副腎疲労症候群の原因と病態

 

副腎疲労症候群とは


人の生命維持のために最も重要な働きをしているのはです。脳がストレスを感じ続けると、脳からのシグナルが乱れて生命維持に危機が生じます。そこで、脳を守るために副腎という器官で多種のホルモンが造られ、脳に運び込まれます。

 

ここで、「副腎疲労症候群とは?」 「体がどのような状態になるのか」の2つに分けてまとめてみます。

 

 ホルモンを造り過ぎて副腎が疲弊する:
人が生命維持のためにホルモンが必要です。そのホルモンは、副腎や卵巣または、甲状腺などの内分泌器官で造られています。そのホルモンの主な材料は肝臓が造るコレステロールです。

 

人がストレスを継続して受けると、脳を守るためにホルモンの材料であるコレステロールを副腎に集結させます。そして、副腎はその材料を利用して多くの副腎ホルモンを造り、ストレスに対応します。しかし、ストレスが継続すると、ホルモンを造る副腎が疲弊してしまいます。

 

疲弊した副腎は、質の良いホルモンを造ることができなくなります。その影響を一番に受けるのが脳細胞です。脳に質の良い副腎ホルモンが届きにくくなると、脳から発せられる神経伝達(シグナル)に乱れが生じ、後述するような不具合が体に起きてきます。

 

 副腎以外の内分泌器官にホルモンの材料がこなくなる:
脳を守るため、ホルモンの材料であるコレステロールが副腎に集結するということはお伝えしました。しかし、そのようになると卵巣や甲状腺など、他の内分泌器官にホルモンの材料が届きにくくなります。

 

ホルモンの材料が少ない状態で、卵巣などの内分泌器官はホルモンを造ろうとします。しかし、ホルモンの質や濃度は低下します。質や濃度が低下したホルモンでは体がうまく機能しなくなり、さまざまな症状がでてきてしまいます。

 

上記した2つのことが原因で体内のホルモンバランスが崩れます。

 

ホルモンの働きははとても繊細であり、また絶妙なバランスでコントロールされています。しかし、現代人の多くが罹る副腎疲労症候群はホルモンのバランスが乱れる病気です。ただ、現代医学の医師は、ホルモンについて詳しくは説明してくれません。

 

 

以下のような症状のある人は、副腎が疲労している可能性が高い


慢性的な疲労が長期に続き、病院に行っても原因不明と診断される患者さんが増えてきています。このような症状がある方は副腎ホルモンが関係している場合があります。

 

ここで、副腎疲労症候群の可能性がある症状をまとめてみました。

 

 @太陽の光が眩しく感じる

 

 Aお尻と太ももだけに肉がつく

 

 B音に敏感になり、物音で「ドキッ」とすることが多くなる。また、めまいのような症状がでる

 

 C口内炎・胃炎・軟便など粘膜が弱ってきたときに罹る病気になりやすい

 

 Dアレルギー体質が酷くなってきた。また、風邪を引いたような症状が治らない

 

 E朝起きるのがつらく、午後4〜5時に酷い疲労感に襲われる。しかし、夕食後は元気がでる

 

 F日常的なことにとても疲れ、趣味にも興味がなくなるなど軽度のうつのような症状になる

 

 G塩辛い食べ物が無性に欲しくなる

 

 Hパンやお菓子などの炭水化物(糖質)がやめられない

 

 Iコーヒーやチョコレートなどのカフェインがないと仕事ができない

 

 J思考が定まらず物忘れがひどい

 

 K月経前症候群(PMS)がひどくなってきている

 

 L今まで気にならなかったことに無性にイライラする

 

上記した以外にも、喉のつまっているような感じがしたり、声がしゃがれたりする場合もあります。

 

上記した項目の中に、4〜5個の症状が該当する場合は副腎が弱っている可能性が高いです。

 

 なぜ副腎が疲労するのか
ここでは、先天的な原因と後天的原因を例に挙げて副腎が疲労する原因をまとめてみます。

 

先天的な原因:

 

 @父親の関与
祖父または父親が幼少期に怖い体験などを経験してしまったことにより、精子が持つ遺伝子に、恐怖を体験したという情報が後天的に刷り込まれる

 

