副腎を医学界が認識しない理由

 

副腎科がない訳


病院にいくと血液や尿などの検査をします。医師はその検査結果を参考にして、患者さんの病気を治すための薬を処方し、食事の内容を指導します。

 

病院の看板をみると、「婦人科」・「胃腸科」・「耳鼻科」など「○○科」と書かれた多くの種類の病院があります。ただ、その中に「副腎科」はありません

 

その理由を下記にまとめてみます。

 

 @副腎疲労症候群は、一般的な検査では正常と判断される

 

 A副腎疲労症候群のことを医学部で学ぶ機会が少ない

 

 B現代医学は伝統的に、ホルモンが関係する疾患について詳しくはない

 

上記したように、副腎疲労症候群のように検査ではわかりにくい症状に対して、病院は薬を処方することはできません。そのため「副腎科」がないのです。

 

また、製薬会社との関係もあります。製薬会社としては、検査にでない症状に対して薬をつくれません。よって「利益」も発生しません。したがって「副腎科」ができないのです。

 

そのことから考えると、検査にでやすい病気に対し「○○科」を増やしていっているようにも思えます。患者さんがいくら症状を訴えても検査にでない場合は、改善に向けての指導はありません。

 

 

検査で検出できる副腎の病気


副腎機能が極端に弱った場合は、コルチゾールという「副腎によって造られるホルモン」が血液検査で検出されます。ここで、副腎が極端に弱った場合に発症する症状を説明します。

 

 @アジソン病:副腎機能が極端に低下して、副腎が造るホルモンであるコルチゾールが造れなくなる。

 

 Aクッシング症候群:副腎機能が極端に低下して、その反作用で過剰にコルチゾールを造ってしまう。

 

「@」・「A」のような状態になると、ようやく血液検査で副腎の機能に異常があると医師は判断します。

 

しかし、アジソン病やクッシング症候群の症状は、副腎機能による異常の中の5%でしかありません。残り95%の副腎機能の異常は検査にでないため、「正常である」または「原因が不明である」と判断されます。

 

 

副腎疲労症候群を検査する方法


副腎機能がよほどの重症ではない限り、一般の検査では測定ができないということはお伝えしてきました。しかし、副腎疲労症候群の先進国であるアメリカでは、軽度から中程度の副腎疲労症候群を測定する方法が開発され、医療機関で実施されています。次、にその検査方法の説明をします。

 

 唾液ホルモン検査:
血液検査や尿検査では、正確なホルモン濃度が測定しにくいことはお伝えしました。そこで、副腎疲労症候群を検出するために最も有効な別の検査があります。それが唾液ホルモン検査です。

 

ホルモンの測定で大切なポイントは、細胞内のホルモンの濃度を測定することです。ここで各ホルモン検査を比較してまとめます。

 

 @血液ホルモン検査:
 血液検査でわかるホルモン濃度は細胞の外を循環しているホルモンである。

 

 A尿ホルモン検査:
 尿検査でわかるホルモン濃度は、細胞内で使われ排出されたものである。

 

 B唾液ホルモン検査:
 
唾液検査は細胞内のホルモンの量を正確に計ることができる。

 

上記した「@」・「A」の検査では、そのホルモンが実際にどれだけ細胞内に入っているかを調べるには適しません。それらとは違い、唾液ホルモン検査は細胞内にあるホルモン濃度を計る検査としては極めて有効な方法です。また、その精度は、多くの研究機関で確認されています。

 

 ・唾液ホルモン検査の方法
副腎疲労症候群に詳しい医師は、副腎疲労症候群の兆候を察しした場合に唾液ホルモン検査を実施します。私も、患者さんの体の状態を診て、知り合いの医師に協力をして頂き、唾液ホルモン検査を実施することが多くあります。

 

この唾液ホルモン検査では、副腎が造るコルチゾールというホルモンの濃度を調べます。その方法は、病院で渡される検査キットの説明に従い、1日4回、決められた時間に唾液を小瓶にいれるだけです。針なども不要であり、入院などの必要性もありません。

 

 瞳孔収縮検査
他には瞳孔収縮の度合いを見る検査があります。人の目の「黒目の中」には、瞳孔という光を調節する場所があります。眩しいと瞳孔は収縮します。また、それとは逆に暗いと瞳孔が開いて光を取りこもうとします。これは、カメラの露出の機能と似ています。

 

副腎の働きは体温や、ホルモンの調節、音の調節、白血球の働きの調節など、体の機能を整えます。その一つに、瞳孔を調節するという働きがあります。しかし、副腎疲労症候群になると、瞳孔の調節ができなくなります。

 

そこで、この状態を確認するために、ペンライトを使って瞳孔に光を当てます。ペンライトの光が瞳孔に入ると、通常は瞳孔が収縮します。しかし、副腎疲労症候群の患者さんは、瞳孔の調節機能が低下しているために、光を当て続けているにも関わらず数十秒で瞳孔が開いてきます

 

そのため、副腎疲労症候群の患者さんは太陽や蛍光灯の光を眩しく感じるのです。

 

上述したように、唾液ホルモン検査や瞳孔検査など、簡単であり精度の高い検査方法があるにも関わらず、日本の医療機関でその検査をおこなっている病院は非常に少ないです。そのことからわかるように、日本の医師または製薬会社を含め、いかにホルモンが関係する病気に対し研究していないかを伺えます。

 

 

甲状腺科は存在する理由


副腎と同じようにホルモンが関係する病気に「甲状腺の機能が亢進・低下する病気」があります。医学界は、甲状腺の病気に対しては多くの薬を出したり食事法を指導したりします。その理由は、「甲状腺のホルモンは検査で簡単に測定できる」からです。

 

検査で測定できる病気であるため製薬会社からすれば、「甲状腺科」を設立して甲状腺に関わる病気の症状を抑える薬を作れば儲かります。そして、医師に薬の有効性を説明し、患者さんに「薬」を出せる仕組みを構築しまうのです。その説明を受けた医師も「一生薬を飲まないといけませんよ」と患者さんに平気で伝えます。

 

医師が増え続ける中、製薬会社は「科」を新設して専門分野に強い医師を育てていこうとします。しかし、検査結果にでない病気に対しては「科」をつくりません。

 

本当に病気を治そうとしているのであるなら、検査に出ず、そして薬も出せない症状を治すための「科」を作ってほしいものです。

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