副腎疲労症候群の対応:脂質の摂取について

 人は脂質なしでは生きれない
人が生きていく上で、最も重要な栄養素は脂肪であると私は思っています。ここで良質の脂肪(油脂)の働きをまとめます。

 

 @良質の脂肪は脳の栄養である

 

 A強力な抗酸化物質としての働きがある

 

 B10万キロにも及ぶ血管の弾力性をもたせる

 

 C細胞膜の材料になる

 

 D神経伝達の働きに不可欠である

 

 Eホルモンの材料である

 

上記したように、脂肪(油脂)は体には不可欠なものです。

 

しかし脂肪(油脂)については、一般的に「体に悪いもの」とされています。その結果、現代の日本人で最も不足している栄養素の1つに良質の脂肪(油脂)があります

 

 脂肪(油脂)は細胞のエネルギー源である
脂肪(油脂)1gあたり9kcalのエネルギーを生み出します。炭水化物やタンパク質は1gあたり4kcalのエネルギーを生み出します。

 

脂肪(油脂)が生み出すエネルギーは、炭水化物やタンパク質の2倍以上す。脂肪(油脂)を効率よく使えば多くのエネルギーが獲得できます。

 

例えば、60kgの人の体脂肪率が10%ならば、その人は体内に6kgの脂肪を備えているということです。

 

上記したように1gで9kcalですので、それを1kgに換算すると9000kcalのエネルギーを生み出すことになります。

 

体重60kgで体脂肪率が10%の人は体内に6kgの脂肪があるので、6kg×9000kcalで54,000kcalのエネルギーを生み出すことができます。

 

過酷といわれているトライアスロンの競技でも、1試合で約8000kcalのエネルギー消費でしかありません。

 

したがって、体内に6kgの脂肪がある人は6kg×9000kcalで54,000kcalのエネルギーを生み出すことができるので、脂肪をエネルギーを源として使えばトライアスロン競技を6〜7試合できる計算になります。

 

 脂肪からエネルギーを獲得できれば疲労感は少ない
短距離選手は100mを走るとゴールで倒れ起き上がることができないほど疲労しています。一方、マラソン選手は42.195キロを走り終えても手を振りながらウイニングランををしています。

 

そのような違いが生じるのは体内で使っているエネルギー源が違うからです。その違いをまとめます。

 

 ・短距離走のエネルギー源:

 

 @短距離走の選手は、糖質をエネルギー源としている

 

 A糖質は素早くエネルギー源となるが多くの老廃物(乳酸など)が発生する

 

 B糖質は筋肉や肝臓に少量しか備蓄ができないので短時間で枯渇する

 

上記のことで、糖質を使うと速いスピードは出せるが長距離を走ることはできません。また、乳酸などの影響で疲労度合いも強いです。

 

 ・長距離走のエネルギー源:

 

 @長距離選手は最初は体内の糖をエネルギー源に使う

 

 A試合の序盤は糖質が燃やしているので疲労物質が多く「しんどい」と感じる

 

 B試合開始20分ほどで糖質を使い切り脂肪をエネルギー源として使いはじめる

 

 C脂肪をエネルギー源とした場合は乳酸などの疲労物質は少量である

 

 D有酸素で走るために、酸素を使い乳酸をエネルギー源に変換して再利用できる

 

上述したように、脂肪は1kgで9000kcalを生み出せます。したがってそれを使うことで、42.195キロもの長い距離が走れることができます。

 

 母乳の成分は体内で脂肪酸を作る 
新生児の唯一の食事は母乳です。新生児の時期に、脳は一番発達するといわれています。その時期に母乳だけで過ごすことを考えれば、母乳の成分は何なのかと気になります。

 

ここで母乳100gに含まれる栄養成分をまとめます。(母乳の成分は、母体の個体差や搾乳後の時間によって多少の変動がある)

 

 ・糖質−6,8g (乳糖が95%の6gを占める) 
 ・脂質−3,4g
 ・タンパク質−1,1g

 

上記した成分が母乳に含まれています。1番多く含まれているのは乳糖です。乳糖は体内で中性脂肪に変化しエネルギー源として使われます。

 

