ココナッツオイルが酸化しにくい理由は「水」が関係している
酸素に触れることで酸化が起こる
近年の健康ブームで、体に必要な物質の情報が増えています。その一つに、今までは健康を害すと思われていた油(必須脂肪酸)が、人の生命維持に必要なことを理解する人が増えてきました。
それでは、良い油とはどのような油なのでしょうか、また悪い油とはどのようなものでしょうか。それは、「酸化していない油」と「酸化した油」に大別することができます。
酸化について端的にまとめると、酸素が物質に結合するか、または結合しないかによります。
例えば、飽和脂肪酸は酸化しにくいといわれています。その理由は、脂肪を構成している成分に「酸素が結びつくための場所」がないからです。一方、酸化しやすいとされる不飽和脂肪酸には、酸素が「結びつくための場所がある」ために、酸化しやすいです。
酸化しやすい油と酸化しにくい油は何が違うのか
油が酸化する理由は、「飽和や不飽和」といった油の構成要素以外に、油が保有する水が関係していることがあります。
例えば、2014年にブームになった油に「ココナツオイル」があります。そのオイルの特徴は、常温でも約2ヶ月は酸化しないことです。
それでは、なぜ「ココナツオイルが酸化しないのか?」の問いに明快に答えれる人は少ないです。それをまとめてみます。
@オイル(液体)の保有する水に特徴がある
Aココナツオイルが保有する水は、そのオイルを水で包み込むことができる
B「A」の状態とは、水が油を取り込んでいる状態である
C水に包まれた油は酸素に触れることがないので酸化しにくい
D約2ヶ月の時間がたつと、油を包んでいる水の組織が崩れ、油が酸素と触れることで酸化が始まる
上記したように、「酸化しにくい油」とは、水が油を包み込むことができるか、できないかが関係しています。
低温で圧搾(圧力で搾る方法)した油は酸化しにくい理由
油が酸化する原因の1つに、水が関係していることはお伝えしました。その他にも、油を抽出する際の手法により酸化度合いに差がでます。
木の実から油を抽出する方法は大きく2つに分かれます。1つは、木の実をそのままの状態で機械に入れ、油を搾る方法です。もう1つは、200度ほどの高温状態にした機械で木の実をふやかし、さらに薬品を使う方法です。
木の実をそのままの状態で圧搾して抽出した油は酸化しにくいです。一方、高温で薬品抽出した油は、抽出した段階で酸化しています。なぜ、そのような違いが起こるのかをまとめてみます。
・高温下で油を抽出した場合:
@木の実を高温の環境に晒すことで、木の実が持つ「水の器」が崩壊する
A油を包み込んでいる「水の器」が崩れることで、油が水の器からにじみ出る
B「A」のようなことが起こると、油が酸素と触れて酸化がはじまる
・低温で油を抽出した場合:
@低温で絞った場合、木の実が保有する「水の器」は崩壊しない
A「@」の状態で抽出した油は、「水の器」で包まれているために油は酸素と触れない
B酸素と触れないことで油は酸化しない
一般的に油は、「低温で抽出すると酸化しにくく」、「高温で抽出すると酸化しやすい」ということは情報として知っています。では、なぜ「高温で抽出した油は酸化しやすいのか」というメカニズムはあまり知られていません。
その酸化メカニズムには水が関与しています。水の構造は高温下では結合力が低下し、「膨張傾向」になります。ようするに、水の器(微細な水の粒子の結合体)の結合が緩む状況になります。
したがって、高温での油の圧搾という手法では、油自身の形状が変化するのではなく、油を包んでいる「水の器(微細な水の粒子の結合体)」が崩れてしまいます。
その結果、水が油を包みこめなくなり、水の器から油分が滲みでることで、油が酸素に触れ酸化がはじまります。
一方、低温で圧搾した場合、水の結合力は低下しません。したがって、水の器で油をしっかり包み込めるために、油は酸素と触れることがなく酸化しにくいのです。
ただ、低温で圧搾した水でも、1〜2週間ほどで水の器の結合力が緩むため、酸化がはじまります。
育った土地や栽培方法により植物が保有する水に差異を生じる
例えば、モロッコ産やスペイン産のオリーブオイルは酸化しにくいといわれています。産地以外でも、農薬や化学肥料を使っていない方法で収穫されたオイルは酸化度合いに違いを生じます。
それでは、なぜそのような差がでるのでしょうか?
@上質の油(酸化しにくい油)が収穫できる場所は、その土地が保有する「水」に違いがある
A良い水を保有する土地で育った植物から抽出する油は、「水の器」で包まれており酸化しにくい
ようするに、酸化しにくい油とは、その植物が育った土地が保有する「水」に差があることがわかります。
しかし、いくら土地が良いといっても栽培中に多くの農薬や化学肥料を使うことで、植物の根の構造に変化が生じてしまいます。
根には本来、「土の保有する水(キメの粗い水)」を微細化する働きがあります。しかし、多くの農薬や化学肥料を使用した場合は、土が保有する水を「微細な水」にする能力が低下します。
その結果、水で油を包みこめず、そのような栽培法で育った植物から採れる油は、低温で圧搾した場合でも酸化しやすいです。
自然界においては、「水が物質を包んで運ぶ」ことはあたり前のように行われています。しかし、人間の社会では、科学が発達した現在でも、水と油が「自然融合し安定させる方法」は開発されていません。したがって、界面活性剤などの薬品を使うことで、水と油を融合させ安定させています。
「水と油」という、一般的には分離すると思われている物質同士であっても、自然界においてはそれを可能にしています。その働きに「水の違いが関係」していることをご理解下さい。
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