・「遺伝子が変異してガン化する」その原因とその治療法と改善例

■西宮で慢性疾患を中心に診ている川本治療所です

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本院は西宮ですが、月に1度東京・駒込サロン(11年目) 名古屋伏見サロン(9年目)での施術も行っています

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■遺伝子が変異して細胞がガン化する、その原因と対応法を分かりやすく解説します

(朝日新聞から引用しています 主内容は変えずに、文章を分かりやすく配置、少し加筆しています)

 

・遺伝子が正常に機能せず、通常と違う細胞(さいぼう)が広がる

まずゲノムとは、遺伝子をはじめとする遺伝情報の全体を意味します

ヒトの体をつくる一つひとつの細胞(さいぼう)は、2万数千個の遺伝子によって、正しく働くようコントロールされています

遺伝子は、4種類の塩基から成るDNAで構成され、この塩基の配列の差異で、性格や病気のなりやすさなどの「個性」が生まれます

 

遺伝子とがんとの関係はどのようなメカニズムなのか?

ゲノムの変化は、たばこを吸う、酒を飲むといった生活習慣や、加齢などの影響などによって生じることが多く、また親から受け継がれた遺伝子が変化しやすいなどの原因となる遺伝性家族性腫瘍もあり、がん全体の5%ほどとされる。

上記のことなどで、ゲノムの変化に伴い、通常とは異なる働きを持った細胞が増えて「がん細胞ができる」

それが広がっていく。。  つまり、遺伝子が正常に機能しなくなっておこる病気なのです

 

●がんゲノム医療とはどんなものなのか?

がんの組織などから遺伝子を調べ、がんの原因となっている遺伝子の異常な変化(変異)が見つかった場合に、その変異に対応する薬を使って治療をすることだ。

個別化医療とも呼ばれる。

 

●どんな薬が使えるの?

がん細胞にみられる遺伝子変異の結果、できる物質を狙(ねら)い撃(う)ちする薬があり「分子標的薬」と呼ばれる。

肺がんの一種、非小(ひしょう)細胞肺がんでは開発が進んでいて、約20種の薬が使える。

がん細胞以外にも作用してしまう従来の抗がん剤と比べ、総じて副作用は軽いとされる。

 

■改善例の報告

大阪府堺市に住む浜野みゆきさん(60)は2014年春、近畿大学病院(大阪府)で肺がんと診断された。がんは進行し22年秋には抗がん剤が効かなくなった。

腫瘍(しゅよう)は増大して、ゼーゼーと息苦しさが増していた。

「このままではあと数カ月の命」とみた主治医の林秀敏教授(腫瘍内科)は、合う薬がみつかるかもしれないと、がんの増殖に関わる特徴的な遺伝子変異を調べる検査を提案した。

「ほんまにもう私、あかん。このまま死ななあかんのかな。チャンスがあるんやったら」。わらにもすがる思いで受けることにした。

米国に検体を送り、300種類以上の遺伝子を網羅的に調べるがんゲノムプロファイリング検査というがん遺伝子パネル検査の一種を10月に受けた。病院から連絡があり、12月に受診した。

林さんは「有効性が高く、期待できる薬があります」と話した。

「ALK融合遺伝子」というがんの原因になる遺伝子変異が見つかり、それに対応するALK阻害薬を処方できると説明した。この変異がある人だけに効果が見込める薬だ。

「私、また生きられるんや」  浜野さんは、朝晩にカプセルを2錠ずつ飲み始めた。それまでは車いすなしでは移動が難しく、息が上がって入浴もままならなかった。だが、服用を始めて3日後くらいから変化が出た。

「うそのように体が楽になりました」。1人でもゆっくりなら歩けるようになり、風呂にも1人で入れるようになった。

浜野さんは14年と20年に計2回、遺伝子変異があるかを調べる検査を受けていた。解析できる変異のパターンが少ないこともあり、いずれも変異は見つからなかった。

今も薬を飲み続け、がんは小さいまま、体調は安定している。浜野さんは言う。

「今回、検査を受けて本当に良かった。先生に命をつないでもらった」

 

◇  浜野さんが22年に受けた検査は、標準治療が終わったか、終了見込みの患者が対象で、19年から公的医療保険が使える。ただ、薬が見つかって治療を開始できた割合は、検査を受けた人の9%にとどまっている。

 

■進化している遺伝子変異を解析する技術

患者のがん組織や血液を使い、がん細胞の100種類以上の遺伝子の変異を解析できる検査を

「がんゲノム・プロファイリング検査(がん遺伝子パネル検査)=キーワード」と呼ばれる。

費用は56万円で、2019年6月に公的医療保険が適用された。

利用者は年々増加し、22年度は2万人超が受けた。

検査の課題の一つは、検査を受けても、治療に結びつく割合が少ないことだ。  厚生労働省の集計によると、保険適用から3年間に実施されたパネル検査約3万例のうち、治療薬の選択肢が示されたのは44・5%。実際に治療薬が使われたのは全体の9・4%にとどまる。

 

なぜなのか。検査を受ける時期が遅いとの指摘がある。現状ではパネル検査は、有効性や安全性が確認された最善の治療とされる「標準治療」が効かなくなった患者の「最後の選択肢」と位置づけられることが多い。財政面や検査態勢を踏まえれば、治療薬を必要とするすべてのがん患者に実施するには壁がある。

 

