皮膚表層に分布する血管と血液の摩擦により痒みが生じる

 血管と血液の関係性
血管の全長は約10万キロ(赤道直下で測定して地球2周半)あります。血管はホースのような構造で、血液が末端まで流れることで栄養・酸素が運ばれると思われています。

 

しかし、実際の血管の構造は、ホース本体に「血液がにじみ出るためのすき間」があります。したがって、血管から血液の中の栄養成分がにじみ出し、細胞に届ける仕組みになっています。

 

この血管の中を血液が流れることにより、全身に栄養や酸素が運ばれます。しかし、血管の柔軟性と血液が流れる速度の相互関係が乱れることにより、病気が発生することはあまり知られていません。

 

脳は、血液中の有効成分を細胞に届けるために、血管をより細くして血液との抵抗力(摩擦)を高めます。その作用で、血管の壁から細胞に必要な栄養成分がより多くにじみ出し、細胞に栄養が有効的に運ばれます。

 

上記のことから、なぜ、人の体には血圧が存在するのかが理解頂けたと思います。

 

しかし、その作用は良いことばかりではありません。その抵抗力(摩擦)が強すぎて病気が発症する場合があるからです。

 

 「しもやけ」症状を紐解く
一般的に「しもやけ」とは、血液循環が低下したことで「手足の指」や「耳たぶ」などに痒みを伴う症状であると思われています。しかし、血液循環が低下したなら、患部の肌の色は「白く」なるはずです。しかし、しもやけの患部は「赤く」なっています。

 

そのようなことは他でも経験します。例えば、冬にお風呂に入ると体が温まり、体が赤くなって、足や背中が痒くなります。また、冬場に急にウォーキングなどをすると、太腿(ふともも)付近に赤みを帯び痒くなります。

 

この現象を紐解くと、初冬に気温が下がりはじめると体温も低下傾向になります。この状態のときに入浴や運動などをした場合は、急激な温度変化により血管の中を流れる血液量が急激に増えます。そうなると、体の多くの場所で「痒み」がでてきます。

 

そのことから考えると、「しもやけ」のメカニズムも解明できます。「しもやけ」とは「下焼け」と書き換えることができます。いわゆる「下(しも)=末端」が「焼ける」ということです。

 

「しもやけ」では、外気温が低下してくる初冬時期に、気温の低下に伴い体内の血流も低下してきます。そうなると、末端の細胞に血液が行きにくくなり、栄養素が不足してきます。

 

脳はそのことを感じとり、より血管を細くすることにより、血液との抵抗力(摩擦)を上げることで血液量を増やし、必要な栄養素を細胞に届けようとします。

 

その作用で、循環速度が急激に速くなりますが、「細くした血管」と「流れてくる血液との間」に大きな抵抗(摩擦)ができます。その結果、大量の活性酸素が発生し、その影響で皮膚は赤く、また痒くなります。

 

いわゆる、「血液循環が低下した場合に発症する」と思われているメカニズムとは全く逆の原因で症状を発症していることになります。

 

 冬季に皮膚炎が酷くなるのは、全身で「しもやけ」現象が起こっている
皮膚炎が酷くなると、皮膚に対しステロイド系の薬を塗る人が多くいます。場合によっては、これは致し方ないことです。

 

このステロイド剤の作用に血管を収縮させる作用があります。したがって、長期間ステロイド剤を使用することで血管は収縮して硬くなります。

 

また、皮膚炎を患う人の皮膚には栄養が乏しいために、脳は血管をさらに収縮させて末端まで栄養を運びやすい環境をつくります。

 

そのことで、硬く収縮した皮膚に分布する血管内を、大量の血液が流れ込むことで血管と血流との間に摩擦が起き、大量の活性酸素が発生します

 

冬季に皮膚炎が悪化する人は、皮膚表層に分布する血管で「しもやけ」が起こり痒くなっているのです。

 

上記したような血管と血液の摩擦が過ぎることにより痒みが発症することはあまり知られていません。

 

 血管の柔軟性を復活させる必要がある
皮膚炎を患っている人の皮膚は栄養不足状態です。なぜなら血管が硬く収縮していることで血流が悪いからです。

 

脳は栄養の乏しい皮膚に対し、多くの栄養を運ぼうとしますが、血管が硬く収縮していることで思ったように栄養が届きません。

 

栄養が届かないことで、皮膚で作られる皮脂(皮膚に存在する脂)の製造が進みません。その結果、皮膚は乾燥し皮膚に傷がつきやすいことで皮膚炎が治りにくくなります。

 

そこで私は冬季皮膚炎の患者さんに対して、「血管の柔軟性を復活させる必要がある」と説明します。

 

ここでその方法をまとめます。

 

 @症状が出てから対応するのではなく、春から冬に向けての準備をする

 

 A春からウォーキングを開始する(気温が上がることで血管がやや拡張するために摩擦が起きにくい)

 

 B「鶏がら」を購入し野菜などをいれて鶏がらスープ飲んでもらう(脂の摂取)

 

 C必須脂肪酸を獲得するためにサプリメントを服用する

 

 D血管の材料であるコレステロールを多く含む食材を積極的に摂る

 

 E血管の柔軟性を高めるサプリメントを服用する

 

 F自宅で器具を使って自己指圧をする

 

上記したことを春からおこない、冬に向けての対策をします。しかし、長期間皮膚炎を患っている人はその年の冬までには結果がでない場合があります。

 

その場合は再度、春から同じことを繰り返すことで、2期目の冬には症状が回復することが多いです。

 

私は治療をしているのではなく、あくまで「道標を示しているにすぎません」。治ろうとするのはあくまで患者本人の努力にかかってきます。

 

冬季に皮膚炎が酷くなるケースは、皮膚表層に分布する血管に血液が流れ込むことで摩擦が起き、活性酸素が発生します。そのことが痒みの原因になることを認識してください。

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