知識では、脳や背骨、内臓、器官が関係しているという知識はなく、「内臓や手足、または目などは勝手に動くもの」と考えていたと故・重雄は述べていました。
しかし、実際には内臓や手足を動かしているのは神経であり、その神経が背骨を経由しています。したがって、背骨が「ズレる」ことで神経が圧迫され内臓や手足の働きに異常が生じことを知りました。
大正時代にこの学問を習った故・重雄は、その理論や理論を構築するに至った解剖学の虜になりました。
カイロプラクティック理論に疑問を持つ
故・重雄はカイロプラクティック理論を勉強していくうちに、1つの疑問に突き当たります。カイロプラクティック理論に、「背骨のズレをアジャストメント(矯正)して正しい位置に戻す」というのがあります。
その理由は、背骨にズレがあると背骨を経由している神経を圧迫するからです。したがって、背骨を正しい位置に戻すことで神経圧迫が取れ、各器官が正常に働くと考えられているからです。
故・重雄はその理論には同感していました。しかし、「ズレている背骨が外力(矯正)で正常な位置に戻るのか?」という疑問をもちました。
故・重雄はその疑問をカイロプラクティック協会に尋ねたところ、「アジャストメント(矯正)で背骨のズレは治る」という返答でした。
故・重雄はそのことを信じて、必死に技術の習得に励み実践経験を積みました。しかし、アジャストメント(矯正)では背骨のズレは治せないという結論に至りました。
背骨のズレは遺伝する
親と子は背格好や髪の毛の質が似ます。また、歯並びも似ます。それと同じように、背骨も親の遺伝の影響が強く関与しています。
例えば歯並びを治す「歯列矯正」は約2年かけて歯列を整えていきます。そのことから考えると、歯列を変えるのは簡単でないことがわかります。
背骨も歯並び同様に遺伝します。したがって、簡単な強制では治らないことが分かると思います。例え、アジャストメント(矯正)で一時的に背骨の位置が少し変えれたとしても、それは長くは続きません。
ただ、若年層が運動や転倒などの影響でズレた骨は、アジャストメント(矯正)で治すことはできます。なぜなら、運動や転倒でズレた骨は、遺伝とは違い発症してから時間が経っていないからです。
ようするに、カイロプラクティックの技術であるアジャストメント(矯正)は、腰痛や寝違いなどの急性疾患の対応に限定されます。
したがって、故・重雄はカイロプラクティック理論だけでは内臓の回復が見込めないことから、「何かの技術を付け加えないといけない」と考えました。
ズレている背骨のまわりを緩める
遺伝による背骨のズレは簡単には治せないと考えた故・重雄は、その背骨付近の筋肉や靭帯を弛める必要性を感じ、日本にある伝統療法の一つである指圧法を用いました。
背骨を矯正して神経の圧迫を取り除くことへの異論はなかったために、指圧法を用いることで背骨を正常な位置に戻せないかと考えたからです。
ただ、その指圧法を加えても、背骨は簡単には元にはもどりません。しかし、その指圧法が予期せぬ効果を生みました。
川本指圧法は神経を指圧する
その時代に日本でおこなわれていた指圧法は、筋肉や硬くなっている組織を揉みほぐすようなやり方が主流でした。ようするに、硬い個所をほぐすのが目的で、「その箇所がなぜ硬くなるのか」という考えを持っていた人は多くはいません。
カイロプラクティック理論には、「脳から伸びた神経がどの骨を経由してどの内臓に分布しているか」を人体解剖により確立しています。
そのことを学んだ故・重雄は1つの考えが閃きました。それは「指圧法により神経を指圧することで、神経の命令が活性させることができないか」というものです。
故・重雄は人体の神経系を勉強し、それを指圧していきました。
例えば、脳から伸びた神経は腰の骨を経由して足に分布しています。そこでまず、腰の骨のまわりを指圧し、次にその骨から足に伸びる神経をたどって押していきます。
また、脳から伸びた神経は背中(胸椎)の5番目の骨を経由して主に胃に分布しています。したがって、まず、胸椎の5番目まわりを指圧し、胃に分布している神経を指圧していきます。
ようするに川本指圧法は、ズレている背骨まわりを弛めるとともに、そこから分布する神経を刺激して神経の活性を高める手法です。
指圧法によって自律神経を整える
単に、背骨をアジャストメント(矯正)する方法は、患者さんに触れる時間が短く、いわゆる、「癒し」の部分がありません。
一方、川本指圧法は、背骨の矯正だけではなく、指圧法を加味したことで患者さんに触れる時間が長くなります。そのことで、スキンシップ効果が起き、脳神経が安定することで自律神経が整うという良い副産物が生まれました。
その結果、症状の回復は想像していた以上で、改めてスキンシップの大切さを感じたと当時、故・重雄は述べています。
アメリカの解剖学理論と日本の伝統療法をプラスした画期的な療法
故・重雄は背骨のズレを正し、なおかつ脊髄神経から伸びる神経を指圧するという手法で、内臓の機能を回復させる治療を試みました。
この方法はアメリカで生まれたカイロプラクティック理論に、日本の手技を融合させたのが川本式の神経を指圧する方法です。
大正時代の日本人は西洋文化に憧れ、またその文化に洗脳されがちです。しかし、故・重雄はカイロプラクティック理論を学ぶと共に、カイロプラクティック理論の欠点を見出したことが良かったと私は思います。
私はその療法を現在も継承し施術を行っています。昔の療法がなぜ現在も必要かというと、現在社会はストレスが多く、また人間関係も稀薄だからです。したがって、指圧法により皮膚を触ることがとても重要になっているからです。
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