背骨のズレによる神経圧迫
背骨のズレると神経が圧迫される
腰痛で足先が痺れているとき、外科医は「腰椎」(腰の骨)を手術します。また事故の後遺症で「腕」に痺れがある時は外科医は「頸椎」(首の骨)を手術します。それでは、なぜ足や腕の痺れを取ろうとしたとき、骨の部分を手術するのでしょうか。
これは、脳に出入りしている脳脊髄神経が「背骨を経由」して、身体の先端に分布しているからです。痛い個所を手術するのではなく、神経が通る「背骨」を手術するのです。
この事実はかなり昔から着目されています。紀元前500年、ギリシャの医師ヒポクラテスが神経システムと背骨の関係を2冊の本にまとめました。その知識を元にアメリカの医師グループが、内臓疾患で死亡した方の検死のオペをする際に、背骨の「ズレ」にも注目していました。
・胃の病気で亡くなった方は何番目の背骨が「ズレ」ているのか。
・肝臓病で亡くなった方は何番目の背骨が「ズレ」ているのか。
・目の病気があった方は何番目の背骨が「ズレ」ているのか。
・卵巣の病気で亡くなった方は何番目の背骨が「ズレ」ているのか。
このように、多くの統計をとっていきました。人間の骨は
・首の骨(頸椎)が7個(ちなみに、ブタもキリンも同じ数です)
・背中の骨(胸椎)が12個
・腰の骨(腰椎)が5個
・仙骨(尾てい骨)という数個の骨が融合したのが1個
からできています。
それでは、それぞれの骨と神経がどのように関連しているのか説明していきます。脳から出た神経はそれぞれ背骨を経由して、内臓や器官に分布しています。
脊髄神経は「ヒモや糸」のような線維になっていて、神経信号を伝える電線のような働きをしています。これを身近なもので例えるため、家に電気がくるまでの過程で考えると
・脳が「電力会社」
・背骨が「電柱」
・神経が「電線」
・内臓や各器官が「家」
になります。
この電線(神経)が脊椎に開いている「椎間孔」(ついかんこう)という「穴」を通って各、内臓、器官に分布します。その中で、ここまでの経験や蓄積によって「どの病気のとき、どの骨がズレているか」を調べた結果、ある共通点が分かってきました。
例えばアメリカの医師グループは
・Aさんが心臓病で亡くなった場合は主に胸椎の2番目がズレている。
・Bさんが心臓病で亡くなった場合も主に胸椎の2番目がズレている。
・Cさんが胃の病気で亡くなった場合、主に胸椎の5番がズレいる。
・Dさんが胃の病気で亡くなった場合も主に胸椎の5番目がズレている。
・Eさんが腎臓病で亡くなった場合、主に胸椎の10番がズレている。
・Fさんが腎臓病で亡くなった場合も、主に胸椎の10番がズレている。
・Gさんが婦人系の病気で亡くなった場合は主に腰椎の3番がズレている。
・Hさんが婦人系の病気で、亡くなった場合も主に腰椎の3番がズレている。
などの確認をしました。背骨のズレと内臓の関係を手術という西洋医学の手法で解き明かしたのです。
神経圧迫と臓器機能の低下
それでは、背骨がズレることにより、脳から出た神経が通る穴(椎間孔)が狭くなれば、どうなるかを説明します。神経は脳からの命令を末端まで伝えるヒモのような線維質からできています。
背骨がズレて椎間孔が狭くなり、ヒモ状の神経が通る穴が狭くなることで神経は圧迫されてしまいます。神経が圧迫されますと、脳が出している電気信号が末端(内臓や器官)まで伝わりにくくなります。例えば、
・首の3番目の骨がズレて、椎間孔が狭くなり神経が圧迫されると「目」の機能が弱くなります
・背中の8番目の骨がズレて、椎間孔が狭くなり神経が圧迫されると「肝臓」の機能が弱くなります
・腰の骨の1番目の骨がズレて、椎間孔が狭くなり神経が圧迫されると「腸」の機能が弱くなります
このように、背骨のズレが内臓の働きにも関係しています。
何気なく並んでいる「背骨」ですが。これは姿勢を保持するだけではありません。人が生活していくのにのに不可欠な「神経」の通り道なのです。
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