肝臓はサプリメントの過剰摂取で疲弊する
肝臓に負担をかけていませんか
唐突ですが、「貴方は、医薬品やサプリメントを服用していますか?」と問われれば、殆どの方は「はい」と答えると思います。
病院で診察を受けると症状を抑えるための薬が処方されます。また、薬が嫌いな人はサプリメントを服用して健康を維持しようとします。その中にはメガサプリといって、大量のサプリメントを服用している人もいます。
一般的にはサプリメントは飲めば飲んだ分だけ効果が出ると思っている人がいます。ここでサプリメントが体内でどのようにして利用されているかをまとめます。
@服用したサプリメントは消化・分解・吸収され肝臓に運ばれる
A肝臓は運ばれてきたサプリメントの素材から体内に必要な物質を合成する
B「A」の作業工程を「代謝」という
上記したように、服用したサプリメントは、分解され肝臓に運ばれます。
昔から肝臓は、肝心要(かんじんかんめ)と表されてきました。肝臓がそのように表されてきた理由は、タンパク質の合成やビタミンの貯蔵、またはコレステロールの合成などの生命維持には欠かせない臓器だからです。
その多種な働きの中でも、代謝は特に重要な仕事です。
ここで「代謝」について簡単に説明します。代謝とは体内に取り込んだ素材や体内で生産された素材から、体に必要な物質を合成することです。
例えば、人がタンパク質を摂ると、消化作用によりアミノ酸に分解されます。肝臓はそのアミノ酸を使い、筋肉や血管などに必要な物質を合成しています。このように、肝臓は運ばれてきた物質を選択し休むことなく代謝作用をくり返しています。
病気を治すために服用する物質で肝臓は疲弊する
現代人の肝臓は疲弊しています。なぜなら、体内に入ってくる多くの化学物質を解毒したり、ストレスに対応するためのホルモンの材料を生産したりしているからです。また現代人はストレスから過食傾向にあり、飲食した物質を代謝する仕事が増えることでも疲弊します。
さらに現代人は、病気になった際、病気になった根本原因を究明せずに安易に薬やサプリメントを服用し症状のみを抑えようとします。その薬やサプリメントの代謝に肝臓は疲弊します。
薬を飲むことで薬疹が出る場合があります。その症状がでると医師は薬を一旦中止するか、薬の種類を変えます。なぜなら、薬疹は薬の代謝に追われ肝臓が疲弊しているからです。
一方、サプリメントは薬ではないために大量に摂取する人がいることは上述しました。そのような人は「サプリメントは自然なものだから」「サプリメントは栄養素」だからという考えから服用を続けます。
しかし自然な物であれ、それを加工し凝縮した物を大量に服用すると肝臓の代謝能力は徐々に疲弊してきます。
サプリメント同様、漢方薬も自然素材を使っているために、副作用がないといわれています。しかし、実際はそうではなく漢方薬の長期服用で肝臓に負担がかかり肝機能低下になる場合があります。
肝臓を強くするサプリメントは強壮剤が多い
患者さんから「肝臓を強くする方法はありませんか?」という質問が多いです。健康情報でも肝臓を強くするサプリメントが多く販売されています。また薬局やコンビニに行くと、お酒を飲む前に服用するドリンク剤が多く販売させ多くの人がそれを購入しています。
それほど現代人は肝臓が弱っているという自覚を持っています。しかし、強肝作用があるとうたわれているサプリメントやドリンク剤は、疲れた肝臓を治しているのではなく、一時的に肝臓機能を高める起爆剤的な商品がほとんどです。
したがって、そのような商品を服用すると肝臓が元気になったような錯覚に陥りますが、無理を強いられた肝臓はさらに疲弊します。
私は「肝臓を強くする方法はない」と患者さんには説明しています。そして、「肝臓を強くすることを考える前に、肝臓に負担になる生活習慣を改めるべきです」とお伝えしています。
大量のサプリメントを服用しているにもかかわらず症状に変化がない場合は、サプリメントを増やすのではなく、肝臓が疲弊しサプリメントの代謝能力が低下している可能性があることを認識してください。