利尿剤を飲むと、なぜ痛風は悪化するのか

 現代病の1つに高尿酸血症がある
一般的に尿酸値が高い理由は、「贅沢な食べ物を食べるから」といわれています。そのように言われている理由は、プリン体にあります。

 

プリン体は、煮干し・鰹節・レバー類に多く含まれまれています。そのプリン体が代謝される際に、尿酸が発生することで高尿酸血症になります。そのことから、上述したように痛風の発症理由は贅沢な食材を食べたからだと言われます。

 

しかし、そのことは俗説です。なぜなら、食べ物が保有するプリン体の量よりも、多くのプリン体を保有している場所があります。それは細胞です。

 

人の体は60兆個もの細胞からできており、その細胞の中心部分に核があります。その核の重要な成分である核酸こそが、プリン体の元になっている物質です。

 

人が生きていく上で細胞は新陳代謝を繰り返しおこないます。その際に古い細胞が壊れる時にプリン体ができます。また、このプリン体が代謝され尿酸ができます。

 

したがって、プリン体を多く含む食べ物が原因で尿酸値が上がる割合は低くく、実際は細胞が新陳代謝する際に造られる尿酸の方が遥かに多いのです。

 

競争の激しい現代に生きる人は、仕事で脳を多く使ったり、ストレス発散のためにマラソンなどの激しい運動をしたりします。そのために、細胞の新陳代謝速度は速くなります。そのことで多くのプリン体ができ、それらが代謝されて尿酸が多くできることで痛風が発症します。

 

そのことから、現代人に高尿酸血症が増えている理由が理解できたと思います。

 

 尿酸は尿から排出される
体内で増えた尿酸を体外に出せないと、尿酸が関節に溜まり痛風を発症します。痛風になると関節が腫れ、その痛みで歩行することは困難になります。

 

体内で増えすぎた尿酸を排出する方法の1つに、「排尿」があります。大量の水を飲み尿の回数を強制的に増やします。私も患者さんに対し、夜間は目覚まし時計を2時間ごとに鳴るようにをセットしてもらい、排尿回数を増やしてもらいます。

 

そのようにして、排尿回数を増やす理由は、尿酸は汗や便からは排出することができないからです。ようするに、尿酸は尿からしか体外に排出できないのです。

 

 利尿剤を使うと尿酸は体外に出るのではないか
医薬品に利尿剤があります。尿酸は尿から排出されるのなら、利尿剤を服用することで効率よく尿酸を排出されるはずです。そうなると、尿酸値が下がるはずです。しかし、実際は利尿剤を服用したことで、尿酸値は上がり痛風が発症しやすくなります。

 

それでは、「なぜ、利尿効果のある薬を飲めば、尿酸値が上昇し痛風が発症するのでしょうか?」

 

そのようになる理由は、私なりに考えがあります。その考えは、利尿剤はあくまで体内の「水」を強制的に出す薬です。確かに尿量は増えますが、その尿として排出される内容に問題があると思います。

 

ようするに、利尿剤は体内の水を尿として排出していますが、本来、体外に排出しなければならない物質は水ではなく体内毒素です。その毒素とは、痛風の場合尿酸です。

 

この状況は、コップに泥水をいれた状態で説明すると分かりやすいです。コップの汚泥は時間が経つにつれ、コップの底に溜まります。また、コップの上層部には透明な水が確認できます。

 

利尿剤の作用は、コップの上層部の「水」だけを体外に出しているのです。したがって、コップの底の汚泥(尿酸)は残ってしまいます。水分が少なくなるということは汚泥(尿酸)の密度は上がります。

 

そのことから、利尿剤を服用すると尿値が上昇することがご理解して頂けると思います。

 

ようするに、利尿剤では全ての毒素(尿酸)を排出することはできないのです。

 

 利尿剤で出す尿と、腎臓が濾し出す尿では内容が異なる 
薬の作用は万能のように思えます。しかし、利尿剤を服用すると尿酸値が上がることをみても分かるように、尿が出ていても毒素が出ていないのです。それとは逆に、人の腎臓は体内に余った水や不必要な物質を尿として出すことができます。

 

ようするに、腎臓が濾しだす尿の中には、体にとって不必要な毒素を体外に出している点が、利尿剤と大きく異なる点です。

 

例えば、高血圧の原因の1つに、血管内の血液(血液の90%は水)量が増えることで、血管とその中を流れる血液の抵抗が高まり、高血圧になります。

 

したがって、利尿剤の作用により、増えた血管内の水(血液)を排出することで、血管と血液の抵抗を抑え血圧を下げます。利尿剤は、血圧を下げるための水を体外に捨てるという作用はしています。しかし、体内の毒素(尿酸)は捨てることができないために、痛風を発症してしまいます。

 

そのことから、高血圧で尿酸値が高い人は利尿剤は使えません。

 

そのように、西洋薬や漢方薬には、症状を止める効果があります。しかしその反面、副作用もあります。したがって、症状を止めることだけに注目せずに、なぜそのような症状がでるかを考えるべきではないでしょうか。

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