赤ちゃんは、なぜむくみがないのか
赤ちゃんの体内には80%の水が存在する
人の体内には多くの水が存在します。特に赤ちゃんの体の80%は水です。
赤ちゃんの体をみると弾力性があり「プヨプヨ」しています。そのことからも体内に多くの水が存在していることがわかります。
ここで、1つの疑問が出てきます。それは、80%もの水から構成されている赤ちゃんの顔や手足に、なぜ「むくみがないのか?」という疑問です。
例えば、老年期になると体内に存在する水の量は60%を切るといわれています。その証拠に顔や手足には「シワ」が目立つようになり、肌は乾燥してきます。そのようになるのは体内の水が減っているからです。
しかし、体内の水が減少しているのに、足などには「浮腫(ふしゅ)」を生じます。
体内に存在する水の量が多い赤ちゃんにはむくみがなく、逆に体内の水の量が少ない老年期の人にむくみが起こります。このことに不思議さを感じます。
体内に存在する水には、粒子の大きさに違いがある
体内に存在する水を生体水といいます。
生体水は、水道やミネラルウォーターの水とは違い、粒子はきわめて小さく均一化されています。その生体水ですが、「細胞内」と「細胞外」よって粒子の大きさが違います。
細胞内に存在する水の粒子はきわめて小さく均一化されています。一方、細胞外にある水は細胞内よりもやや粗い状態で存在しています。
「スーパーボールすくい」をイメージしよう
縁日にいくと金魚すくい用のプールに、スーパーボールを浮かべてそれをすくう遊びがあります。
なぜ、スーパーボールすくいをたとえに挙げたかというと、スーパーボールが水に浮いている状態は、人の細胞が細胞外液に浮いている状態と似ているからです。
ようするに、金魚すくい用に用意されている「プール内の水が細胞外液」にあたり、「スーパーボールは細胞」にあたります。このように人の細胞(スーパーボール)は、細胞外液(プール内の水)に浮いて存在します。
また、水が外に漏れないようにプールには「縁(へり)」があります。人では、縁の変わりをしているのが皮膚で、体液が外に流れ出ないよう堰き止める役目をしています。
浮腫(ふしゅ)は細胞外液の粒子が大きすぎることで起こる
人の体内では、「細胞は細胞外液に浮いている」とお伝えしました。ここで、細胞外液について述べていきます。
人が飲食から得た水分は、そのままの状態では体は利用できません。飲食で得た水分は消化や代謝の過程で生体水化されていきます。その働きは幼少期に活発で、老年期になると低下していきます。その働きに欠かせない臓器が十二指腸です。
飲食から得た水分は十二指腸で生体水化され、細胞外液(血液、リンパ液も含む)になります。この生体水化する能力が落ちると、細胞外液(血液、リンパ液も含む)の水粒子は粗くなります。
ようするに、細胞を浮かべている細胞外液の粒子が粗くなると、細胞内のきわめて微粒子の細胞内液との粒子間に差ができてしまい融合できなくなります。
赤ちゃんの時期は生体水化する能力が特に活性しており、細胞外液の水粒子は細かくなります。そのことで細胞内液との水粒子の差が縮まります。
細胞外液と細胞内液との粒子間の差が縮まることで、赤ちゃんの細胞内には多くの細胞外液が入り込むことができます。
一方、老年期や病気の人、または継続的なストレスやホルモンバランスを崩している人は飲食から摂取した水を生体水化する働きが低下します。そのことで、細胞外液の水粒子は粗くなります。
したがって、粒子が極めて微細な細胞内液と融合できなくなります。ようするに、細胞内に細胞外液が入っていけない状態です。
ようするに、細胞内に入っていけない細胞外液は皮膚と細胞の間に溜まります。この状態が「むくみ」です。
赤ちゃんが保有している水の多くは細胞内液である
赤ちゃんの体内には80%の水が存在します。言い換えれば、ほとんどが水で構成されているのです。しかし、赤ちゃんの手足にむくみは生じません。
一方、老年期になると体内の水の量は減少し60%を切ってきます。しかし、下半身に浮腫みを生じます。
赤ちゃんの保有する細胞外液は細胞内に入り込めるので、細胞内の水分量が増えます。つまり、余分な細胞外液は少ないことになります。しかし、老年期が生産する生体水(細胞外液)は質が落ち、細胞内に入ることできません。したがって、細胞内の水は減り、いわゆる「シワ」が目立つようになります。
同時に、細胞内に入ることのできなかった細胞外液が余り、皮膚との間に溜まることでむくみが起こります。
水を多く保有する赤ちゃんがむくまず、水の保有量が減る成人以降に浮腫(ふしゅ)を生じます。このようになる原因の1つに、体内に存在する水(生体水)粒子の違いが関与しています。
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