原因不明の病気に、肺と腎臓が関係している
人の体は、精妙にpHの調節をしている
pHとは:水素イオン濃度を示す指標(逆数が用いられている)。中性はpH7.0。
正常血液(体液)のpHは7.35〜7.45 弱アルカリ性。
少なければ(pH7.35を下回ると)酸性(アシドーシス)になり、6.8を下まわると死を招く危険がある。
多ければ(pH7.45を越えると)アルカリ性(アルカローシス)になり、7.8をこえると死を招く危険がある。
pHの調節pHは血漿・呼吸・腎の3つで調節している。
1)血漿の緩衝作用
血漿中の炭酸・タンパク質・ヘモグロビンなどには、
過剰の酸やアルカリと結合し中和する作用がある。
2)肺での調節(呼吸性)
通常1〜3分以内に呼吸数と1回換気量を変化させて調節を行なう。
H+を二酸化炭素として排出することで調整をとる。
血漿中の炭酸が多くなりすぎるとH2CO3は二酸化炭素(CO2)と水に分解され、
CO2は呼吸によって肺胞から外に捨てられる。
呼吸機能に応じて血漿中の炭素は変動する。
呼吸性の異常では、肺胞の低換気によりCO2が上昇してアシドーシスになる場合と、
過換気によりCO2が低下してアルカローシスになる場合の2通りに分かれる。
3)腎での調節(代謝性)
数分以内に生じるが、最大効果の出現には数日を要する。
直接的に多くのH+やHCO3−を分泌、再吸収する。
血液中のpHを一定に保つように、腎臓では不要なH+、Na+、Cl-、場合によっては
HCO3-などを尿中に排泄している。
代謝性因子の目安として、HCO3-(炭酸水素イオン)の増減が重要で、
24mEq/l以下で代謝性アシドーシス、30mEq/l以上で代謝性アルカローシスになる。
代謝性の異常では、体液中に酸が過剰に産生された場合や塩基が失われた場合の
代謝性アシドーシス、逆に塩基が蓄積し酸が失われた場合での代謝性アルカローシスなどがある
血液の中には、酸素や二酸化炭素などのガスが含まれています。
このような血液ガスを分析することによって、身体の調子がわかります。
私たち人間の身体は、60兆個もの細胞から構成されています。
そして、その細胞は、酸化作用によって活動に必要なエネルギーを得ています。
ヒトが「酸素(O2)が無いと生きていけない」と言われるのは、
この生化学反応に酸素が必要だからです。
呼吸によって肺胞に取り込まれた酸素は、肺の毛細血管内血液へと拡散し、
そこでヘモグロビンと結合し、酸化ヘモグロビンとして全身の各細胞に運ばれます。
そして、細胞では、血液中から酸素だけが取り込まれ、
エネルギーの産生に使われます。
体内では、このような細胞代謝や食事によって「酸」が産生されますが、
その酸は、「揮発性酸(炭酸)」と「不揮発性酸(炭酸以外の酸)」に大別されます。
揮発性酸
揮発性酸の大部分は、炭水化物や脂肪の燃焼によってできる二酸化炭素(CO2)です。
そして、肺から呼気によって排泄(ガス交換)されます。
不揮発性酸
不揮発性酸は、蛋白質の代謝によってできるリン酸や硫酸などです。
そして、腎臓から排泄されています。
揮発性酸と不揮発性酸の排泄経路は、
体内のpHを一定に保つ酸塩基平衡の調節に深く関係しています。
つまり、腎臓と肺は、酸塩基平衡の調節器官としての役割を果たしています。
血液ガス分析の重要性には、「ガス交換(呼吸状態)と酸素化」、
「酸塩基平衡の指標となる」の2つがあります。
細胞の代謝には酸素が必要です。
ですから、血液ガス中の酸素の低下は、
全ての臓器や細胞機能の障害を意味します。
よって、血液ガスの異常が疑われるのは、呼吸器や心血管系、腎臓の疾患、
そして、中枢神経、消化器系、内分泌といった
生命維持に必要な機能そのものということになります。
血液ガスは、酸素と二酸化炭素だけと考えてしまいがちですが、
そうではなく、含まれる成分の多くは大気と同じように窒素(N)です。
ですが、窒素は、細胞代謝には殆ど影響を与えないので、
「潜水病」など以外ではデータとして取り上げられることはあまりありません