その情報が、子供や孫にまで影響を及ぼすことなる。恐怖は副腎を弱らせる原因になるため、先天的に副腎が弱い子供が生まれやすくなる

 

このことは、副腎疲労症候群になりやすい性格や環境のページに詳しく書いているので参考にして下さい。

 

 A母親の関与
妊娠中に母親が極度のストレスや恐怖体験、あるいは栄養不良などになった場合は、母体内にいる胎児の副腎に影響がでる可能性が高くなります。

 

後天的な原因:

 

 @未熟児で生まれる

 

 A子供のころから何度も病気を繰り返す。または、手術をしたことがある

 

 B交通事故に遭い、その恐怖心が心に残ってしまう

 

 C親の離婚や親の感情的な暴力などを体験する

 

 D最愛なる人(例えば母親や祖父母)の急死を体験する

 

 E友人から「いじめ」を受ける、または受験や運動の試合で2度連続の失敗してしまう

 

 F親を介護しているが周りからその行為に対する良い評価を受けれない

 

 G身近な人とのたび重なる口論や、職場でのプレッシャーが続いている

 

 H激しすぎる運動を長期間している

 

 I長期間にわたる栄養不良状態

 

上記したような経験が副腎を疲弊させる原因になります。

 

例えば「@」のように未熟児で生まれ、集中治療室に入院した赤ちゃんは、母親とのスキンシップ不足によって副腎は弱る傾向が強いです。その証拠に、退院後は副腎を回復させるため、母親と子供が共に裸になり子供を抱っこするカンガルー療法というスキンシップ療法を指導されます。

 

ここで覚えておいてほしいことは、ストレスは蓄積するということです。一つ一つはたいしたことがない原因でも、それが蓄積されて徐々に副腎に悪影響を及ぼすことになります。

 

特に、同じ失敗を何度も繰り返してしまうと副腎が疲弊します。そして、心の奥底にその失敗のイメージが残り、いわゆるトラウマになります。

 

しかし、ストレスを避けていては人は成長しません。人は成長過程で多くのことを体験していきます。そして、ストレスに対し抵抗力を身につけていきます。努力をして、ストレスを克服すればその人の財産となります。

 

 

副腎ホルモンを長期間造り続けると副腎は疲弊する


前述した体験を経験した場合、副腎はストレスに対応するためにホルモンを大量に造ります。その行為が長く続くと副腎は疲弊してしまいます。

 

現代に生きる人は、常にストレスと闘っています。脳はストレスを感じると副腎に助けを求めます。脳に助けを求められた副腎は、ストレスに対応する物質である副腎ホルモンを真摯に造ります。

 

しかし、現代のようにストレスが多く、またそれが長く続くと、ホルモンを造り続ける副腎が疲弊してしまいます。そうなると、前述したような症状が表れはじめます。

 

 

副腎が「脳の命令を拒みだす」と副腎が疲弊する


現代に生きる人は、常にストレスと闘っています。ストレスを感じた脳は、副腎にホルモンを出すように指示を出します。その指示は、脳の中にある視床下部という場所で、体に必要なホルモン量を決定します。

 

視床下部は直近の部下の下垂体に対し、副腎を刺激するホルモンを分泌させるように働きかけます。

 

このホルモンが副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)です。このホルモンを受けとった下垂体は、次に、「副腎にホルモンを出す」ように促す副腎刺激ホルモンを分泌します。

 

ストレスが続くかぎり、下垂体からは何度でも副腎刺激ホルモンが分泌され、副腎に対してホルモンを要求します。

 

しかし、生真面目な副腎も、副腎刺激ホルモンの要求が続くと、ついに駄々をこねて副腎刺激ホルモンのいうことをきかなくなります。

 

脳からの指令に背いた副腎に対し、脳は命令をエスカレートさせ、副腎にホルモンを出すように指令を強めてきます。何度も繰り返される指令に副腎は最後の力を振り絞り、ホルモンを造って脳に運びますが、やがて副腎は疲労して硬く委縮していきます。

 

このような状態になると、ようやく病院の検査で副腎が弱っているという判断がされます。ようするに、現代医学の検査では初期の副腎疲労症候群を見抜くことができません。

 

現代人の多くが罹っている可能性が高い副腎疲労症候群ですが、その症状を現代医学の医師が認識していないことに疑問を感じます。

 

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