体内から皮膚に何が出てくるのか:腸内毒素編

 腸内の生菌のコントロールが必要である
人の腸内には天文学的な数の細菌群が生息していると言われています。その腸内細菌は体にとって必要なものと、そうではないものがいます。

 

例えば、小腸で生息するグラム陰性菌などが増殖した際には、腹部膨満感が現れます。腹部膨満感が表れる理由は、細菌群が出すガスにあります。

 

ここで、腸内に生息する細菌群が出す毒素が多い場合に発症する症状をまとめてみます。

 

 @腹部膨満感がある(お腹が張る)

 

 Aゲップがよくでる

 

 B胃が圧迫されたようで働きが悪い(逆流性食道炎も含む)

 

 C歯ぎしりをする

 

 D貧血や頭痛症状がある

 

 E便秘(軟便)がちである

 

上記の症状の6個のうち、3つ該当していたら腸内ガスが多く発生している可能性があります。

 

 皮膚炎の背景には腸内細菌が関係する
皮膚炎を患っている人の多くは、「皮膚の痒みの原因は何なのか」ということを思い生活しています。

 

痒みの原因は「これです」とは特定できないところに皮膚炎の改善の難しさがあります。

 

特定できない皮膚炎の原因の1つに腸内細菌の異常増殖が関係していると私は思っています。

 

腸内に生息する細菌が異常に増殖すると、腸内細菌がガスを出すことはお伝えしました。そのガスを処理するのは肝臓です。

 

ガスの量が多いと肝臓がその処理に追われ疲弊していきます。肝臓が疲弊してしまうと処理できていないガスの影響で「@〜E」のような症状が発症することがあります。

 

 処理できないガスが皮膚から出てくる
腸内細菌が出すガスが体内に蔓延ると、多くの症状が出ることはお伝えしました。

 

本来は肝臓がガスを無毒化して、腎臓に運び尿として排出します。しかし、肝臓のガス処理能力が低下すると腎臓は、自身がガスによる弊害を恐れガスの受け取りを拒否すると私は推測しています。

 

受け取り手のないガスは血液中に入り全身に回ります。全身に回ったガスは各臓器・器官に悪影響を与えるために体は何とか処理しようとします。

 

その処理方法の1つに皮膚からガスを捨てるということを行います。

 

ガスが皮膚から放出される際に、皮膚に存在するヒスタミンという物質が反応し痒みを生じます。

 

 腸内ガスが多く発生する理由
腸内細菌の中でも、カンジタ菌やクリストリジウム、またはグラム細菌などは多くのガスを発生すると言われています。

 

上記した細菌類が多くのガスを出す条件がいくつかあります。それをまとめます。

 

 ・精製炭水化物の過剰摂取:
特に小麦加工食品は最も避けるべきです。なぜなら、小麦を加工する際に使うグルテン(小麦タンパク)は、ガスを出す腸内細菌のエサになるからです。

 

グルテン(小麦タンパク)以外にも炭水化物により腸内ガスは発生します。世間では、「肉を食べると腸が腐る」といわれていますが、実際はそうではなく腸内ガスの発生原因は糖質の過剰摂取です。

 

そのことは日常に体感できます。例えば焼き鳥・ステーキと野菜を食べても「オナラ」はあまりでません。例え「オナラ」がでても臭いはほぼ無臭です。

 

一方、ご飯や麺類を中心に食べた際はお腹がはり、「オナラ」が出る回数は多く、匂いも悪臭です。サツマイモや栗を食べた後のオナラの臭さを体感している人は多いはずです。

 

ようするに、ガスが出るということは発酵しているということです。発酵には糖質が必要です。したがって、糖質の少ない肉類や魚介類を食べても腸内発酵はおこらず、オナラも出にくいのです。

 

 ・抗生物質の服用:
日本人は世界一、医療機関を受診します。その理由の一つが風邪症状による咳や喉の炎症症状を止めてほしいということです。

 

風邪に効く薬はないのは世界共通の常識ですが、日本人は風邪に効く薬を要求し、医師も症状にあわせて薬を処方します。

 

その代表が抗生物質です。その他にも、花粉症などのアレルギー症状を抑制する薬も多く処方されます。

 

これらの薬を服用することで症状は緩和できますが、副作用もあります。それは、腸内細菌のバランスが崩れ、いわゆる悪玉細菌が多くはびこります。そのことで腸内から大量のガスが発生します。

 

 ・低胃酸症により腸内がアルカリ性傾向になる:
腸内のpHは酸性でないといけません。腸内細菌は酢酸(さくさん)などの酸性物質を生産し腸内環境を酸性に保っています。

 

