副腎疲労症候群と甲状腺の関係

 ホルモンに関心のない日本の医学界
副腎という器官がどのような働きをしているのか知っているでしょうか? また、副腎と関係性の深い甲状腺という内分泌腺(ホルモンを造る器官)がどのような働きをしているかを知っているでしょうか? この問いかけに自信をもって答えられる人は、多くはいません。

 

その理由は、日本の医学界自体が、病気の原因の究明に時間を割くことがなく、症状を止めるための薬や手術による治療を中心に行っているためです。意外と思われますが、内科医にホルモンについての質問をしても、納得のいく回答を得られることはとても少ないです。

 

 甲状腺ホルモンの異常により発症する症状
甲状腺は喉仏(のどぼとけ)の下にある「蝶」のような形をした内分泌腺です。大きさはとても小さく約30グラムほどしかありません。しかし、この甲状腺が造るホルモンが正常でなければ、臓器(器官)や細胞、または筋肉などは適切に動くことができません。

 

甲状腺ホルモンが正常に造られないときに発症する主症状は、「動悸」や「多汗」がありますが、それ以外に発症する症状をまとめてみました。

 

 @朝が起きにくく、朝起きる前の基礎体温(口内)が37度より低い
 A冷え症状がひどく、特に手足の末端の冷えをきつく感じる
 B風邪引き体質や感染症を繰り返す
 C太ってる人は体重が減らず、また痩せてる人はすぐに体重が減る
 D肌が弱く、ニキビや湿疹がでやすく、乾癬という重い皮膚炎が発症する場合もある
 E便秘が慢性化し、また不妊症や生理前症候群も重なって発症しやすくなる
 F血中コレステロール値が高い
 G爪がひび割れやすく、眉毛の外側の毛が薄くなってくる
 H慢性的な頭痛があり、記憶力の低下を感じる
 I乳房の病気の1つである線維性乳房を発症しやすい
 J卵巣膿腫を発症しやすい
 K低血糖症状を起こしやすい

 

なお、「@」の朝の基礎体温の計り方で、生理のある女性の場合は、生理の出血が始まって2日後の基礎体温を計って下さい。その理由は、ホルモンの影響を受けやすい女性の基礎体温を計るのに一番良い時期だからです。

 

上記したような症状が多くあれば、甲状腺ホルモンに異常がある可能性は高くなります。この症状を見て副腎疲労症候群の症状と似ていると思われますが、ここで甲状腺疲労と副腎疲労の違いを簡単にまとめてみます。

 

 @副腎疲労は夕食後に元気を取り戻すが、甲状腺疲労の場合は夕食後も疲労感が抜けない
 A副腎疲労は継続的な運動でスタミナは回復するが、甲状腺疲労の場合はスタミナが向上しない

 

上記したように、甲状腺ホルモンの合成がうまくいかなくなった場合、起き上がれないような極度の疲労感ではないが、パワーが不足していて継続的な疲労感が続きます。

 

 なぜ、甲状腺が弱るのか
甲状腺の病気には大きく分けると2つあります。1つは、「甲状腺がホルモンを出し過ぎてしまう状態」、これをバセドー病といいます。もう1つは、逆に「ホルモンの量が低下した状態」の橋本病です。

 

次に、なぜ甲状腺が弱るのかをまとめてみます。

 

 @副腎が弱ると甲状腺も弱る:
ストレスがかかると、脳は副腎にストレスに対応するホルモンを要求します。ストレスが長期間続くと、副腎が造るホルモンの質・濃度が低下していきます。その状況が続くと、脳は副腎に見切りをつけ、今度は甲状腺にホルモンを出しなさいと矛先を変えます。

 

副腎の代わりに甲状腺が一生懸命にホルモンを造り続けるのです。その状況が続くと、甲状腺が造るホルモンの質・濃度に異常が起こり始め、バセドー病や橋本病を発症します。

 

 A脳からの命令に対し、敵対心を持ち始め甲状腺が弱る:
脳は頼りにしている副腎からのホルモンがこないと、甲状腺に対し、「甲状腺刺激ホルモン」というホルモンを何回も、何回もだして、甲状腺ホルモンを造らせます。その状況が続くと、甲状腺は、脳が送りこんでくる甲状腺刺激ホルモンを嫌いになります。

 

甲状腺刺激ホルモンが甲状腺の壁に到着した際に、その甲状腺刺激ホルモンを敵とみなし免疫が攻撃します。その結果、甲状腺自身にも傷がつきます。いわゆる、自己免疫疾患によって甲状腺が弱ります。

 

この自己の免疫をコントロールしているのが副腎です。副腎が弱ってくると免疫が過剰になりやすく、自己免疫疾患になりやすくなります。前述したように、副腎が弱って、次に甲状腺が弱るので、体内では免疫が異常になっていると考えられます。

 

したがって、免疫が甲状腺を攻撃してしまうことで発症する、甲状腺癌や甲状腺腫などの自己免疫疾患の患者が増えています。

 

 肝臓(腎臓)が弱ると甲状腺ホルモンが乱れる:
副腎や甲状腺で多くのホルモンを造るには、そのホルモンの材料であるコレステロールが沢山必要になってきます。このコレステロールを合成しているのが肝臓です。ストレスが多いとホルモンが沢山必要になります。したがって、コレステロールを合成する肝臓は弱ってきます。

 

ここで知っておいてほしいことがあります。甲状腺で合成されたばかりのホルモンは、まだ未完成なのです。その未完成な甲状腺ホルモンは、肝臓(腎臓)の助けを受けて完成品になります。

 

ホルモンの材料であるコレステロールの合成に追われ、肝臓(腎臓)が弱ると、甲状腺ホルモンは完成品になれずに、未完成のまま脳に運ばれます。脳は未完成な甲状腺ホルモンを「偽物」と感じとり、脳細胞内への取込みを拒否します。その結果、細胞内に甲状腺ホルモンが来ないので甲状腺ホルモンが不足します。

 

したがって、脳は再度、甲状腺に対し、甲状腺刺激ホルモンを送り甲状腺ホルモンを造ることを要求してきます。しかし、甲状腺がホルモンを造っても、肝臓(腎臓)が弱っていると、完成品の甲状腺ホルモンができません。

 

未完成な甲状腺ホルモンがくると、脳は納得しません。よって、甲状腺に対しもう一度ホルモンを造るように命令をだします。それが続くと、甲状腺は疲弊してしまいます。

 

疲弊した甲状腺は、「ホルモンを造り過ぎるバセドー病になるタイプ」か「ホルモンを造れなくなる橋本病になるタイプ」に分かれます。このように、分かれるのは遺伝子の関係があるといわれています。

 

上述してきたように、まず最初に副腎が弱り、その影響で甲状腺が弱ります。そして、その背景には甲状腺ホルモンに大きな影響を及ぼす肝臓(腎臓)の疲弊があります。この一連の流れの引き金になっているのがストレスです。

 

血液検査で甲状腺ホルモンの数値が正常ではない場合に、医師は簡単に甲状腺ホルモンをコントロールする薬を患者さんに処方します。しかし、それは単に甲状腺ホルモンだけを解決しているだけであり、本当は何の問題解決にもなっていないことに気づいて下さい。

 

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