検査の結果が出るまでに4~6週間かかるので、標準治療が終わった段階の患者は、薬の候補が見つかっても体調が悪くて、薬が使えないこともある。

京都大学病院腫瘍(しゅよう)内科の武藤学教授らは、標準治療を始める前の患者にパネル検査をし、初回の治療選択に役立つかを調べた。武藤さんは「検査時期を早めた方が、検査から治療につながる可能性が高い。標準治療が効かない場合に早期にパネル検査に基づく治療に切り替えるなど、個々の最適な治療にもつながる」と指摘する。

全国がん患者団体連合会や日本臨床腫瘍学会などは23年12月、初回治療から適切なタイミングでパネル検査が実施できるように保険適用を拡大することを厚労相らに要望した。

また、東京大学病院ゲノム診療部の織田克利教授らは厚労省の研究班として検査の実態を調べる全国規模の調査をし、23年5月、検査時期の見直しを促す提言を出した。提言ではほかにも、医療機関が安定して検査を実施するための負担軽減や人材確保などを盛り込む。

 

■治験・薬の選択肢に高い壁  検査を受けた患者が治療にたどり着けるようにするには、使える「治療薬」を増やすことも求められている。

検査の結果、新たに提案できるのは、すでに別の病気の治療薬として承認されている薬や、効果などを確かめる臨床試験(治験)が国内で始まっている薬も多い。

承認されている病気以外に使えば、「適応外使用」となり、公的医療保険ではカバーできない。このため、一部の病院は臨床研究として試みている。より使いやすい仕組みを整備する必要があると指摘されている。

治験に参加しづらいことも課題だ。治験は主に都市部の病院で行われており、遠方に住む患者にはハードルが高い。愛知県がんセンターは、リモートで治験に参加できる取り組みを2022年に始め、希少がんの薬で5人が参加している。

そもそも日本は、海外で承認されている薬が承認されていないために使えない「ドラッグラグ」の問題を抱える。薬の開発に不可欠な治験を国内で活性化することが急務となっている。

すでに存在する薬だけでなく、新しい薬を生み出していくことも必要だ。パネル検査を受けた患者のデータを集積する国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C―CAT)は、パネル検査のデータを医薬品などの開発にいかす取り組みを21年に始めた。

許可された企業や研究機関が、検査の結果や治療の効果などの情報を個人が特定できない形で閲覧し、研究開発に使えるようにした。すでに10社と70の研究グループがデータを利用している。

河野隆志センター長は「治験そのものの数や参加できる患者を増やすための試みと、遺伝子変異に対応した薬を増やすための研究開発を両輪で進める必要がある。

データを活用した創薬が進み、将来の患者も含め多くの方に還元できるように努めたい」と語る。

 

■国内年2万人、認知度低く  国内でがんで亡くなる人は年間約38万人。それに対し、パネル検査を受けているのは年間2万人。東京大の織田克利教授は「多くの人が、検査の機会がないままに亡くなっていることになる」と指摘する。

背景には、パネル検査の認知度の低さがある。一般の人の大半はその存在を知らない。織田教授らが厚労省の研究班として実施した、患者を対象にした調査によると、パネル検査を知るきっかけは、8割以上が「医師や医療従事者」だった。

検査を提案されるかどうかは、施設や地域による差も大きい。研究班によると、がんで亡くなる人に対する検査の実施数の比率は、都市圏の3・8%に対し地域圏は2・3%で、1・5ポイントの有意な差があった。

NPO法人がんフォーラム山梨の理事長で乳がん経験者の若尾直子さんは「地域や病院、医師の間でも大きな情報格差があり、ゲノム医療の入り口にも立てない患者がかなりいる」と訴える。

パネル検査が受けられるのは計263施設で、地域のがん医療の拠点「がん診療連携拠点病院」の6割以下。東京都、大阪府だけで計45施設あるが、秋田や徳島は県内1カ所のみだ。

若尾さんは「検査が受けられる病院のリストを健診施設などに置くのも手」と語る

中核拠点病院の一つ、静岡県立静岡がんセンターゲノム医療支援室の釼持(けんもつ)広知医師は「がんゲノム医療連携病院でもない病院では、パネル検査への道筋がみえず、患者に検査の提案もしにくい。

一般病院から拠点病院に検査を依頼、紹介できる動線をつくると、検査数の増加につながるのではないか」と話す。

 

■「創薬、強力な推進を」 がんゲノム医療を先導してきた国立がん研究センター研究所の間野博行所長の話 パネル検査を国民皆保険のもと、スタンダードな医療に組み込んだのは大きな決断だった。

治療到達率9%を上げるには、遺伝子変異にマッチした薬の臨床試験を増やし、薬の選択肢を増やすことが必要だ。世界では特殊な抗体医薬など新たなタイプの薬がつくられている。これらの開発競争から日本が遅れ始め、「ドラッグロス」が心配される。創薬を強力に推進しなければならない。

 

●遺伝情報を扱うことへの懸念はないのか?

多くの遺伝子を一度に調べる検査では、本来知りたい情報のほかに、がんになりやすい遺伝子をもっていることや、子孫に遺伝する可能性がわかることがある。それらは、患者(かんじゃ)が希望した場合だけ伝えることになっている。  ゲノムを使った医療の推進と、遺伝情報による差別が生じないようにすることなどを定めた「ゲノム医療法」は、2023年6月に国会で成立した。(編集委員・辻外記子)

 

 

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