「摩る(さする)」ことは驚くべき効果がある A
「摩る」ことは気持ちがいいが、、、、
「摩る」ことで、気持ちいいと感じる人は多くいます。しかし、「摩る」ことで、体内でどのような反応が起こっているのか興味を持っている人は少ないです。
「摩る」ことは驚くべき効果がある @ では、何かにぶつけて痛いと感じた際に、周辺を摩ることで痛みが軽減するメカニズムを紹介しました。
ここでは、群馬大学大学院医学系研究科の柴崎貢志講師と生理学研究所の富永真琴教授らとの共同研究で発見した「摩る」ことの驚くべき効果を綴っていきます。
その研究によると「摩る刺激」に神経系が反応し、神経の突起が伸びるという新たな分子メカニズムを発見したというのです。
神経細胞が伸展する感知センサーを発見
打撲したり骨を折ったりした時は、患部の末梢の神経も傷ついてしまいます。そこで「摩る」ことで「神経系」にどのような効果があるのでしょうか?
今回、上記した大学の柴崎貢志講師や富永真琴教授らとの共同研究では、神経が伸びていく際に重要なセンサー役であるタンパク質TRPV2(トリップブイ2)の働きを解明しました。
このことは、2017年3月31日(米国東部標準時間)づけの米国神経科学会誌に掲載されました。
2人の研究によると、TRPV2センサーは、「摩る」などの皮膚の伸展をうながす物理的な力がかかったときに働くということです。つまり、皮膚を伸ばすような圧(摩る)がかかることでセンサーが反応すると述べられています。
上記した「伸展をうながす刺激」をすると、神経が突起を伸ばすことを助けていることに加え、傷ついた神経の再生にもつながるというものです。
皆さま、驚きではありませんか。普段から無意識にしている「摩る」ことが、なんと、末梢神経の突起を伸ばしたり、傷ついた神経の再生にもつながるとは、、、、、
「摩る」と細胞伸展センサーの関係
今回、柴崎講師らは、熱を感じるセンサーとして知られるTRPV2センサー(たんぱく質)が、摩るなどの伸展刺激を感じる細胞伸展センサーとしても働くことをつきとめました。
つまり、TRPV2センサーは熱を感じ反応するだけではなく、「摩る」などの刺激を感じ神経の突起を伸ばしたりする働きもあるということです。
同研究では、ニワトリの神経の実験でもTRPV2センサーが「伸展」を感じることで、神経の突起がさらに伸びていく様子を確認したそうです。
今までは、脊髄の運動神経や感覚神経が長い突起を伸ばせるメカニズムは分かっていませんでした。
人では脊髄の坐骨神経は1m近くありますが、伸展刺激を受けたTRPV2センサーが働くことで、神経突起がずんずん伸び、体の中で最も長い神経突起を出すことができることを明らかにしました。また、このTRPV2センサーは、傷ついた神経が再び突起を伸ばしていくためにも重要な役割を果たすと考えられています。
本研究は文部科学省科学研究費補助金「脳内温度と神経活動の機能相関」「温度センサーによる脳機能調節」の補助を受けて行われました。
今回の発見の内容をまとめます:
1)成体(おとな)において、熱を感じるセンサーとして知られていたTRPV2センサーは、胎生期(生まれる前)においては、脊髄の運動神経・感覚神経が(背中から指先まで)長い突起を伸ばすことに役だっていた
2)TRPV2センサーは、神経の伸展感知センサーとして働くことで、神経突起の伸長を促すことがわかった
柴崎講師は次のように述べられています。
神経が伸びていく際には、「ひっぱられたり」、「さすられたり」といった物理的な刺激を感じるTRPV2センサーが重要な役割を果たしていることがわかりました。
成体(おとな)でも、傷ついた神経が突起を伸ばしていく際などの回復過程で重要な役割を果たすものと考えられ、神経再生への応用が期待されます。
「打撲などをうけて皮膚の神経が傷ついたとき損傷部位を自然となでたりさすったりする行為には、TRPV2センサーを活性化させ、損傷部位の神経突起の再生を促そうという無意識の意味合いが込められている」と考えれば理屈にあっています。
また、「リハビリなどで傷ついた運動神経などの神経回路を回復させ、運動機能を回復させるためには、このTRPV2センサーの活性化を介した神経突起の再生が重要な役割を果たす」と述べています。
他にも、ES細胞やiPS細胞を用いた最先端の再生医療技術と「摩る(伸展刺激)」を組み合わせて行くことで、神経回路の再生に役立つと期待されます。」と語っています。
いままで、「摩る」ことはスキンシップや痛みの軽減などに関係していることは何となく分かっていましたが、それに加え神経突起が伸びたり、損傷した神経を再生させる働きがあることは驚きです。
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