副腎と川本療法
川本神経指圧法と風邪ひき体質
川本神経指圧法で定期的に治療していくと多くの方が風邪を引きにくくなることがあります。なぜ、そのような結果が出るのかは、前院長の故・重雄にも私にも分からずにいました。
私自身、このことに不思議さを感じながら施術していました。
川本治療所に風邪を引きやすい人が来院された場合、肺や気管支を支配している神経を刺激し、全身の治療にかかります。したがって、風邪が引きにくくなるのは、「全身を治療することが良いのでは」という、あいまいな考えでした。
腰痛治療と風邪引き体質改善の関係
1992年(独立後2年目)に腰痛が悪化し歩行困難の患者さんが車椅子で来院されました。祖父(重雄)を亡くし、自身で挑戦する初めての難病に必死で取り組みました。
両足の神経の感覚に麻痺が起こっており、全身治療をする時間がなく下半身のみの治療となりました。
腰の治療を繰り返していくうちに、患者さんから「先生、私は喉が腫れたり関節が痛くなったりする風邪のような症状を繰り返す体質だったのが、最近そのような症状が治りましたよ」と教えてくれました。
この一言がきっかけになりました。
かねてから不思議に思っていた風邪引き体質の改善が、肺や気管支は治療をせずに腰痛治療で改善したのです。
そこで私は、腰付近に何かキーマンになる臓器があると思い文献を読みあさりました。
そこで「免疫」と密接に関係している副腎という器官に興味を持ちました。そのことを勉強していくうちに副腎が免疫と深く関係していることを再認識しました。
風邪引き体質改善が紐解けた
1936年(昭和11年)に開業して以来、川本神経指圧を受けると風邪が引きにくくなる事例があることは経験上分かっていました。しかし、なぜそうなるのかという理由が分からずに治療してきたことはお伝えしました。
腰痛という、一見風邪とは無関係な箇所に、そのメカニズムを解明するカギがかくれていました。
また、そのメカニズムを故・重雄ではなく私自身が見つけたことで、ようやく「先代からの依存」から脱却できました。そのことで、川本正己によるオリジナルの川本療法を確立するきっかけができました。
副腎の働きは脳と密接に関係しています。脳が多くの仕事をする際は、必ず副腎にホルモンを要求します。その理由は、脳が精妙に働き全身をコントロールするのに副腎が造るホルモンが必須だからです。
現代に生きる人は、多くの煩悩を持っています。またそれを達成するために多くのストレスを抱えています。人がストレスに対応するためには副腎が造るホルモンが必要です。したがって現代人の副腎は、脳から大量のホルモンを合成するように命令されます。
最初の間は、副腎は質・量に富んだホルモンを合成しますが、度重なる脳からのホルモンの要求に、やがて副腎は疲弊してしまいます。
副腎が疲弊すると免疫が過剰になる
質・量に富んだ副腎ホルモンが脳に届かなくなると、脳から出されるシグナルは乱れます。いわゆる自律神経が乱れた状態になります。
自律神経が乱れると脳は、さらに副腎に対し質・量に富んだホルモンを要求します。その結果、副腎は働き過ぎ副腎疲労症候群になります。
副腎が疲労した場合、多くの症状を発症しますが、その代表的なものは免疫が過剰になることです。
そのように過剰になった免疫を、「ポメラニアン免疫」と私は説明しています。小型犬のポメラニアンやマルチーズは怖がりです。そのことで、近づいてくる人や物に対し、手当たり次第に吠えて威嚇します。その様子が「過剰になった免疫と似ている」ため、私はそのように例えています。
一方、副腎が元気な場合、免疫も安定しています。そのような免疫を「ドーベルマン免疫」と私は説明しています。
その意味は、大型犬のドーベルマンや土佐犬は、自分に自信があるために安易には攻撃はせず状況を判断しています。そして本当に攻撃が必要な時のみ吠えます。その様子が「安定した免疫と似ている」からです。
人に一度感染した細菌・ウイルスは生涯共存する
人が生きていく上で多種の病気を発症します。その中でも多いのは風邪症状です。
インフルエンザなど流行性の風邪は、外部からウイルスが侵入し、それが細胞内で増殖することで発症します。しかし、インフルエンザが流行していない時期にも風邪を引く場合があります。
人が一度感染した細菌・ウイルスは、喉や膀胱などに常在し、生涯保菌しています。しかし、そのような細菌・ウイルスの働きは弱く体に影響を与えることはありません。
ただ、体の抵抗力が落ちた際は、体内に常在する弱い細菌・ウイルスが増えてきます。しかし、それらが増えたとしても、その働きは弱いために正常な免疫(ドーベルマン免疫)ではそれらを攻撃することはありません。
しかし、副腎が疲弊していると免疫は過剰(ポメラニアン免疫)になっており、体に常在している働きの弱い細菌・ウイルスに対し過剰に攻撃を仕掛けます。
その結果、喉や膀胱などに炎症が起きます。人はそのような症状がでると風邪を引いたと感じます。
慢性の風邪症状や関節炎は軽い自己免疫疾患である
免疫が細菌・ウイルスを攻撃することは正常反応です。しかし、その細菌ウイルスが体に対し、危険を及ぼすかどうかを適格に判断できなければなりません。
その判断を下す仕事を副腎が行っています。
現代は多くのストレスがあり、ストレスに対応するために副腎は疲弊します。その結果、免疫が過剰(ポメラニアン免疫)になり、体内に常在している細菌・ウイルスを攻撃してしまうことはお伝えしました。
体内には臓器だけではなく、関節や神経にも細菌・ウイルスは常在しています。そうなるとポメラニアン免疫(過剰な免疫)はそれらを手当たり次第に攻撃します。
そうなると、体内のいたる所で炎症反応がでます。このような状態を「慢性の風邪引きのような症状」と患者は認識します。
この状態は、いわゆるインフルエンザなどに反応して起こる風邪症状ではなく、免疫が過剰(ポメラニアン免疫)になって起こる過剰防衛です。
このような状態を「軽い自己免疫疾患」であると私は考えます。
副腎を回復させれば免疫は安定する
川本療法は副腎を狙った指圧法(副腎刺激法)を中心にプログラムされています。また、食事指導や自宅での自己刺激法も副腎の回復を考えて指導していきます。
なぜなら、現代人は多くの煩悩を抱えそのために多くのストレスがあり、それらに対応するために多くの人の副腎が疲弊しているからです。
それを裏付けるように、近年はアレルギーや膠原病などの自分の細胞を自分で攻撃してしまう自己免疫疾患が急増しています。このような症状を現代病と私は位置付けています。
川本療法は、手で行う指圧法を用い副腎を回復させていきます。その結果、過剰になった免疫(ポメラニアン免疫)が安定した免疫(ドーベルマン免疫)に変化していきます。
血液検査では診断が難しいために、現代医学では副腎が弱っているかの判断はできません。しかし、私の経験から察すると想像以上の方の副腎が疲弊していると思います。
ストレスに対応する器官である副腎の重要性を知ってください。
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