また、オリゴ糖も含まれており、オリゴ糖は大腸に生息するビフィズス菌のエサになります。オリゴ糖をエサにビフィズス菌は短鎖脂肪酸を作ります。

 

また、2番目に多く含まれているのが脂質です。そのことから考えると新生児は母乳から脂肪を獲得しエネルギー源として使っていることがわかります。

 

 家畜でない動物が減ったことが問題である
人は脂肪を燃やすことで多くのエネルギーが獲得できます。そのことから脂肪の摂取量を増やせば良いことが分かります。

 

しかし現代では、ウサギやシカなどの自然に生息する動物を食べる機会が減り、養殖された家畜を食します。無理やり脂肪をつけさせ、体を大きくする方法で育てている家畜の脂肪(油脂)は、体内でエネルギー源として使うことができません。

 

それは養殖の魚も同じことがいえます。昔の人は、天然の動物や魚介類から上質の脂質を獲得してきました。しかし、現在はそのような脂肪を取ることは難しい時代です。

 

そのような状況でも脂質の摂取は必要です。できるけ養殖ではない魚介類や、放牧で飼育されている家畜を選び積極的に食べてください。

 

また、身近な食材では「骨髄スープ」があります。スーパーで「鶏や豚ガラ」を購入しそれを炊いて骨髄スープを飲む習慣をつけて下さい。

 

 ココナツオイルを積極的に摂る
ここでお勧めするオイルがココナツオイルです。ココナツオイルは高温でも酸化しにくく、素早くエネルギーに変換されます。それはココナツオイルは、中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)に属するからです。

 

一般的な脂肪は、皮下や内臓に貯められ必要な時に分解して使われます。しかし、中鎖脂肪酸は皮下や内臓には貯まらずに素早くエネルギーとして使われます。

 

その他にも、寒冷地区で生息している魚(タラやサケ)、またはオキアミなどを原料にして作られたサプリメントも上質の油を摂るのには良い方法です。

 

しかし同じ脂質でも、高温で調理された脂質はお勧めできません。その理由は高温下の調理で油が酸化しているからです。したがって、天ぷらや唐揚げなどはできるだけ食べないようにします。

 

また、カレーのルーなど油脂を使った材料で、長期間保存のきく食材も酸化しており摂取すべきではありません。

 

なぜなら酸化した脂質は人が生きていくためのエネルギー源にはならないだけではなく、過酸化脂質という細胞を壊わしてしまう物質に変化するからです。

 

 体は糖質を優先的に使う
糖質と脂質が体内にある場合、体はエネルギー源として糖質を優先的に使います。その理由は、「糖質は素早く燃焼し最もてっとり早いエネルギー源」だからです。

 

本来、脂肪をエネルギーとして使うことが「人の真のエネルギー獲得法」です。しかしそのメカニズムがうまく動かない背景に、糖質(炭水化物)の存在があります。

 

ようするに、人のエネルギーシステムは、糖質が体内にあれば糖質から優先して使います。しかし、体内の糖質が減ると今度は脂質をエネルギー源として使います。

 

したがって、炭水化物(糖質)中心の食事をしていると、人はその糖質から先に使い脂質を使うエネルギーシステムは作動しません。

 

特に副腎疲労症候群を患うと、体を動かすためのもう1つのエネルギー源であるホルモンの合成量が少なくなります。したがって思うように体がうごきません。

 

そのことで脳は、素早く動くことのできる糖エネルギーを使います。その結果、短時間は元気になったような錯覚に陥りますが数時間で低血糖症状を起こし極度の疲労感に見舞われます。

 

人のエネルギーシステムは体内に糖質があると糖質を優先することはお伝えしました。したがって、糖質がある限り人本来のエネルギー源である脂質は使われません。

 

人本来のエネルギーシステムである脂質をエネルギー源として使うには、まず糖質(炭水化物)の摂取を限界まで減らすことです。

 

糖質が脳のエネルギー源と一般的にはいわれています。しかし実際は、体に悪いとされている脂質(質の良い)を多く摂取することが、副腎疲労症候群改善に繋がることを認識してください。

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