アトピー性皮膚炎とリンパ節の関係
アトピー性皮膚炎の痒みは最初、何処から出る?
卵アレルギーやアトピー性皮膚炎などの場合、最初は必ずといっていいほど、膝裏や肘内側、または腋や首筋などリンパ節に近い箇所から症状が出ます。
なぜ、そのようにリンパ節付近から症状が出てくるのか、不思議だと思いませんか?
その背景に、皮膚とリンパ節に大きく関与している細胞の存在があります。そのことを下記に纏めていきます。
皮膚に存在する免疫システムの話
皮膚に「ランゲルハンス細胞」という細胞があることはあまり知られていません。
ランゲルハンス細胞? 何、この細胞? と思われるでしょう。この細胞は一種のマクロファージ(表皮マクロファージ)で、表皮だけではなく口腔・食道・膣・真皮・毛包・脂腺・さらにリンパ節・胸腺などでも確認されています。
骨髄で生産され、非常に強力な抗原提示細胞で、いわゆる抗原抗体反応に長けている細胞ということです。
ここで、ランゲルハンス細胞の働きをまとめます。
@骨髄で生産されたランゲルハンス細胞は血液に乗って皮膚に運ばれる
A抗原(異物)が皮膚に付着すると、ランゲルハンス細胞は異物を捕まえる
B異物を捕まえた同細胞は、リンパ管を経由してリンパ節へ入っていく
Cリンパ節内に存在する「T細胞」に捕まえてきた抗原を提示する
D抗原を認知した「T細胞」は、血液に入り皮膚に到達する
E皮膚に付着した抗原に対し抗体反応を起こし皮膚の炎症を抑える
上記したように、ランゲルハンス細胞は「皮膚とリンパ節」に密接に関係しています。
このランゲルハンス細胞はとても優秀な細胞で、皮膚移植の際に拒絶反応の作用で、皮膚が剥がれてしまうのを助けたり、皮膚腫瘍の進行を妨げたりしたいるそうです。
また、他の免疫細胞の働きを補佐することで免疫の正常化を担っているそうです。
ランゲルハンス細胞が弱るとどうなるのか?
人の皮膚免疫に大きく関与し重要な働きをしているのがランゲルハンス細胞です。
皮膚疾患で悩む人は多くいますが、慢性的に皮膚が改善しない患者さんのランゲルハンス細胞の働きはどうなっているのか? という疑問がでてきます。
やはり、ランゲルハンス細胞の働きが弱ったか異常になったのではないかと考えるのが筋です。
それではランゲルハンス細胞が弱る原因は何なのか?
皮膚(表皮)は体の外側にあり、絶えず多くの抗原(異物)と接触します。そのため皮膚(表皮)とランゲルハンス細胞の関わりは密接であり、その働きで皮膚全般の保護機能に関与しています。
多くの研究機関によると、化学的発がん物質や免疫抑制剤、またはステロイド系ホルモンの使用によりランゲルハンス細胞の数の減少や能力の低下をもたらすと発表しています。
また、ランゲルハンス細胞は、炎症性の皮膚疾患や接触性皮膚炎において、一時的に活性化されて数が増えますが、皮膚炎が長期化してしまうと、活性力が低下し働きが弱ることが推測できます。
上記のように、ランゲルハンス細胞が弱ってしまうことで皮膚に炎症が起き、そこに紫外線の過剰照射や花粉やPM2,5などの異物が皮膚炎の悪化をさらに助長してきます。
さらに、私は「T細胞」も能力が落ちるのではないか? 危惧しています。
長期化する皮膚炎で、ランゲルハンス細胞→T細胞ルートが過剰に働くことで、T細胞にも負担がかかり抗原抗体反応に異常が出ていることも推測できます。
そして、T細胞の機能が通用しなくなることで、他の免疫細胞が異物を攻撃してしまい、皮膚炎をさらに悪化させていることも推測できます。
皮膚の感覚異常を治さなければならない
私の治療所では、まず、皮膚細胞の「生体水不足」の改善と「皮膚刺激」からはじめます。
・皮膚の水不足について:
皮膚に「生体水」が豊富にあると、皮膚粘膜に付着した異物を、生体水が「異物を包んで粘膜から浮かす」ことができます。
そのことで、皮膚粘膜と異物は「触れていない状況」になります。皮膚粘膜に異物が触れていないことで、異物除去のためのランゲルハンス細胞→T細胞ルートは発動しません。
そのことでランゲルハンス細胞→T細胞は休むことができ、システムも改善していくのではないかと考えます。
生体水化された水を1日に2、5〜3リットル飲用する。2か月ほどかかりますが皮膚に生体水が届くようになり、異物反応の過剰反応を軽減することができます。
また、生体水化された水を飲用することで、リンパ管内に溜まっている老廃物を体外に捨てる作用も促進します。
アトピー性皮膚炎の人は、リンパ管に毒素が溜まり、リンパ管自体の能力が低下しています。したがって、生体水化された水でリンパ管清掃をすることはとても大切です。
生体水に関しては、「水の不思議をひも解く」を参考にしてください。
・皮膚刺激の必要性について:
皮膚(表皮)は体の外側にあり、絶えず多くの抗原(異物)と接触します。そのため皮膚(表皮)とランゲルハンス細胞の関わりは密接であり、その働きで皮膚全般の保護機能に関与しています。
言い換えれば、皮膚(表皮)の感覚が過敏だと、ランゲルハンス細胞→T細胞ルートにスイッチが入ってしまうということです。
したがって、川本療法では手技とは別に自宅でのケアで皮膚に対し「痛・気持ちいい」刺激を推奨しています。なぜなら、「痛・気持ちいい」刺激は、皮膚(表皮)の過剰感覚を正常化させる働きがあるからです。
アトピー性皮膚炎の痒みは2種類あります。1つは、アトピー性皮膚炎が原因によって出る痒み。もう1つは、アトピー性皮膚炎によって損傷した皮膚感覚の崩壊とその皮膚を治そうとすることで起こる痒みです。
皮膚感覚の崩壊と皮膚を治そうとすることで起こる痒みの発症システムを正常化することで、花粉の季節や紫外線、または温度変化などによる痒みが軽減でき、アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐことになります。
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