肝臓は糖質の過剰摂取で疲弊する

 現代に生きる人は肝臓を酷使している
肝臓は人の臓器の中で最も大きく、さまざまな仕事をしています。また、肝臓はとても再生能力が高いことは有名です。例えば手術で肝臓の3分の2を切除しても、約1か月後には形は復元され、約3カ月経つと機能も完全回復するといわれています。

 

しかし、そのように「タフ」なはずの肝臓の病気が近年、激増しています。その理由は、ストレスに対応するためのホルモンの材料を合成したり、ストレスにより食べ過ぎ・飲み過ぎたものを代謝・排出したりする仕事が増えたからです。

 

また、食品や飲料、または化粧品などに含まれる化学物質が急増し、それらの解毒を一手に引き受けているのが肝臓だからです。また、他にも肝臓を疲弊させることがあります。その1つは糖質の過剰摂取です。

 

 糖質は吸収されると肝臓に運ばれる
「肝臓は血糖値を調節している」と聞くと、血糖値の調節はすい臓から分泌されるインスリンでは? と疑問を持つと思います。皆さんも知っているように、すい臓で造られるインスリンは、血液中にある糖質を細胞内に運ぶことで血糖値を下げています。では、肝臓が糖をどのようにして調節しているのかをまとめます。

 

 @食事や間食で摂った糖質は小腸で吸収され、肝臓に運ばれる

 

 A肝臓は運ばれてきた糖質(多糖類)をブドウ糖(単糖類)に変える働きがある

 

 B体内に糖質が多い(余る)場合、肝臓はブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓自身や筋肉に蓄える

 

 C体内に糖質が多い(余る)場合、肝臓はブドウ糖を脂肪に変えて脂肪細胞に蓄える

 

 D体内に糖質が足らなくなると、肝臓は体内に蓄えているグリコーゲンをブドウ糖に分解する

 

 E体内に糖質が足らなくなると、肝臓は食事から摂取するタンパク質や脂肪をブドウ糖に変えて利用する

 

このようにして肝臓は体内の糖質を調整しています。

 

 世界三大珍味の1つフォアグラ(ガチョウの脂肪肝)はどのようにして作られるのか
世界三大珍味の1つであるフォアグラは、ガチョウに強制的に大量の穀物(糖質)を食べさせて人工的に肝臓を肥大させて作られています。

 

フォアグラとはガチョウの肝臓が肥大化した、いわゆる脂肪肝です。脂肪肝を作るとなると、「大量の脂質をエサにしているのでは」と思っている人が多くいます。しかし、フォアグラを人工的に作る際のエサは穀物(糖質)です。

 

ここで脂肪肝ができるメカニズムをまとめます。

 

 @糖質(炭水化物を含む)を過剰に摂取した場合、体内に糖質が余る

 

 A余った糖は肝臓の働きで、ブドウ糖に分解される

 

 B分解されたブドウ糖は中性脂肪として脂肪細胞に蓄積される

 

 C脂肪細胞が中性脂肪で一杯になり、それ以上備蓄できなくなると、肝臓に蓄積され脂肪肝になる

 

上記したように、脂肪肝の原因は糖質の過剰摂取であり、「脂肪(油脂)」は一切食べていないことがわかります。

 

このような方法で飼育しているのが、「和牛」です。和牛の特徴は赤身の部分に脂肪が多いことがあり、いわゆる「霜降り肉」と呼ばれています。この霜降り肉を作る方法は、上述したフォアグラを作る方法と同じです。

 

本来、牛のエサは牧草ですが、霜降り肉を作る際は大量の穀物(糖質)を中心とした配合飼料を食べさせます。大量の糖質は肝臓がブドウ糖に分解し体内に備蓄します。それでも余った糖質は肝臓が中性脂肪に変えて脂肪細胞に備蓄されます。

 

これが、いわゆる「霜降り肉」です。フォアグラ同様に、霜降り肉を作る際には「脂質(油脂)」は一切与えていません。

 

 力士の新弟子は炭水化物で太る
ガチョウや和牛だけではなく、力士(相撲取り)も同じ方法で太らせています。入門したばかりの新弟子は、相撲の稽古より、まず体重を増やすことが重要と教えられます。

 

力士の主食は「ちゃんこ」という鍋料理ですが、「ちゃんこ」は横綱など地位の高い者から食べる風習があります。したがって、新弟子が食べる頃にはちゃんこの中身(オカズ)はなく、うどんと白米が主食となります。

 

新弟子は、うどんと白米を大量に食べ、その後に寝ます。なぜなら、動かないことで糖質を無駄使いしないようにするためです。その方法をすると摂取した糖質は余り、肝臓が中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えていきます。

 

さらに大量のうどんと白米を食べ、動かないことで脂肪細胞は中性脂肪で一杯になり、最後には肝臓の細胞に中性脂肪が溜まり脂肪肝になります。

 

新弟子は太ることも仕事の1つです。そのことで新弟子は脂肪肝を意図的に作っていますが、その際も「脂質(油脂)」の摂取量は少ないです。

 

 糖質を中性脂肪に変える際に肝臓は多くのエネルギーを使う
上述したように、脂肪肝を意図的に作っているのがフォアグラや和牛、力士の新弟子であるということはお伝えしました。また脂肪肝を作る際の食事(エサ)は糖質であり、脂質は一切使っていないこともお伝えしました。

 

糖質が体内で過剰に余ると、肝臓はそれを中性脂肪に変換して、いざというときのエネルギー源として蓄えます。肝臓は体内に入ってくる物質を解毒したり、栄養素を代謝したり、毎日フル稼働しています。

 

さらに現代人は、ストレスから糖質を過剰摂取する傾向にあります。その結果、肝臓は余った糖質をグリコーゲンに変えたり中性脂肪に変えたりする仕事が増えることで疲弊します。

 

私は患者さんから「肝臓を良くするサプリメントはないですか?」と尋ねられます。その質問に対し「肝臓を良くすることを考える前に、肝臓にとって負担になっていることを1つでも減らしましょう」とお答えしています。

 

「中性脂肪」という名称に「脂肪」という言葉が入っているために、脂肪を摂取することで中性脂肪が増えると勘違いしがちです。しかし、実際は過剰に摂取することで体内で余った糖質が中性脂肪になることを認識してください。

 

また、その余った糖質を中性脂肪に変換する際に、肝臓は多くのエネルギーを使い疲弊することも認識してください。

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