心体(しんたい)は一体であることを理解する
腰痛の原因は脳が関係している
柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターは、自分の施術に自信を持ち過ぎる傾向があります。そのことで「筋肉を緩めれば治る」「背骨を矯正すれば治る」「鍼で何でも治せる」といった考えになりがちです。
自分の施術に自信を持つことはとても素晴らしいことです。しかし今後、難しい病気を回復させていこうとするなら、「○○だけすれば」の思考では限界があります。
2015年にNHKのテレビ放送で、腰痛の原因にストレスが関与していることが報じられました。
昔からの言い伝えにも「ショックを受けると腰が抜ける」という表現があるように、脳と腰痛が関係していることは何となく知っていましたが、現代の科学力を用い脳と腰痛の関係が解明されたことは素晴らしいことです。
実際にレントゲンやCT検査でも腰痛の原因は分からないことが多く、腰痛の約80%以上が原因不明(整形外科学会の発表)であるといわれています。
しかし、柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターの多くは、腰痛は「筋肉を緩めれば治る」「背骨を矯正すれば治る」「鍼で一発で治せる」という、絶対的な自信を持っています。
そのことで、腰痛の改善者数は増えず、患者側からすると「あそこに行っても治らない」ということで通院しなくなります。
つまり、「原因不明の腰痛は脳が関係している」という認識を柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターが理解し、「○○だけで治せる」という思考を変換する時代だといえます。
首の寝違えも脳が関係している
上述してきたように腰痛だけに限らず、ほとんどの病気の発症に脳が関係しているといっても過言ではありません。
例えば、主たる原因がなく、首が回らなくなる症状を「寝違え」といいます。一般的に「寝違え」は変な体勢で寝たことで発症していると思われています。しかし、実際はそうではありません。
ことわざに「借金で首が回らない」といった表現があります。この意味は「借金をしていることで精神が病み、首が回らない」ということです。つまり、脳と首の硬直が関係していることを示唆しています。
そのことを理解していない柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターが多く、一般的な「首痛」の施術をしても治療効果は一次的に過ぎず、再発するケースが多いです。
原因不明の「寝違え」の発症経路をまとめます。
@脳がストレスを感じる
Aストレスに反応しやすい心臓や胃の働きが低下する
B心臓や胃の働きが低下することで首・肩の筋肉が硬直する
C「B」のことで頸椎と頸椎の間隔が狭くなり、そこを通る神経が圧迫される
D「C」のことで痛みが生じ、首の筋肉はさらに硬直する
E首の筋肉が硬直することで首が回りにくくなる
上記したように、寝違いとは首を打ったり、捻ったりして発症するのではなく、脳ストレスに内臓が反応し首が硬直することで発症します。
脳から発せられる異常シグナルを正常にしなければならない
上述してきたように、原因不明の腰痛や寝違えの発症原因の1つに脳が関係していることはお伝えしました。このことから考えると、痛みの出ている患部だけを施術するのではなく、症状に至る影の原因である脳へのアプローチが必要になります。
「脳へアプローチする」となると、その方法はどうしたら良いかと悩む柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターが多くいます。ここで脳シグナルを安定させる方法をまとめます。
@現在発症している痛みを取ることで脳シグナルは安定する
A患者さんに、症状の発症理由を明快に説明することで脳シグナルは安定する
B「手技療法」で患者さんの皮膚に触れることで脳シグナルは安定する
上記したことはあたり前のことのように思いますが、整形外科や内科ではこのことを一切おこなっていません。
したがって、痛みを取る技術と手で患者さん触ることを苦にしない柔道整復師や鍼灸師、またはカイロプラクターにチャンスがあります。後は、「A」に説明した脳と痛みの関係性を明確に説明できる知識を身につけるだけです。
私が常々、関係者に述べている「知識は深く、施術は泥臭く」という言葉に全てが集約されています。