水を飲むと体の状態が改善に向かいやすい
生体は水でできている
成人の場合、体重の約70%が水といわれています。そこから計算すると60キロの人なら、「60キロ×0.7=42リットル」の体液(水)が体内にあるということになります。
血液やリンパ液も90%が水です。また、目にある網膜細胞も92%の水が存在しています。その他、脳内には80%の水があり、水とは無縁のような骨でさえ35%は水です。
食事をした際に分泌される消化液の大部分が水から構成され、1日に約8リットルの水(消化液)が消化器官内に分泌され、また再吸収されています。
体内には血液やリンパ液だけではなく、大量の消化液(水)も休みなく分泌され循環しています。そして不必要な物質は、尿や汗という水分と一緒に排出しています。
ようするに人の細胞の大部分は水であり、その細胞に栄養を運ぶのも不要物を排出するのも水です。したがって、水がなければ生命体の維持はできません。
人が生きていくには水が必要である
食事から得た栄養素は消化液(水)が分解し、そこから得た栄養を水が細胞まで運びます。また、不必要な物質も水が運び、排出(尿や便など)します。
また、人は体温が上昇すると汗を出します。1グラムの汗で約600kcalの熱を体外に放出し体温調節をします。例えば夏は1日に約1リットル、冬でも約0.2リットルの発汗をしています。その作用がうまくいかないと「熱中症」を発症します。
熱射病は、体内から約5リットルの水(栄養素を含む)が消失し、水の補給がうまくいかなかった場合に発症します。例えば体内の水が10%失われただけでも人は危篤状態に陥り、20%失われると死亡してしまいます。
細胞の中にある水、細胞の外にある水
細胞にはタンパク質、核酸、脂質さらにはビタミン、ミネラルなどが複雑な構造で組み合わさり存在しています。これらの各要素を結びつけているのが「細胞内液(水)」です。
言いかえれば、細胞内の水にタンパク質、核酸、脂質などが浮かんでいて、それらを細胞膜という被膜で取囲んだものが細胞です。
多くの物質と結合した水は、目にみえないほど小さい細胞の中でたえまなく動き回り、生命を支えています。
その細胞もまた水に浮かんでおり,細胞が浮かんでいる水を細胞外液といいます。その細胞外液が体外に流れ出ないように、皮膚が存在します。
生物体は一見すると「個体」のように見えますが、トマトやリンゴなども85〜90%は水であり、魚でも75%は水です。上述したように人の脳も80%は水です。
ようするに、物質は個体に見えていますが、ほとんどは水です。ただ、水を外に流出させないための「皮膚」があることで、個体の形態を維持しています。
水は生きていくために必要
水は酸素や栄養素を運んだり、不必要な物質は体外に排出したり、汗をだし体温調節をしたりすることは上述しました。
例えば、水が不足すると疲労感や無気力感、精神が不安定になったり、またコレステロールや中性脂肪、血糖値などの調節機能が低下したりもします。その他にも水不足で、血液が粘り、血栓ができやすく心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります。
また、腎臓結石や痛風の発症も水を摂取することで予防することができます。
ダイオキシンや化学物質なども水を多く飲むことでそれらを体外に排出することも分かってきています。そのように良い水を飲むことは健康維持の基本となります。
水不足と疲労感・精神不安の関係
1日で体内から排尿で約1.4リットル、排便で約0.7リットル、夏場は汗と呼気(体外に吐き出す空気)で約1.5リットルの水が排出されています。
その排出される水と一緒に、ミネラルやビタミンが体外に出ていきます。そうなると体内に5000種存在する酵素は、ミネラル・ビタミンが不足することで正常な働きができなくなります。そうなると疲労感や精神不安などをきたすようになります。
そのようになる代表的な症状が脱水症状です。そのような状態にならないために、飲料や食事から1日に約2リットルの水分の補給が必要になります。
水分ではなく水を飲む
「人は水でできている」といっても過言ではありません。そのことで「水」が必要なのです。
患者からの質問に「お茶やコーヒーなら沢山飲みます。これも水分なので体にいいのでは?」という主旨の問いが多くあります。しかし体内にある、血液やリンパ液、消化液は「水」から構成されています。ようするに、お茶やコーヒーが体内を流れているわけではありません。
したがって体内では、お茶やコーヒーが保有する栄養素や不純物を選別し、体内で使える「水」に精製して使用しています。その作業は想像以上に大変なことから、「水分ではなく水を飲む」ようにとお答えしています。
世間では多くの水があり、どの水がよいか迷うことがありますが、私は「水分ではなく水を飲む習慣をつけて下さい」と患者さんには伝えています。
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