胃の働きが弱い人の原因の1つに、胃酸のpHは酸性ではなくややアルカリになっていることがあります。そのような状態を低胃酸症状態と呼びます。

 

低胃酸症の人は食材を十分に消化できなくなり、そのことで十二指腸に食材がいけないことで逆流性食道炎の原因にもなります。

 

それ以外にも低胃酸症による問題が生じます。それは胃酸のpHがアルカリ傾向になることで、腸内環境も酸性からアルカリ傾向になってしまうことです。

 

腸内環境がアルカリ傾向になると、腸内ガスを大量に出すグラム陰性菌などが増殖します。そのことで上述した「@〜E」の症状が発症する可能性が高くなります。

 

日本では「逆流性食道炎の原因は胃酸の分泌が過剰である」ことで発症すると考えられています。その結果多くの人が胃酸を抑える、または胃酸のPHをアルカリ性にする薬を服用します。

 

そのことで、腸内のpH環境もアルカリ性になり、いわゆる悪玉細菌が増えて腸内ガスが発生します。

 

 ・ストレスによる活性酸素の中和で胆汁が多く出過ぎる:
人は頑張ることで細胞からエネルギーが生産されます。ただ、その見返りに多くの活性酸素が発生します。その活性酸素を中和する働きが胆汁にあります。

 

活性酸素が多くなると、胆のうから胆汁が多く分泌されます。ただ胆汁が多く出過ぎると胆汁は大腸に到達してしまいます。

 

ここで補足ですが、本来胆汁は小腸で90%が再吸収され肝臓に戻されます。したがって、胆汁は大腸にはいかないシステムになっています。

 

しかし、肝臓が造る胆汁の「質」が低下すると、小腸は質の悪い胆汁の受け取りを拒否します。そのことで、吸収されなかった胆汁が大腸に到達してしまいます。

 

大腸にとって胆汁は、招かざる客です。なぜなら胆汁は悪玉細菌と反応し猛烈なガスを発生させるからです。

 

したがって、大腸は胆汁をいち早く排出しようと下痢になります。そのことは「なぜ男性は腸が弱いのか」に詳しく述べていますので参考にしてください。

 

 腸内細菌が出すガスをコントロールする必要がある
現代人が生活していく中で、何気無く食べている物や、ストレスにより腸内の環境は悪化傾向です。

 

そこで、私の治療所では、上述した「@〜E」に多く該当する患者さんには、腸内生菌をコントロールする必要性を説明します。

 

そして自宅でおこなう腸内生菌コントロールの方法をお伝えしています。その方法は、患者さんの体調や症状をみての提案になるので、ここでは記せません。

 

連絡いだいてお会いしてからの提案になります。

 

「皮膚に何がでてきて痒くなるのか」の問いに答えることは簡単ではありません。しかし、痒みの可能性のある物質の1つに、腸内細菌による毒素が関与している可能性は高いと私は思っています。

川本療法の神髄を伝授:無料メルマガ登録




セミナーの開催のお知らせ



体内から皮膚に何が出てくるのか:腸内毒素編 関連ページ

皮膚炎に対する疑問
アトピー性皮膚炎と遺伝子の関係
体内から皮膚に何が出てくるのか:体内毒素編
体内から皮膚に何が出てくるのか:化学物質編
肝臓にとって苦手な毒素がある
デトックス中ではなく、デトックス失敗中である
皮膚表層に分布する血管と血液の摩擦により痒みが生じる
皮膚に出てくる「黄色い液体」は何なのか
皮膚の同じ箇所が痒くなる理由
過去にステロイドを使用した箇所が痒くなる
皮膚炎の人の皮膚が「ポロポロ」剥がれる理由
アトピー性皮膚炎とリンパ節の関係
自律神経は、「痒いことで乱れるんや!」
花粉の季節とアトピー性皮膚の関係
アトピー性皮膚炎とリウマチ・関節炎の関係
玄米菜食が一時的にアトピー性皮膚炎を改善させる理由
リンパマッサージでアトピー性皮膚炎は治らない
乳幼児の皮膚炎の原因
思春期の皮膚炎の原因:男性編
思春期の皮膚炎の原因:女性編
成人の皮膚炎の原因:男性編
成人の皮膚炎の原因:女性編
老人の皮膚炎の原因:腎機能の低下編
アトピーの意味と歴史
腸内生菌バランスを整える
アレルゲンが侵入してくるルートを減らせねば
川本療法:まずは、リンパ節内清掃です
川本療法:乾燥した皮膚に水を増やす
川本療法:皮膚の水を流出させない

HOME プロフィール 川本療法の特徴 川本治療所 HP 治療家向けセミナー お問い合わせ